今回のテーマは『楽園』
撮影時は、秋も深まりつつある頃。
キラキラした夏の清々しい日差しが懐かしく、寂しい。
空想していた南国チックな鮮やかな華や緑を求め、僕にとっての『楽園』を撮影しに出かける。
『楽園』というなら、楽しみや可笑しみなどの感情も伴うもの。
そう思ったら南国チックと豊かな感情を掛け合わせたシャッターを切ることで、秋中盤の1日を過ごしてみた。
爽やかな夏の風がすり抜ける雰囲気で
雰囲気を損なわない範囲で、めいっぱいハイキーを狙ってみる。
風に向かっているので、髪を後ろでまとめて持っていただくお願いをし、あとはお任せ。
南国的な植物と、強いコントラストが目を引く。
彼女が振り向いた刹那にシャッターを切った。
今回の撮影ではあまり目線をよこすことがなかった。
そんな中、この目線のあるカットは、目に表情があってとても惹かれた。
本誌掲載と同じ場面。
目を閉じた横顔と、落ちる影が印象的。
影での撮影は、すぐに影が動いてしまうので、素早くシャッターを切る。
男の僕では思い浮かばない仕草をする。
もちろん“画に成る”という意味でシャッターを切るときもあるが、何をしているんだろう…と僕が思っている時も、それが面白くて魅力的でもある。
カメラを意識しないようにとリクエスト
「できるだけカメラを意識しないように」を彼女にお願いして撮影を進めていくことに。
目線はこちらからお願いせず、彼女が目線をよこす時に合わせてシャッターを切るようにし、
あとは仕草を丁寧に観察していく。
実は“自然にね”とお願いするのが、モデルにとっては一番難しいのではないか、といつも思う。
もちろん、モデルのタイプにもよるが。
ましてや標準系レンズでの距離感では、意識してしまうものだ。
そんな中でもさりげなくこなしてしまうのは、力量かな。
夏らしいコントラストの効いた日差しと爽やかさを感じさせるハイキーを中心に露出を決めてみた。
女性の仕草って、見るたびに興味深く面白いものだ、と思うのだ。
(萩原)
今回はハイビスカス、バナナ、ココナッツなど南国植物に囲まれたトロピカルな雰囲気で撮影しました。
萩原さんから「カメラに撮られてることを意識しないで自然な感じでいてね」って指示をいただいたのですが、
これがなかなか難しかったです。
自然な動きやナチュラルな表情、さりげない視線など、少しずつ出来るようになりたいな。
(いのうえ)