撮影共通データ:■LUMIX S 70-300mmF4.5-5.6 LUMIX S 24-60㎜F2.8 絞り優先AE WB:オート
「部分積層」って流行りなんですかねぇ?
「部分積層」なるワードはニコンZ6Ⅲでも用いられていたのは記憶に新しい。これをフル積層の高速性と通常の裏面照射型センサーのコスパ性の"いいとこ取り"と理解するか、あるいは"中途半端"と見るかは人それぞれ。
筆者のZ6Ⅲに対する感想としては、部分的とは言え積層を名乗るにしては読み出しが遅いな〜(スチル運用では)、だった。そのイメージが本機にも適用されるのか? が発表時の正直な感想だ。
3サイズはすでに発売されているS1RⅡと全く同じですが、重さは5g重い約800g。興味無いと思いますが、昨年私が新品購入しました従来型のS1は堂々の1017gでしたので豪快に軽くなってますね。
約576万ドットのEVFや3型約184万ドットのチルトフリーアングルモニタはS1RⅡと同じ。対応メディアがCFex Type BとSDのデュアルスロットなのも、インターフェースも同じ。
12bit記録時に最大70コマ/秒、14bit記録時には約60コマ/秒の高速性をアピールしているけれど、コマ速が選択できない仕様に誰も疑問を持たなかったのかな? というシンプルな疑問があります。すでに巷でも話題となっていましたね。
そのうちファームアップで対応されるのかも知れませんが、そうならそうとアナウンスしておいて欲しい気持ちで一杯です。信頼性とはそうした小さなことを丹念に積み上げることでしか得られません。
S1Ⅱが新たに搭載した機能としては、認識モード「人物」にアーバンスポーツ設定が採用されています。至近側の人体を認識して優先的にAFさせることで、背景に居る人物に被写体認識が飛んでいかないような制御とのこと。至近優先のアルゴリズムと被写体認識を組み合わせた提案は良さそうに思いました。S1RⅡにもファームアップ対応予定とのこと。コッチは言うんだね。あと、電源OFF時のシャッター閉じ機能も搭載しています。
見た目以上にS1RⅡとの違いはありました。
触れてみた感じは、まんまS1RⅡ。ブラインドタッチでは両者の判別は無理だと思います。S5Ⅱとの違いについては、グリップが違うのと、LCDの稼働方式が異なり若干分厚いこと、モードダイヤルとドライブダイヤルにロックボタンが付いていること、ボディ前面にRECボタンがあること、後ダイヤルが本機はニョッキリしていることなど、似ているようでソコソコ変更点があるので、握った瞬間には「あ、違う」と分かります。
ハイブリッドズーム1.4倍で420mm相当の12MP記録。こういった使い方には画素数の多いS1RⅡが欲しくなるけど、必要十分な解像感はあるね。このシーンの色の表現はS1より良いね!
■絞りF5.6 1/500秒 ISO200
実写コースはS1RⅡインプレ時に徘徊したコースを選びました。まず、AFの感じはS1RⅡよりも暗所特性が良くなったのかな? という印象を持ちました。特に日陰でゴチャゴチャしたシーンはS1RⅡよりもトラッキングが迷いにくくなったぞ! と歓喜していたのだけれども、もっと条件の良いシーンなのにS5Ⅱのダメな時くらいの挙動を示す時もあって、判断が難しいところです。
一方で、光量がそこそこあって被写体認識が利いているシーンではS1RⅡよりも粘る印象が強くて、特に動物園で檻越しの条件では一旦被写体を掴んでしまえば、かなり檻に邪魔されずにAF追従し続けてくれて良い感じ。これはS1RⅡより良いと感じました。
このシーンでは被写体認識がめっちゃ良かった。類人猿には相当強いというか、最強格じゃないかな? 撮っていて思わずニンマリするくらい感心しました。
■絞りF5.6 1/1000秒 マイナス0.3露出補正 ISO200
あとはキリンを狙った時でも鼻や耳、網目模様に翻弄されることなくお目々にピタリとAF枠が張り付く感じ強め。これは読み出しの速さから来る演算量の差が利いているのかな? という感触。
