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「らしさ」を写真に撮る。スナップ上達の大きなステップアップ
すこし前に、宮城県で高校写真部の新一年生に街や公園でスナップを撮ってもらったのですが、ひとりの女子が「これは仙台らしさを撮りたいと思った」と1 カット見せてくれました。
残念ながら見てすぐに「たしかにこれは仙台らしい!」とは思えませんでした。が、帰りに道を歩きながら、逆に「さっき見た写真に似ている」といった感覚が蘇りました。
これはオスカー・ワイルドのいう「自然が芸術を模倣する」ということです。他の街に比べて生い茂
る緑や、真っ直ぐな道を風が抜けていく気持ち良さを再確認して、写真によって仙台の魅力のひとつを
教えられました。
何度も訪れている都市に行くと「そうそう、この感じ」と思うことがありませんか。ハワイの風の匂いやホーチミンのバイクのエンジン音など、たいてい写真に撮りにくいものです。あるいは春らしさ、夏らしさといった季節感。この「ナントカ感」を撮るのは簡単なことではないですが、スナップの究極の目標でしょう。
かのアンリ・カルティエ=ブレッソンは「目と頭と心がひとつになる」瞬間こそ、名作が生まれる条件だと言いました。心で感じていることが、目で見ているものによって刺激され、頭で形づくっていくということでしょうか。
カメラを持っていない人なら何も感じず見逃してしまうような「××らしさ」を写真に残してみよう
と考えるのも、スナップ上達の大きなステップアップになります。
今回のポイントは3点!
❶言葉にしづらい“ らしさ” を撮る!
❷繊細なディテールにこだわるべし!
❸自分だけでなく見る人にも伝わるよう気を遣う!!
撮影・解説は自称「最後の文系写真家」内田ユキオさん
公務員を経てフリーフォトグラファーに。自称「最後の文系写真家」。モノクロのスナップに定評があり、ニコンサロン、富士フォトサロンなどで個展を開催。月刊カメラマン誌をはじめ、新聞、雑誌に寄稿し、写真教室の講師など精力的に活躍中。主な著書には「ライカとモノクロの日々」、「いつもカメラが」など。