「中身はぼほぼZ fでは?」という、当初の予想を覆して“完全リニューアル”にて登場したZ6 Ⅲ。上位機となるZ9&Z8を上回るスペックと、精悍さを増したスタイリングに注目が集まる。

ニコン Z6 Ⅲ 主な仕様

●有効画素数:約2450万画素
●常用ISO感度:100~64000(拡張50~51200)
●被写体検出AF:人物、犬、猫、鳥、飛行機、クルマ、バイク、自転車、列車
●連写機能:約8.1コマ/秒 ハイスピードフレームキャプチャー+C120アリ
●EVF:約576万ドット/0.5型
●大きさ・重さ:約138.5×101.5×74mm・約760g(電池・カード含)

三代目にして激進化! 機動力に溢れるニューバランサー

Z6Ⅲの性能を一番体感できるのがEVF。『高速連続撮影(拡張)』の電子シャッター設定にすれば、動画のような滑らかな表示になるので『流し撮り』もお手の物。撮影の楽しさが広がること間違いなしだ。西武池袋線(高麗~武蔵横手)
■ニコンZ6Ⅲ NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S 絞りF14  1/40秒 ISO100 WB:晴天 

ニコンZ6Ⅲの発表を受けて色めきだった鉄道写真愛好家は少なくないだろう。Z6シリーズはハンドリングの良い約2450万画素と高感度特性の高さから、アグレッシブな鉄道写真を撮る人にとってはまさにドンピシャな機種だった。

だが、今回のZ6ⅢはZ9やZ8のスピリットを継承したということで、さらに期待は膨らむ。そこで鉄道写真家である私が体感した、Z6Ⅲの進化した機動力や能力を少しだがお伝えしよう。

梅雨時らしい雨がそぼ降る高麗川の畔で特急『ラビュー』を撮影。思った以上に暗いためにISO3200の超高感度を設定するが、ノイズが非常に少なくディテールもしっかり表現できるのがZ6Ⅲの底力!西武池袋線(東吾野~吾野)
■ニコンZ6Ⅲ NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S 絞りF14 1/40秒 ISO100 WB:色温度(4500K)

まずは何と言っても『被写体検出(のりもの)』&『高精度AF』の搭載が大きな魅力だ。『被写体検出(乗り物)』はAFポイントが捉えるべき列車の先頭部を正確に捕捉し続け、さらにZ9やZ8をしのぐ、最大-10EVまで検出可能な『高精度AF』が低輝度下でのピント合わせも可能にしている。

また逆光下にも強いAFなので、ヘッドライトの輝きが強くなってきた夕暮れ時の編成写真撮影でもAF-Cが良い働きをしてくれる。Z6ⅡではAFが暴れてしまうような状況でも安心して使えるのだ。

そして世界初の『部分積層型CMOSセンサー』の恩恵は計り知れない。新型のCMOSセンサーというと、何かと絵作りばかりが気になってしまうが、イメージセンサーの性能はAF精度やEVF性能にも大きな影響を与える。

総武本線を1カ月に2~4往復しか走らないレア車両の『B.B.BASE』。失敗したくない列車の一つだが『被写体検出(のりもの)』&『高精度AF』でピントの心配とはおさらば!緻密な構図取りに専念できる。総武本線(物井~佐倉)
■ニコンZ6Ⅲ NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR 絞りF13 1/400秒 ISO400 WB:晴天

特にZ6Ⅲの『部分積層型CMOSセンサー』はEVFの大幅性能アップに大きく寄与していると感じる。読み出し速度はZ9やZ8の積層型CMOSセンサー程でないそうだが、EVFの表示タイムラグは驚くほど少ない。

また電子シャッターにすることで約20コマ/秒の高速連写が可能になるだけでなく、EVF表示が60fpsになることで、より滑らかに動体を追うことができる。

流し撮りで威力を発揮! 電子シャッターが普通に使える!

日向灘の夜明けを特急〔ひゅうが〕と共に。朝陽が登った空と日向灘に注ぐ小丸川という明るい背景であっても、列車や船の暗部のディテールはしっかり。これがZ6Ⅲの広いダイナミックレンジの表現力だ。日豊本線(川南~高鍋)
■ニコンZ6Ⅲ NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S 絞りF7.1 1/2500秒 ISO800 WB:色温度(4500K)

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