舞台はスーパーGT第3戦、オートポリス
飛行機での移動が前提の大分県オートポリス、でも最近の国内線、機内持込荷物にウルサイんです。もちろん安全運航のためには仕方ないんですけど、高価な望遠レンズを貨物室行きにするのはチョット…と考えていたところにちょうどいいタイミングで出た新製品。これなら撮影機材がコンパクトになり機内持込もOK。でもレース撮影で使えるのか?まあそこは腕と経験でカバーしましょうよ、てことでシグマさんから出荷直後のホヤホヤ品を手配いただきました。
まずは横流しから
シグマの手振れ補正はOS(Optical Stabilizer)というもので、このレンズには新開発のジャイロセンサーを用いた新ユニットが採用されているらしい。通常はモード1で手ブレを抑制、モード2ではカメラを大きく振った流し撮りにも対応、ということで使用するのはモード2で決定。三脚座が無く手持ち使用が前提のこのレンズには生命線とも言える機能なので最初にチェック。
土曜日の練習走行時間ではポイントを移動しながら様々なバリエーションの写真を撮影する。まず最初の撮影したのがこのシーン。斜め方向での流し撮りだが、ファインダー像が揺れることもなくカメラを振ることに専念できた。ニコンのSPORTモードに近い使用感だ。結果的に歩留まりも良く、効率的に撮影を行うことができたので早々と次のポイントに移動。
AFはどこまで追う?D5でアップを狙う
横流しでのAFは全く問題がなかった。ただし焦点距離があまり長くなく、もちろんピントの移動量も少ないので当然と言えば当然。では、すこし角度をつけ400mmでアップを狙うとどうだろうか。こうして撮影したのがタイトル写真。
この場合のピントはフロントフェンダーあたりのAFエリアをダイナミック25点で広めに選択。12コマ/秒でマシン全体が入る状態から5、6カット連写。HSMモーター搭載ではあるがさすがに全コマ合焦とまではいかないか。しかし大外しすることなくピントを追い続けている。面白い事に連写中に一度はドアの辺りで後ピンになりながらも、再び狙った位置までピントを戻している。これはUSBドックで調整することにより改善されるかもしれない。
さらにイジワル、D500で600mm相当
マシンを正面気味に捉えるポジションに到着。動体予測AFを搭載したカメラでは難なくピントが合うシチュエーション、400mmでの撮影もD5のAFをもってすれば全く問題はない。では600mm相当となるDX機ではどうなのか?今度はD500に装着してみた。
マシンが全開で駆け上がるセクション、上のカットからマシンがはみ出すまで10コマ/秒で合計3カット連写できた。ベストは最初のカットで、2コマ、3コマ目になると後ピン傾向。マシンをアップにしたい場合は連写をせずに1コマ撮りをすれば確実にピントが合った写真となる。シグマはこの価格帯のレンズにも高速AF可能なリング型HSMを採用しているのだが、動体予測AFはボディとの通信がシビアだ。ピントの精度を取るか、速度を取るか、USBドックでベストなセッティングに調整した方がよいだろう。
AFについてはややキビシイ事を言ったが、解像力については驚くべき結果が。1段絞ったとはいえ、高倍率ズームの400mmでこのシャープさはこれまでの常識を超えてる。これをD500(ローパスレス)の実力と見るか、シグマの技術の賜物と見るか。いや、以前使用した純正80-400mmはここまでシャープではなかった記憶が…。
ピットでの人物カット
練習走行が終了、広報担当K様の至福のピットウォークの時間をはさんだ土曜日午後、決勝のグリッドを決定する予選が始まる。この時間はピットエリアから、出走前後のドライバーの表情を狙うのだ。
果たして結果はどうだったのか表情が物語る。さて、どちらも絞り開放での撮影となったが、ピント面のシャープさは至近距離でも健在。特に200mm付近の解像力は高価格帯70-200mmF2.8ズームに引けを取らない。また、焦点距離にかかわらず後ボケの形も比較的キレイに思える。使用して気になった点といえば、F値5.6の純正80-400mmに対し僅か1/3段落ちのF6.3が、実際のファインダーではそれ以上に暗く感じた事。全く同じ条件で試したワケではないので確証はないのだが、近距離側で実効F値が暗くなる光学設計なのかもしれない。
決勝レースでのメインレンズに決定!
練習走行という、いわばこちらも準備運動で100-400mmを試してみた。明日は決勝レース、やり直しのきかない本番なので信頼の置ける機材を、ということで実はこっそり純正300mm単レンズもスーツケースの中に忍ばせておいた。じゃあ明日はソレで…いえ、100-400mmというユーティリティーは大いなる武器となる上に、さらにこの画質。もう明日の決勝でも使うしかない!AFの傾向は大体把握できたし、うまく使えば傑作が撮れる!(楽に仕事ができる)みたいな。
(続く)