「Thypoch(タイポッシュ)」は、昨今のオールドレンズ・オールドカメラブームにマッチしたクラシカルなデザインのレンズを発売・発表している中国のシネレンズ専門メーカーです。今回は同社の「Eureka(エウレカ)シリーズ」と「Simera(シメラ)シリーズ」の3本のレンズを試す機会に恵まれましたので、紹介させていただきます。

Thypoch Eureka 50mm F2 〇近日発売予定  ※画像は現在取り寄せ中

●焦点距離:50mm
●最短撮影距離:約1.0m
●レンズ構成:4群6枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:12枚
●フィルターサイズ:A36(かぶせ式)
●大きさ・重さ:φ約35.9×41.255mm
●付属品:フード UVフィルター フード
●マウント:ライカM

「Thypoch Eureka 50mm F2」サンプルレンズで速報レビュー!

レトロなデザインなのでSIGMA fp Lに合わせてみました。レンズ自体がとても小さいので、レンズフードを付けてもそれほど長くは感じません。なお、この個体の外観は真鍮ですが、 製品版はアルミニウムの素材になるとのこと。

今年のCP+で発表され、3月中旬発売予定の「Thypoch Eureka 50mm F2」は、Simeraシリーズとはまた異なるレトロなデザインの、高い解像力と色再現に優れたレンズです。

レンズ名の「Eureka」は、「わかった!」という意味の古代ギリシャ語の感嘆詞で、撮影者がこのレンズを手に様々な新しい発見をして欲しいという、メーカーからのメッセージが込められています。

レンズを引き出すときはレンズ先端を持ってぐっと引っ張ります。カメラに付けた状態で沈胴させるのは、センサーを傷付けそうでちょっとドキドキします。

オールドレンズ好きの筆者が惹かれたのは、とても安直ですがそのデザイン。テイラーホブソン社のアナスティグマット2インチf2を彷彿とさせるレトロな沈胴式。今回レビューで使用したサンプルレンズは真鍮製だったこともあり、重さとひやりとした質感に、持った瞬間にノックアウトされました。

製品版は軽量性なども考慮して、Simeraシリーズと同じアルミニウム合金製になるそうです。でもオーダー式でもいいので真鍮製も発売してもらえると、所持欲も叶えたいユーザー層により熱く響くような気もします。

マウントはライカMマウントで、レンズ構成は4群6枚(ED特殊低分散ガラス1枚、HRI高屈折率ガラス1枚)、絞り羽根枚数は12枚、撮影最短距離は約1m、サイズは約35.9×41.2mm、付属品として丸形レンズフード、UVフィルター、フロントキャップ、リアキャップが付いてきます。

同梱されるUVフィルターを付けた状態。フィルター効果については、今回のテストではあまりわかりませんでした…。

写りは意外なほどしっかりとしていて、ピント面は絞り開放でもキリッとシャープ。細かい枝やふわふわのファーの質感も、丁寧に描き出しています。ピント面から外れたボケへの移行は大きな山を下るように急で、構図内に奥行き感と立体感を作り出してくれます。

■シグマ fp L 絞りF2 1/640秒 ISO100 WB:オート ※カラーモード:ティールアンドオレンジ

撮影時は基本的にレンズフードを装着していたお陰か、逆光のシーンでもフレアーやゴーストは見受けられませんでした。個人的には、もうちょっとフレアーが生まれると嬉しかったりしますが…。

■シグマ fp L 絞りF4 1/1600秒 ISO100 WB:オート ※カラーモード:スタンダード

■シグマ fp L 絞りF2 1/640秒 ISO100 WB:オート ※カラーモード:ウォームゴールド

付属のUVフィルターも使用してみましたが、それほど変化は見られず。少し周辺光量落ちが大きくなった気もしますが、これはもっと色々なシーンでテストしてみないとわからないと感じました。

■シグマ fp L 絞りF4 1/1600秒 ISO100 WB:オート ※カラーモード:風景 付属UVフィルター使用

■シグマ fp L 絞りF2 1/1250秒 ISO100 WB:オート ※カラーモード:スタンダード

逆光、順光、レンズに光が当たる角度によって、描写に大きな違いが出るレンズです。均一に同じような画を生み出すレンズよりも「撮っている」実感が湧くので、正確さよりもワクワクを求める方は、間違いなくハマると思われます。