星景・天体写真の第一人者として知られる新潟県在住の写真家、沼澤茂美さんの作品、動画を紹介しよう。2ページめ、皆既日食の動画は貴重で神秘的です。

写真とは「一瞬一瞬を名残惜しむよう凍結していく行為」

9年ぶりにイースター島を訪ねた。別名Isla De Pasqua(パスクア島)、現地の人はラパヌイと呼ぶ。島の景観はほとんど変わっていなかったが、大きな変化があった。

「ラノ・ララクの上に輝く天の川中心」
▲この時期イースター島では、夜半、天の川の最も明るい部分が頭上高く輝き、その迫力に圧倒される。ラノ・ララクの山腹が車のライトで明るく輝いた。
■ソニーα7R Ⅲ SIGMA 14mm F1.8 DG HSM Art 絞りF1.8 30秒 ISO4000 赤道儀による追尾撮影 Leeソフトフィルター3番 

島に点在する主だったモアイ像のエリアは柵で覆われ、夜間の侵入は禁止されていたのだ。モアイと星空を撮るためにやってきた私は出鼻をくじかれてしまった。さらに天候は雨に転じ、撮影はほぼ絶望的かに思われた。

「ハンガ・キオエ、流れる雲とアルタイル」
▲島の唯一の町、ハンガロアの近くに立つ単独のモアイだ。街灯りのために雲が白く輝いている。左上に見えている明るい星が日本でもおなじみの彦星・わし座のアルタイルだ。
■ ソニーα7R III SIGMA 20mm F1.4 DG HSM Art 絞りF1.4 30秒 ISO3200 赤道儀による追尾撮影 Leeソフトフィルター3番 

ところが夜半近くなった頃から雲の隙間が見えはじめ、漆黒の空には日本とは比べようもない華やかな南天の星々が顔をのぞかせた。空はみるみる広がってゆき、そこにはあり得ない強さで輝く巨大な天の川が天を二分して輝いていた。

「天の川に見える黒い模様」
▲ハイコントラストな天の川の光の中には、複雑な暗黒の模様を見ることができる。インカでは、この模様をカエルやリャマ、へびなどの動物に見立てていた。
■ ソニーα7R III SIGMA 14mm F1.8 DG HSM Art 絞りF1.8 30秒 ISO4000 赤道儀による追尾撮影 Leeソフトフィルター3番