■撮影共通データ:ニコン Z5Ⅱ 絞り優先AE WB:オート
■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。
NIKKOR Z 24-105mm f/4-7.1 主な仕様
●焦点距離:24-105mm
●最短撮影距離:0.2m(24/50mm時)/0.28m(105mm時)
●最大撮影倍率:0.5倍(焦点距離70~105mm)
●レンズ構成:10群12枚
●最小絞り:F22(24mm)/F40(105mm)
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:約73.5×106.5mm・約350g
●付属品:-
フードが別売なのは理由があった?
ピクチャーコントロール:スタンダードだとガリガリになりそうだったので、カラーは全てニュートラルです。何の不満も感じさせない全域見事な切れ味。凄い時代になったもんですねぇ…プログラムAEで楽しむのも良いかも。
■絞りF9 1/320秒 マイナス1.0露出補正 ISO100
FXフォーマット(フルサイズ)のZシリーズ対応レンズながら、重さ約350gと結構軽い。しかし、そのトレードオフとしてプラマウント仕様となっているところが少しだけ寂しい。とはいえ、防塵防滴に配慮したタフネス設計というのが、なんともニコンらしい。焦点距離70~105mm時に最大撮影倍率0.5倍を達成する接写性能も特徴のひとつ。
ちょっと残念なのが、フードが同梱されないこと。別売フード(HB-93B 税込4400円)は花形でナカナカのサイズ感があり、遮光効果の最大化を狙っているところが嬉しいような、コンパクト設計なレンズ鏡筒に対しては解釈違いなような…。
というのも、レンズ鏡筒はまぁまぁスリムな約74mm(手計測)なのだけれど、フードは最大径が約96mmの立派なサイズ。フード逆付け状態での収納となると、このレンズをメインに据える場合には問題ないけど、ドンケのF-6みたいなバッグにいつも持ち歩くレンズに追加してこのレンズを持っていきたい、みたいな場合には収納方法を少し選ぶかも。
先にネタバレしちゃうけど、フード無くても十分以上の逆光耐性あるから、控え目なフードで良かったんじゃないかなぁ。ニコンの悪い癖というか良いところというか、愚直に性能重視しちゃった不器用な感じが否めないというか。レンズの存在の軽さ(気楽さ)に対してフードがゴツ過ぎというか。汎用の気楽なフードがあっても良いんじゃね?
ちなみに、フード装着状態での全長は、ワイド端で約148mm、テレ端だと約203mmとなった。ズームを伸ばしたまま収納することはないと思うが、バッグ選びの参考にしてほしい。
キヤノンのRF24-105mmF4-7.1 IS STMと比べると、少しだけ軽いが、一方ではVRを持たないのに長さでは負けているので「おっと?」というイジワルな気持ちも出てくるが、実際に使ってみるとどうだろうか?
手にした感触として、重さのバランスが良さか、約350gという数値よりも軽く感じられた。ズームリングの操作感はスムース。STMによるAFも快適と感じるレスポンスがあってなかなか良さそうだ。
正直に言えば、シグマ20-200mmを既に経験しているので「ちょっとテレ側が短いな」とか「ワイドが狭い」みたいなことを撮りはじめには思いました。でもZ5Ⅱとの相性が抜群なこともあって、暫くすると「コレでいいや、ちょっと欲しい」に変わりだして、大変に爽やかな撮影感触にニンマリ。これは誰が使っても満足できるんじゃないかな? 性能だけじゃない良さってヤツがありますね。とは言え、ワタシは「経験」しているので、本文の最後にひと文句述べてますよ。
■絞りF7.1 1/800秒 マイナス0.3露出補正 ISO100
製品価格を知らないまま「Z5Ⅱのキットレンズとして設定される」 というアナウンスだけを頼りに判断するなら、「キットレンズとしては質感・剛性感ともにオーライ」でした。
んで、イザお値段を確認してみたら、レンズ単体では9万200円。そりゃよく出来てて当然だなって感じ。キットで買うなら実質6万円くらいなので、これなら妥当かなぁ…。ともあれ、実写でこの印象がどう転ぶか楽しみである。
ちなみに、焦点距離と開放F値の関係は以下の通りでした。
24~30mm→F4
31~35mm→F4.2
35~40mm→F4.5
41~44mm→F4.8
45~51mm→F5.0
52~57mm→F5.3
58~64mm→F5.6
65~73mm→F6.0
74~88mm→F6.3
89~99mm→F6.7
100~105mm→F7.1
キットレンズとしては描写も耐久性能も、そしてお値段も上級です。
明るさで頑張っていないというか無理していないせいか、素直で良い感じの描写性に感じられました。寄ってヨシ、引いて良し。STMもね、動作がもっと野暮ったいかと思ってたけど、結構スコスコとレスポンスしてくれて良い。AF-Cで撮ってるとチャタリング音は少しするかな。
■絞りF6.0 1/160秒 ISO100
フィールド実写でもAFレスポンスは悪くなく、たとえば至近側で風に揺れる花を狙っていてもソツなく撮れるレベルの実力があり「キットレンズとしては…」という前置きが必要ないAFの軽快さがあった。
描写性について。基本的に高解像で印象が良く、たとえば林の中でワイド側で撮影するというイジワルをした場合に、周辺部の輝度差の大きな部分には少し色付きがあったりもするけれど、価格とサイズからすると良く頑張っている。
アラを探せば、新聞の複写のような平面的なモノを正対して近接撮影するとZ50mm f/1.4のように周辺がブワッという感じに写る。が、そういった指摘は製品のキャラ的にも野暮というもの…だけど、9万円という価格が少し脳裏を掠めてしまうし、「コンサバなクセに」というネガティブな気持ちがムクリと起き上がってしまうのは、筆者が狭隘な精神の持ち主だからなのか?
