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予測し期待をして、準備を。スナップ写真家は狩人? 釣り人?
スナップ写真といえばまず名前が挙がるドアノーは「写真家は狩人ではなく釣り人のようなもので、糸を垂れて待つことしかできない」と言ったそうです。とくにそれを感じるのは、絵になりそうな背景を見つけたのに、そこにアクセントとなる人物がいないとき。
そんなときに大切なのが「期待と予測」です。ここで言う「期待」とは、そこにどんな人が来てくれたら理想かと自分の中にイメージを持つこと。赤い風船を手にした子供がやってきたら最高だな、とか。漠然と「誰かやって来ないかな」と待つのではなく、具体的なヴィジョンを持つことが大切なのです。
犬がやってきたらいいな…ではなく、ダルメシアンがやってきたらいいな…というふうに。そのフレームの中に何が加わったら写真がより良くなるか!? の判断もできているということですから、それを繰り返すことで感性も鍛えられていきます。
そのときに、街の作りや状況も考えて人が通るならあの場所だろう…と、構図を決めてピントを置い
ておく作業が、もうひとつの「予測」になります。
決定的瞬間という言葉がありますが、その瞬間のちょっと前には写真家はカメラを構えていたわけで
す。予測ができていて、その瞬間がやってくる期待をして、準備をしていたことになります。写真の質
を引き上げていくための、ささやかだけれど重要な積み重ねが「期待と予測」、意識してみてください。
今回のポイントは3点!
❶作者がいつカメラを構えたか考えてみる
❷先になにを決め、なにを待ったか予想してみる
❸どうなればもっと良い写真になるか想像する
撮影・解説は自称「最後の文系写真家」内田ユキオさん
公務員を経てフリーフォトグラファーに。自称「最後の文系写真家」。モノクロのスナップに定評があり、ニコンサロン、富士フォトサロンなどで個展を開催。月刊カメラマン誌をはじめ、新聞、雑誌に寄稿し、写真教室の講師など精力的に活躍中。主な著書には「ライカとモノクロの日々」、「いつもカメラが」など。