位相差画素の数を知らないのでナントモは言えませんが、ひょっとすると位相差検出画素が少ないこと(位相差検出画素は高画素機の方が普通は多い)で檻などの障害物の影響がちょうど良い感じに出なかっただけかも知れませんが、それでも実際に動物園で使った感じは良かったです。
が、少し気になったのは望遠ズームで15mくらい離れた対象(猫とかカラスとか)を被写体認識で撮影中に、ちゃんと検出出来ているのに、ちょいちょい背景にピントが抜ける挙動が出ていたこと。
LEICAモノクロームでパチリ。雲のモクモク感が素晴らしいね。新レンズは、正直な感想としてはトヨタ的には響きませんでした。シャープでよく写るけど…って感じ。サイズ優先と考えるにしてもそこまで小さくないしね。だったらもう少し大きくても20-60mmF2.8とかの方が嬉しかったと思うし、パナすげーぞ! って感動した気がします。コンセプトが伝わって来ないつーか。
■絞りF7.1 1/800秒 ISO100
ニコンとかフジみたいに芝生とかの高周波成分の多い繰り返しパターンが苦手かな? と思って背景がヌケたところで試してみても、やっぱり後ろにピントが逃げるのがEVFで見えちゃうのが気になりました。
高速連写はね、普通に使い難かったので作例ナシです。
屋外設置のスロップシンクをパチリ。この型のシンク、大学の暗室にあったような? と懐かしくなって思わず撮ってしまいました。トラッキングでこういった成分の対象を狙っている時のAFの安定性は結構良い感じ。ニコンZ5ⅡとかだとAF枠が周辺に向かって動いていっちゃうし、EOS R8だとちょっと画面が揺らいだ瞬間に徘徊が始まるんだけど、S1Ⅱはそれが少ないように思いました。画面内がゴチャゴチャしてくると好印象から一変しちゃうのが…ホントにね。
■絞りF5.6 1/80秒 ISO100
絵の印象はS1RⅡよりシャドー側(高感度含む)の特性が良いように感じました。同じ設定でも潰れて見えにくいって言えば良いのかな? 季節が違うのであくまでも印象論よ。
筆者の使い方が悪いのか相性の問題なのか分かりませんが、手持ちハイレゾのヒット率は期待よりも低め。もう少し使いたくなる機能にして欲しいというか…もしかしたらOMシリーズが異常なだけかも知れません。
進歩は認めます。でも、なぁーんかフラッグシップとしての特別感が乏しいような…。
砂利とか細かい模様とかの高周波成分があると、EVFの表示が少しギラついて見えちゃうのが疲れます。パッと見の視認性を高める表示と、じっくりMFする用の眼に優しい表示を選べると良いのだけど、難しいのかなぁ。でもフラッグシップモデルならそういった気遣いが欲しいよね。だってフラッグシップモデルなんだもん。
■絞りF4.0 1/250秒 マイナス0.7露出補正 ISO100
S1RⅡと同じく、従来機からスゴイ進歩を感じつつも、使用感からは情熱を感じられなくなったことは少し残念。例えばEVFの見え具合についても高解像なのは良いけれど、表示が少し攻撃的というか疲労感を覚える感があるし、S1シリーズの極上感は失われています。レリーズ感についても「凄いカメラで撮ってるぞ」的なフィーリングはナシ。
フラッグシップモデルには、性能以外の部分でも特別感が欲しいと思っている人間なので、これをフラッグシップと言われると、ナントモ複雑な気持ちになります。
トラッキング時のAF枠を、もう少し小さいサイズの選択ができるようにして欲しい。あとAFさせる範囲内がゴチャ付いているシーンでのAF精度を、もっと良くして欲しいかな。こういった撮り方をするとS5の方がバシッとピントが来ているカットが多いし、他社機でももっと精度良くてストレス少ないからね。そうした事を総合的に踏まえて考えると、S1後継としては少しキビシイ評価をせざるを得ません。ブランドの看板はそんなに軽いものではないと思いますよ。
■絞りF3.2 1/1250秒 マイナス1.0露出補正 ISO100
部分積層センサーの読み出し速度については、Z6Ⅲと同程度で、通常のセンサーと比べてビックリするほど速いというワケはありませんでした。なので動体を撮ると普通に歪みます。S1RⅡと比べると少し速いくらいで、体感ではEOS R6 MarkⅡやR8とドッコイって感じ。どちらかと言えば動画適性の高いセンサーなのかな? と考えています。