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予測し期待をして、準備を。スナップ写真家は狩人? 釣り人?
スナップ写真といえばまず名前が挙がるドアノーは「写真家は狩人ではなく釣り人のようなもので、糸を垂れて待つことしかできない」と言ったそうです。とくにそれを感じるのは、絵になりそうな背景を見つけたのに、そこにアクセントとなる人物がいないとき。
![画像: ■フジX100S 絞りF2.5 1/150秒 WB:オート ISO400 パートカラー](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783155/rc/2017/10/22/3ba0c638b1bf2ba5019f58667356272a19e412ba_xlarge.jpg)
■フジX100S 絞りF2.5 1/150秒 WB:オート ISO400 パートカラー
そんなときに大切なのが「期待と予測」です。ここで言う「期待」とは、そこにどんな人が来てくれたら理想かと自分の中にイメージを持つこと。赤い風船を手にした子供がやってきたら最高だな、とか。漠然と「誰かやって来ないかな」と待つのではなく、具体的なヴィジョンを持つことが大切なのです。
![画像: 【マヌカン】夜にショーウィンドーの飾り付けをしている女性を見つけて撮ったのが一枚目(左)。脚立があるからには登るだろうと予測して待って撮ったのが二枚目(中)。 女性の後ろ姿がセクシーだったので、それをチラ見するような男性が通りがからないかと期待して撮ったのが三枚目(右)。 ■フジX-Pro1 35mmF1.4 絞り優先AE(F1.4 マイナス0.7 露出補正) プロビアモード ISO800](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783155/rc/2017/10/23/3b8d252bc47922710a8bd96616a67059e62d1f1b_xlarge.jpg)
【マヌカン】夜にショーウィンドーの飾り付けをしている女性を見つけて撮ったのが一枚目(左)。脚立があるからには登るだろうと予測して待って撮ったのが二枚目(中)。 女性の後ろ姿がセクシーだったので、それをチラ見するような男性が通りがからないかと期待して撮ったのが三枚目(右)。
■フジX-Pro1 35mmF1.4 絞り優先AE(F1.4 マイナス0.7 露出補正) プロビアモード ISO800
犬がやってきたらいいな…ではなく、ダルメシアンがやってきたらいいな…というふうに。そのフレームの中に何が加わったら写真がより良くなるか!? の判断もできているということですから、それを繰り返すことで感性も鍛えられていきます。
![画像: 【犬】とてもチャーミングな犬を見つけて一枚目(左)。向いている方向がイマイチなのと背景がうるさくてヌケが良くないので、構図をキープしたまま背景の人がいなくなるのを期待、さらに飼い主と逆の方向を向いたところで撮ったのが二枚目。周囲の人の流れ具合と、犬の動きを観察していて、ある程度は予測できた瞬間だった。 ■フジX-Pro1 35mmF1.4 プログラムAE(マイナス0.7 露出補正) モノクロモード ISO400](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783155/rc/2017/10/23/8711794c2047db789ef5eb5fb0682848b936ff5b_xlarge.jpg)
【犬】とてもチャーミングな犬を見つけて一枚目(左)。向いている方向がイマイチなのと背景がうるさくてヌケが良くないので、構図をキープしたまま背景の人がいなくなるのを期待、さらに飼い主と逆の方向を向いたところで撮ったのが二枚目。周囲の人の流れ具合と、犬の動きを観察していて、ある程度は予測できた瞬間だった。
■フジX-Pro1 35mmF1.4 プログラムAE(マイナス0.7 露出補正) モノクロモード ISO400
そのときに、街の作りや状況も考えて人が通るならあの場所だろう…と、構図を決めてピントを置い
ておく作業が、もうひとつの「予測」になります。
![画像: 【道】路面電車のレールが美しく輝いていたので、街並みと奥行きを意識して撮ったのが一枚目。でもなにか物 足りないと感じ、アクセントに自転車でもやってこないかなと期待して、レールが交差している点と対称になる あたりにピントを置いて待って撮ったのが二枚目。 ■シグマDP3 Merrill プログラムAE(マイナス2 露出補正) ISO200](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783155/rc/2017/10/23/7ea53d2bceb4076718eecbece48875fd60cb822b_xlarge.jpg)
【道】路面電車のレールが美しく輝いていたので、街並みと奥行きを意識して撮ったのが一枚目。でもなにか物
足りないと感じ、アクセントに自転車でもやってこないかなと期待して、レールが交差している点と対称になる
あたりにピントを置いて待って撮ったのが二枚目。
■シグマDP3 Merrill プログラムAE(マイナス2 露出補正) ISO200
決定的瞬間という言葉がありますが、その瞬間のちょっと前には写真家はカメラを構えていたわけで
す。予測ができていて、その瞬間がやってくる期待をして、準備をしていたことになります。写真の質
を引き上げていくための、ささやかだけれど重要な積み重ねが「期待と予測」、意識してみてください。
今回のポイントは3点!
❶作者がいつカメラを構えたか考えてみる
❷先になにを決め、なにを待ったか予想してみる
❸どうなればもっと良い写真になるか想像する
撮影・解説は自称「最後の文系写真家」内田ユキオさん
![画像: ▲内田さんのブログについてはプロフィール写真をクリックしてください。 www.yuki187.com](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783155/rc/2017/10/22/1a65196d7d18ce68700403c6a7b62acb390550ad_xlarge.jpg)
▲内田さんのブログについてはプロフィール写真をクリックしてください。
www.yuki187.com公務員を経てフリーフォトグラファーに。自称「最後の文系写真家」。モノクロのスナップに定評があり、ニコンサロン、富士フォトサロンなどで個展を開催。月刊カメラマン誌をはじめ、新聞、雑誌に寄稿し、写真教室の講師など精力的に活躍中。主な著書には「ライカとモノクロの日々」、「いつもカメラが」など。