2019年1月に登場し、残念ながら2024年7月に生産終了となってしまいましたが、同じ光学系のULTRON VintageLine 35mmF2 VM Type Ⅱがあり、Type IとⅡの違いは、デザインとそれに伴う重量差約40g増になります。テストに際してType Iを選んだのは単純にトヨタの好みがType Iだったから、です。

■撮影共通データ パナソニック LUMIX S5 マウントアダプター SHOTEN LM-LSL M Ⅱ 絞り優先AE WB:オート

コシナ ULTRON VintageLine 35mmF2 VM Type I 主な仕様

●焦点距離:35mm
●最短撮影距離:0.58m
●レンズ構成:5群8枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:10枚
●フィルターサイズ:39mm
●大きさ・重さ:φ52.0×28.1mm・170g
●付属品:-

往年の名玉“2世代”へのオマージュ?

ヘリコイドアダプタ込での最至近時。全然滲まなくてビックリ。もっとフレア出るかな?と思ったけれど、軽めのヴェールで扱いやすい感じ。こういう撮り方だとボケは素直だね。周辺部でもボケのカタチなどは綺麗なままだし、性能高そうだぞ、という印象です。
■絞りF2.0 1/200秒 マイナス0.3露出補正 ISO100

ということでType Ⅱのレンズについても写りは同じなので、こちらを参考にしていただいて問題ないかと思います。

Type Iは1950年代に登場した名玉を想起させるデザイン、Type Ⅱは1970年代に登場した同じく名玉を想起させるデザインという紹介だけど、Type Iについては某ズミクロン35mmF2.0の通称8枚玉のオマージュってことでいいのかな? そこまでズミクロン35mmに詳しくないのでこのくらいで許してください。

とはいえレンズ構成は本家と全然違うようで、パッと見でもコチラのほうが性能出てるっぽい。だって両面が非球面のレンズ1枚に異常部分分散レンズ1枚使ってるし。

170gポッチなのに、この存在感はなんなの?

返却前に名残惜しくパチリした時のもの。スッキリしていて気持ち良い写り。170gのレンズがこんなに写って良いのかね?ご覧の通り歪曲はほぼ無く見えますが、実際にはごくわずかな樽型です。これは歪曲とパースに少し逆らって撮ったからちょっと不自然に反って見えるね。素直に撮ればよかったかな
■絞りF2.8と4.0の間 1/1000秒 マイナス0.7露出補正 ISO400

ビルドクオリティはいつものコシナ。ですので実物に触れる前に注文してしまっても安心です。やっぱ金属加工の精度が高そうだって感じる製品って癒やされますな。いや、興奮するね!

170gとめちゃ軽のレンズだけど、良いモノ感が溢れていて大好物。実際の重量よりも手のひらでの存在感があってありがとうございます。しっかし、弄くり回せばイジるほどに「ホントに170gしかないの?」って感じる不思議。だけど肌から離れてバッグに忍ばせている限りは存在感は皆無。この現象に名前はあるのだろうか?

距離計連動は0.7mですが、レンズのヘリコイド自体は0.58mまで切ってあります。ヘリコイドアダプタと組み合わせて使えばかなり寄れるので、並のAFレンズよりも自由度の高いレンズに変身します。

「味わい」に頼り過ぎていない点に好感を抱くですワ

昨年5月末に撮ったガチガチのファーストショット。「ん?」ってなりました。開放絞りで遠景で周辺部って、こういうレンズが苦手なシーンのハズだけど、このレンズはヘッチャラ。もっと味わい方向のチューニングだと思っていたけど、気を引き締めて撮らねば、と思った次第。
■絞りF2.0 1/1250秒 プラス2.0露出補正 ISO200

開放絞りから思いの外シャープ。これなら現代レンズに慣れた人でもビックリしないと思いますが、外観から50年代のレンズを想像してしまうと「あら、絞って撮った?」と少しドキリとするくらいのキレ味。それでいて絞り込みや撮影距離、光の使い方によって異なる表情を見せてくれる部分もある。なかなかに懐の深いキャラクターで設計されているように思いました。

周辺光量落ちが少しあるけれど、これはトヨタ的にはご褒美みたいなモンだし、むしろ上品過ぎるくらいですので不問です。

撮影距離と背景にある写り込みの形状などによっては、ボケが少しウルサク見えることもあるけど、ま、35mmレンズってどれも特定の距離と成分でそういう感じに写ることはあるぞ、というのが筆者の経験上の感想。つまり、気にするほどのことではない、です。

ハニカムパターンとかみたいな成分の模様を背景に置いちゃうと、ちょっとウルサク見えることありますが、そうじゃなければボケの感じは悪くないよね。この日はS1とS5に取っ替え引っ替え付け替えて楽しんでみたけど、S5のコンパクトなボディの方がナンダカ楽しかったです、という報告。MFはS1のがやりやすいけど、ボディバランス的にS5のがピッタリ感あって楽しかった。S5ⅡよりMFやりやすいし…これだからS5を手放せないね。
■絞りF2.0 1/1600秒 マイナス1.0露出補正 ISO400

ヘリコイドアダプタを駆使して接写しても「球面収差ガー」ということはなく、ギンギンに寄ったとしてもヘッチャラでした。
「味わい」しすぎていないので、気分を選ばず遊べるのが魅力だね。NOKTON35mm(ヴィンテージ含めて何本かあります)よりトヨタ的には好きかも知れない。

テストして気に入ったもんだから、ワリと真剣に買おうと思っていましたところ、冒頭にあるように販売が終わってしまい、途方に暮れてしまいました。同じ写り、ということで言えばType Ⅱを選べば良いけれど、外観はType Iが好みなのよ…。
思い立ったが吉日ということで、テストした時期(6月)に買っとけば良かったと、10月頃に後悔した1本です。

返却の名残惜しさ全開のラストショット。キレと柔らかさのバランスがとても好み。良いねぇ…モノクロが合うレンズって感じ。
■絞りF2.0 1/125秒 プラス2.7露出補正 ISO125