キヤノンのRFマウント群は高級仕様のLタイプが充実しているが、懐に優しい価格帯のノーマル仕様のレンズも増えてきた。このRF100-400mm F5.6-8 IS USMはノーマル仕様シリーズでは初めてテレ端焦点距離が300ミリを超える、期待の望遠ズームレンズだ。
キヤノン RF100-400mm F5.6-8 IS USM 主な仕様
●焦点距離:100-400mm
●最短撮影距離:0.88m(200mm時)
●最大撮影倍率:0.41倍(400㎜時)
●レンズ構成:9群12枚
●最小絞り:F32(100mm)・F45(400mm)
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:φ67mm
●大きさ・重さ:φ79.5×164.7mm・約635g
気軽に振り回せる「超望遠ズーム」
近年の超望遠ズームでは、被写体をより大きく撮りたいユーザーの欲求に応えて150-500mmや150-600mmなどが人気だ。しかし同時に、ズーム倍率と絞りの明るさを確保するため大柄で重量級と、扱うにはそれなりの腕力も必要。
その点において、銀塩カメラの頃からスポーツやネイチャーシーンで人気のあった100-400mmズームが求めやすい価格というだけでなく、他の交換レンズとも携行しやすい軽量なノーマル仕様レンズの選択肢として登場したのは嬉しい。
EOS「無双」R3 との組み合わせではご覧の通り、仰々しさもオーラも皆無。ともすると貧弱なレンズに見えなくもない組み合わせだが、この軽さなら一日中被写体を追い掛けてレンズを振り回しても疲れ知らずだと思う。!
手ブレ補正機能への信頼性は、さっすがキヤノン
電源オフ時にはレンズを前から覗くと、IS制御の駆動系がフリーになっているため鏡筒内部のレンズがゆらゆら揺れて心配になる。が、スイッチオンで通電すると目覚めてビシっと姿勢を正すように制御を開始する様が頼もしい。
バッテリーはそれなりに食いそうな感じだが、それでも5.5段分の補正効果をしっかり発揮してくれればそれで良い。こうした安心感もあり、試写中はついついテレ端ばかりで撮りがちになってしまったくらいだ。
リーズナブルな価格も、描写力は文句なし。コスパ高し!
望遠レンズということで、どうしても遠景主体の撮影が多くなるとは思う。が、数メートルの距離、2桁、3桁メートルの中間距離から無限遠まで概ね解像感の高い画が得られ、画像を拡大するまで撮影時には気が付かなかったもので写しとめていることが確認できて驚くことも多かった。
今回は試していないが別売のEXTENDER RF1.4x/2x に対応し、テレ端は最長で800mmまで伸ばすことが可能。ただし開放絞りがF16まで落るので、そこまで超望遠撮影したいなら素直にRF800mm F11 IS STMに行く方が良いだろう。
ライバルのフルサイズミラーレス機を見渡しても、現時点ではこの写りと機動力が10万円を切る価格で手に入り同等クラスレンズと呼べる存在は無い。なかなか良いポジションを狙ったレンズだと思う。