フォトコンテストに参加してみましょう!
写真を撮る一番の動機は心を動かされた瞬間を残したいという想いでしょう。そうして撮ったシーンは自分の宝物ですね。そんな宝物を見てほしいという想いが芽生えた時、フォトコンテストに応募してみるのもいいかもしれません。コンテストに出すことで誰かとその写真を共有するきっかけが生まれますし、入選した人の写真を見て新しい世界に興味の幅が広がることもあるでしょう。入選することだけを目的とするのではなく、写真の楽しみ方のひとつとして考えてみてはいかがでしょう。コンテストに応募することで自分の写真に足りない部分がわかったり、その作品をたくさんの愛好家の人に見てもらう、そんなことも写真の楽しみ方の一つだと思います。結果として、コンテストに入賞したり、表彰されたりといったことになればもっと写真が好きになると思います。
連載のはじめに
「こういう写真がコンテストに通る」という絶対的な答えはありません。でも、撮影者の思いやメッセージが明確に伝わってくる写真は、コンテストの審査員に限らず見る人の心に響き、結果として良い評価にもつながるのです。ここでは、写真を通じて伝えたいものを明確にするためのポイントをご紹介します。
構図は足し算であり引き算
構図とは主役である被写体を一番引き立てる切り取り方を言います。突然のシャッターチャンスなどはゆっくりと構図を考えている余裕はありませんが、じっくりと向き合える場合は被写体だけでなく、被写体を取り巻く周りにも目を向けてみましょう。被写体をより引き立てるものをどう入れるか、反対にメインより注意を引いてしまうものはどうするか、といったことを意識してみましょう。
【例】「飛沫」
まるで修行僧のような女子高生が豪快に水を浴びた瞬間を捉えています。飛沫の飛び散った瞬間、どこか男らしさすら感じさせる少女の佇まいなど、非常に力強さのある作品です。ただ、モノトーンな色味の世界観の中で少女の前にある青いラインの存在が若干きになりました。また、上から降り注ぐ水の存在を際立たせるために少女の上の空間をもう少し広くフレーミングすると、滝のように流れ落ちる水の軌跡がより強調されたかもしれません。
タイトルも作品の大事な一部
コンテストという場において、タイトルは見る側に撮影者の意図を伝えるのに重要な役割を果たします。そういう意味では写真に写っている情報をただ説明するだけではもったいないですし、言葉で語りすぎては写真で伝える意味がありません。かといってひねりすぎて写真の内容からかけ離れたものになっては本末転倒です。タイトルも含めてひとつの作品が完成するのだという意識を持ってください。
金森玲奈先生略歴
1979年東京都生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。在学中より都会の片隅に生きる猫の姿を撮影してきた。東京芸術大学付属写真センター勤務等を経て2011年よりフリーランスとして活動を開始。近年は身の回りの何気ない瞬間や国内外の旅先の風景、けがと障害がきっかけで引き取った二匹の飼い猫との日々を撮り続けている。http://kanamorireina.com/
さあ、どんどん応募してみよう!
雑誌のフォトコンテスト以外でも様々なフォトコンテストが開催されています。そうした中、月刊「カメラマン」が長年協賛している「総合写真展」もまもなく作品募集を開始します。
同展は、作品が入選以上に選ばれると「東京都美術館」(台東区・上野公園)に展示されるというもので写真の展覧会としては大変規模の大きい公募展です。腕に覚えのある人はもちろん、写真を始めてまだ日が浅いという人も、写真をもっと楽しむために、今年はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
●「第22回総合写真展」ホームページ
http://shashinten.info/