コシナからフォクトレンダーブランドの交換レンズNOKTON 23mmF1.2 Aspherical Xマウントが登場した。フォクトレンダーブランドのXマウント用としては2本目となる。

NOKTON23mmF1.2 Aspherical Xマウント 主な仕様

●焦点距離:23mm(35ミリ判換算35mm)
●最短撮影距離:0.18mm
●最大撮影倍率:1: 4.9 (フルサイズ換算:1:3.3)
●レンズ構成:6群10枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:12枚
●フィルターサイズ:φ46mm
●大きさ・重さ:φ59.3×43.8mm・約214g
●付属品:フード/キャップ

Xマウントシリーズ、期待の第2弾!

X-H1とのマッチングは良いです。というか、意匠がNOKTON35mmF1.2とほぼ同じだしね。悪かろうハズもない。

X-Pro2と組み合わせてみると、それはもう運命の出会いかも知れません。このサイズで抜群の写りだから反則だよ。しかし通信には非対応という悲劇。

先日紹介したNOKTON35mmF1.2 Xマウントと同様に電子接点をもっているので、対応するカメラとの組み合わせでExif記録や撮影距離連動表示、ボディ内手ブレ補正、X-Pro3でのパララックス補正に対応している。が、残念ながらX-Pro2は非対応ボディとなっている。
本レンズのニコンZマウント版についてもCP+2022で参考出品されていたので、その登場が待ち遠しい限り。

興奮醒めやらぬNOKTON35mmF1.2に対して、今回は…沈着冷静です。と言いつつもレンズを弄んでいるとニマニマとだらしのない顔になってしまうのは致し方のないところ。
正道かつ王道ど真ん中の「コレだよコレ!」っていうデザインは本レンズにも引き継がれていて実に見目麗しい。というか35mmF1.2とほぼ一緒だね。

前玉のサイズが35mmF1.2は大きくて23mmF1.2は少しつぶら。鏡筒には焦点距離を示す23とか35という数字がソコソコ目立つ感じで入っているので、見間違いする危険性は低いと思います。

操作感、質感は間違いなく上質。白飯3杯はおかわりできそう…

X-Pro2と組み合わせてOVFで撮っていると尋常じゃなく楽しい。小窓運用(X-Pro2でOVF撮影する際に右下に小窓を出現させて、そこに測距ポイントの拡大画像を表示できる)するとMFしやすい。ほぼ開放だけどメチャクチャシャープで気持ち良い。
■フジフイルム X-Pro2 絞りF1.4 1/9000秒 WB:オート ISO400

1/3ステップでコリコリと心地良い絞りリングの操作感やネットリとしたピントリングの操作感、また肌触りなどレンズ鏡筒の質感は申し分なく上質。なのに背伸びすれば手の届く定価税込み9万9000円のプライスタグは流石コシナ様。

この価格でこのクオリティを実現する御業は偉大でございます。リアルな事を言えばMFレンズだから実現できたんだろうね。AFとか自動絞りとかの機構を入れちゃうととてもじゃないけどこの価格に収まらないと思います。デバグとかも大変そうだしね。

マニュアルレンズでできることを最大限に活かした製品作りにコシナっていうメーカーの特色が出ているように思いました。ともあれ、これは間違いなく枕元に置いて寝れるタイプのレンズだね。神棚があればお供えしたいレベル。

性能が良くて艶っぽさもある、最新の高性能レンズみたいな写りなのにこのサイズ感という奇跡。「APS-C、最高…」と思う瞬間でもあります。APS-Cってベストバランスだとつくづく思うね。
■フジフイルム X-H1 絞りF1.8 1/3500秒 WB:オート ISO400

描写は、先の35mmとは真逆のキレッキレ系

通信対応のX-H1と組み合わせた感じは非常に良好です。対応ボディだけあって対応動作については全く問題ありませんでした。ニコン版と違って中間絞りの絞り値は記録されず表示も1/3ステップ。ピントは見易いのでMFが楽々。軽いしコンパクトだし格好良いし…撮る前から既に楽しいことが確定しています。

念の為、非対応リストに載っているX-Pro2と組み合わせてみたけれど、奇跡は起きず。カメラ側に絞り値は表示されませんし、撮影画像のEXIFデータにレンズ情報は記録されませんでした。

MFしやすいので積極的に開放近辺を使えちゃう。NOKTON35mmは極上だと思ったけどNOKTON23mmは最高だね。そろそろ私の誕生日が近いので、と言い訳してお迎えしたい気持ちがムックムク。
■フジフイルム X-H1 絞りF1.8 1/340秒 WB:オート ISO320

写りは同じNOKTONを冠する35mmF1.2とは描写傾向が全然違っていて、アチラは絞りや撮影距離でホワッと柔らかな描写を楽しめる「味わい系」のレンズでしたが、コチラは絞り開放から非常にシャープ。絞りで遊ばない優等生キャラです。

冷静に考えてみると、ワイドレンズでホワホワしてたら「ん?」と思わなくもないので、このチューニングは妥当だと思いますし、実際問題「うぉースゲー」って感じで楽しかったです、はい。

クドい様ですが、絞り開放から気持ちよく解像します。コントラストでカッチリ見せる系ではなく、ちゃんと結像しているので「繊細な描写」だな。それでも絞り込みによって多少の変化はあるようで、絞りf/2.8~f/4.0で最高解像だと思いました。

真の意味で「レンズ交換」が楽しめるんです

行ったことないけどニューヨークっぽさを感じたのでパチリ。キレの良いレンズだとシャープに撮りたくなるね。
■フジフイルム X-H1 絞りF2.2 1/9000秒 WB:オート ISO400

でも撮ってる感じと画像チェックした感じで言えば、絞りは被写界深度のコントロール用って雰囲気。繰り返しになりますが、絞り開放でも十分にシャープで繊細に解像しています。収差を意識することはなかったね。

クラシカルな外観なのに、それこそギンギンに性能が出ているのが面白いね。至近端は18cmで、レンズフードの先端から約10cmくらいまでイケました。さすがに至近端だとホワホワするし、背景によってはグルグル模様が見えなくもないけれど、これはこれで面白いと思います。

至近端から指2本分程度離れるとシッカリとシャープなので相当性能高いと思いました。上述になりますが、同じNOKTON銘でも全然性格違って面白いです。35mmは情緒系の写りに思ったので少しノスタルジックに撮ってみたり、アレヤコレヤと試しながら撮るのが非常に楽しかったのですが、本レンズは繊細系なのです。

接写性が高いし、至近端から数センチ離れるだけで輪郭部はサッパリ滲みません。こういうシーンだと、ピントは固定でカメラを微妙に前後させながら連写するスタイルが吉です。
■フジフイルム X-H1 絞りF2.2 1/2200秒 WB:オート ISO400

よって、似たような撮り方をするのも違うと思ったので、どう料理してくれようか?と考えながらの撮影になりましたが、あまり凝ったことをせずありのままを捉えるのが良いのだろうと淡々と撮影を進めてみたところ、ドンピシャ。コレが非常に楽しかった。

こんな感じでレンズによって気分を変えて楽しめるってのは良いよね。画角としてはフルサイズ換算で35mm画角なのだけど、写りはやっぱり実焦点距離の23mmっていうワイド感があってドライな感じがするのが興味深いです。
豊田的には35mmはまだ我慢出来たんだけど、23mmは琴線に触れるものがあって「どうしてくれようか」と悶々街道を突っ走っています。