LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO 主な仕様
●焦点距離：35mm判換算約37.5mm相当
●最短撮影距離：0.34m
●最大撮影倍率：0.15倍
●レンズ構成:9群14枚
●最小絞り：F11
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:62mm
●大きさ・重さ：φ71.5×81mm・約575g（ソニーE）
■撮影共通データ：ニコン Z fc 絞りF0.95 1/1000秒 ISO125 WB:オート ※ピクチャーコントロール：ポートレート
大きくて柔らかいボケこそ開放F0.95の持ち味！
APO設計のレンズなので、色収差はしっかりと抑えられています。色数が多い意地悪な背景でも、水彩画のようにボカしてくれるのでどこで撮っても画になる
本レンズの大きな特徴は、F0.95の大きな開放F値にあります。浅い被写界深度から得られる、とろけるような大きなボケは主役であるモデルを立体的に浮き立たせて、より印象的に表現してくれます。
今回はハイライト部分を白トビ限界ギリギリの明るさに、さらにモデルの白いブラウスを背景に溶け込ませるようにして、光の海で泳いでいるかのような幻想的なカットを狙ってみました。まさに、こんな描写を求めていたのですよ。
測ったわけではありませんが、ほぼ撮影最短距離での撮影。MFの合わせ方は、まず最短距離にピントリングを合わせて、体を前後させて微調整しました。
焦点距離は35mm判換算で約37.5mmと、画角は標準なのですが、この大きな開放値のお陰で、この焦点距離とは思えないほどの、大きくて柔らかいボケが生み出されています。
さらにAPO設計の採用により、色収差がしっかり抑制されています。特に逆光での撮影が多いポートレートでは、演出の意図を削ぐようなパープルフリンジやゴーストは排除したいもの。余計なことに煩わされないで撮影に集中できるのはありがたいです。
レンズのサイドには、絞りリングのクリックとデクリックの切り替えスイッチがあります。筆者は動画撮影時にはデクリックを使用して、絞りの操作音を動画に乗せないようにしますが、静止画撮影時には意図せず絞りが変わってしまわないようにクリックに切り替えています。地味ながらこれはあって欲しい大切な機能です。
最短撮影距離は34cmなので、寄りたがりの筆者にとってもポートレート撮影では十分な距離です。作品になりにくい顔のアップもただホワホワさせるだけではない、ピント面をクリアーにシャッキリと描いてくれる本レンズのお陰で、ピントの合った瞳と、前髪だけで奥行き感を表現してくれています。
こういうカットが撮れてしまうと、スマホの撮影は、まだまだレンズ交換式のカメラとレンズには及ばないな！ と、妙に感動してしまったり…。
MFに戸惑うなかれ。ファインダーでじっくり合わせよう。
撮影日は真夏のような天気の良い日だったので、その光を使いたくて、ひたすら逆光で、背景に光るもの、もしくは白っぽいものを探して撮影しました。
大きさは約71.5×81mm、重さは約575gで、標準画角のレンズとしてはちょっと長いかな？ くらい。 重さはZ fcのボディが軽いこともあって、それほど感じません。スナップもポートレートも、街中に溶け込んで自然に撮影できます。
ピント合わせはマニュアルフォーカスなので、顔認識や瞳AFなどに慣れている方は最初は戸惑うかもしれませんが、ファインダー付きのカメラと拡大表示、ピーキング機能があればいずれ慣れます！
なぜファインダー付きのカメラがいいかと言うと、特にこれからの季節、太陽の光が強くなってくると、背面の液晶画面が反射で見えにくくなります。かと言って、バリアングル液晶の角度を調節して見やすくしようとすると、カメラをホールドしにくくなり、せっかく合わせたフォーカスがシャッターを押し込む前にずれてしまう危険性が高くなります。
ちょっと悲しかったのが、レンズキャップがプラスチッキーでおもちゃのような質感なことと、取り外しがしにくいこと。特に外すときは、バキッと壊してしまいそうでかなり怖かったです。
三脚を使用するのならそれでもよいのですが、フットワーク軽くさまざまなカットを撮影したいのであれば、外光の影響を受けないファインダーを覗いての撮影がお勧めです。
とにかく本レンズは、実際に撮影してみると、写真とともに自分の心もとろけます。シルキータッチの優しい手触りを感じられるようなポートレートが撮りたいなら、絶対的にお勧めできるレンズです。
■モデル：山上ひかり