FE 70-200mm F2.8 GM OSSⅡ 主な仕様
●焦点距離:70-200mm
●最短撮影距離:0.4~0.82m
●最大撮影倍率:0.3倍
●レンズ構成:14群17枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:11枚
●フィルターサイズ:φ77mm
●大きさ・重さ:φ88×200mm・1045g
●付属品:フード/ケース
高級レンズ=Gマスターシリーズの第2世代
とはいえ、ソニーオンラインストアをみると初代FE70-200ミリGMも現行商品で価格差なんとたったの407円(原稿執筆時点)!で販売継続中。…どっちを買えばいいのー?と悩んでしまった迷える子羊さんのために、Ⅱ型の進化点をあらためて見ていこう。
FE70-200mmF2.8GM OSSⅡの進化点でも特質すべきは、その軽量化。鏡筒のサイズ感こそ変化はないものの、手に持つと明らかに軽い。対初期型で約29%・435gもの軽量化を実現しているのだ。
これは、鏡筒内の部材に軽量で堅牢なマグネシウム合金を採用したことや、ズーミングでレンズ重心が大きく動くことがないよう、従来のフロントヘビーな光学設計を見直したことによるもの。
三脚座の真上あたりに重心がくるため動画撮影用ジンバルの使用時の都合が良いだけでなく、スチール撮影時は三脚/一脚使用時もちろん手持ちのハンドリングバランスも良い。何にしても単焦点の広角レンズ1本分に相当する軽量化は、携行時の負担減としては大変ありがたい。
外観からすぐに分る変更点としては、鏡筒に絞りリングが追加された。この絞りリングは中間絞りのクリックストップをオフにするデクリックも可能。
動画撮影中にスムーズかつ連続的に絞りを調整し、被写界深度の変化を映像表現として加味できる。
スチール撮影時にもカメラを保持する左手だけで操作できるようになるので、右手はシャッターを切ることに集中できるし、もちろん従来通りのカメラ側のダイヤル操作と使い分けも可能。今後登場してくるGマスターの新製品には、絞リングは標準装備になっていくのだろう。
圧倒的な軽量化のみならず、AFレスポンスの進化も顕著
撮影結果に直結するAF性能の向上としは、鏡筒の全長変化を伴わないフローティングフォーカスを継続しながらも、レンズ駆動に強力なパワーを発揮するXDリニアモータを4基搭載。その結果、AF駆動速度が初期型比で約4倍に高速化されたとのこと。
実際、動体の撮影中にEVFのライブビューで気持ちよくAF合焦する様を体感できた。この感覚を一度味わってしまうと、正直なところI型に戻るのは難しいだろう。AFの強化は静止画での動体適応力だけでなく動画撮影時にも有効。
特に、接近しつつある被写体の撮影でズーム操作を伴う場合のAF追随性能も約30%向上というのだから、頼もしいことこの上ない。またピント移動にともなう画角の変化=フォーカスブリージングも抑制されているとのこと。
肝心の描写力に関しては、新規光学設計でも変わらずまさにGマスターのシャープさと美しいボケを堪能できる。カメラのAF検出、追随制御の向上との相乗効果で絞りを開けても大きなボケ味を楽しめるし、Gマスターの多くのレンズに言えることだが、逆に絞り込みでの使用でも良好な画を得られるので、表現の幅も多彩だ。
ここまでくれば、もう羊の迷いは解消、2世代FE70-200mmF2.8GM OSSⅡの描写力のごとくクリアになっているはず。
結論としては、新規購入者はいうもでもなく、既存のⅠ型ユーザーも資金的な問題がなければ買い替えで幸せになれるはず。
ただし、動画は撮らないし風景など静止した被写体がメインで、AF速度は重要視しないという人は慌てる必要はないだろう。Ⅰ型の描写も素晴らしく見劣りすることもない。Ⅱ型に買い替えるユーザーが増えれば必然的に中古市場には多くのⅠ型が流れるわけで、状態が良く予算に会う個体を探してみるのも楽しいだろう。