ディープトーンモノクロームを硬めにしてパチリ。ちょっと高そうなレンズの雰囲気があるよね。「ようこそレンズ」がこのレベルだと、上位のレンズは一体どんな? ってワクワクしちゃうね。普段使いにはこういった気軽に持ち歩けるレンズがストレス無くて良いよ。通勤のパートナーにできる限界のサイズもこの辺だと思う。
■絞りF9.0 1/320秒 マイナス0.3露出補正 ISO100
ともあれ描写性能は高く、「ニコンへようこそ!」という大役を任されるだけの実力がある。さらにボケも比較的素直なこともあり、お世辞抜きで「この軽さのズームレンズがココまで写るのか!」という驚きがあって、画像チェックもとても軽やかな気分で楽しめた。
数日撮影してみて筆者の個人的な期待値よりも高かったので、試しに冬の北海道に投入。マイナス16℃で20分程度撮影したが、普通に動作する姿に「キットレンズのクセにやるじゃねーか」と頼もしい気持ちも芽生えました。
文句はなく優秀ではあるけど、あまりにコンサバ過ぎなくない??
多少イジワルしていますが、逆光でもクリアに写るし、強めの斜光線でもフード無くて良さそうな感じではありました。だからこんなゴツいフードじゃなくて良いんじゃね? と思った次第。このショットの時は、車の外気温計でマイナス7℃。マイナス16℃でも撮ったけど、問題ないね。内部のエアフローが良いのかな? 熱衝撃与えても曇りが早く引く感じがあります。
■絞りF9.0 1/320秒 マイナス0.3露出補正 ISO100
なんというか、RF24-105mmF4-7.1 IS STMの対抗馬として、なんとしてもこのライバルを超えろ!という感じで企画されたのかな? という雰囲気は感じました。確かに、近接性ではより使い勝手がよく、そして軽く仕上がっていて上々です。
そもそもエントリークラスのキットレンズは、ユーザーが初めて触れる製品として、そのブランドを好きになってもらうという大役を任された、言わばメーカーの看板製品であります.先ほど「ニコンへようこそ」というワードを使っているのはコレが理由です。
シビアな事を言えば、こういう撮り方(ピント面に対して、対象が奥行き方向に斜めに寝ている)する場合にはもうちょっと絞りたいです。ピントの幅から外れたところがちょっと汚く見える場合があるから。その意味で、日中でもISO100運用はしない方が良いのかもね、という使い方の最適化考察。
■絞りF7.1 1/800秒 マイナス0.3露出補正 ISO100
性能だけで言えば見事な仕上がりだけど、どうしても気になるのが、ワイド側が24mmスタートというところ。やはりスペックがコンサバに過ぎるのでは? という気持ちを消し去ることは出来ませんでした。
仮に、たとえば22mmスタートであればスマホの超ワイドと比べても「こんなモン?」みたいな不満を覚えないのでは? と。これは、LUMIX S 20-60mmという前例と、シグマ20-200mmという大いなる存在を知ってしまっているから…というのは大きいと思います。
とは言え、Z24-50mmの上位に位置し、Z24-70mmf/4SやZ24-200mmよりもお手頃、という自領内の勢力図争いを考慮すると、妥当なスペックであることに疑いの余地はありません。サイズと性能、価格のバランスも考慮した上でコンサバ安定、という判断になったのだと推測されます。製品化とは、色んなバランスを踏まえた上での最適解だと思っているから。
でも、だからこそ「ひと工夫あっても良かったんじゃね?」という気持ちがあります。
性能的に良い製品なのだけどさ、ニコン代表団の先鋒が君で、ホントに良いのかい? ということです。
柴犬さん(リアル)の耳です。ちょっと暗い方が、こういう撮り方した時にピントが薄すぎる問題に遭遇しにくいので扱い易いね〜。ナンデモカンデモ絞りを開けて撮ってると、ボケた部分を脳内補間(通常は勝手に動作します)させながら鑑賞せにゃならん場合もあって、そういう写真を沢山見ていると頭が疲れちゃうから。そういった意味でもナンテこと無いスペックのズームで撮るのはユーザーフレンドリーでありますね。本レンズの話題からはズレるけれど、マイクロフォーサーズの絵が見易いってのはそういう部分もあるよね。
■絞りF7.1 1/250秒 プラス1.0露出補正 ISO4500