平成の世との別れのとき。
そのさよならの向こう側に、燻るように、しかしギラギラと輝き続ける昭和が、
確かに私たちを照らしているのを感じる。
失われゆく昭和よ、来たるべき次代を照らす文化とならんことを。
音楽、ファッション、映画などのサブカルを中心にヴィンテージまみれの青春を20年以上ひた走る「おじさん女子」2人組L’amritaが、昭和歌謡の世界を、令和を迎えた日本を舞台に繰り広げます。

昼のスズナリ 夜のスズナリ

あれ、さっきまでの美女はどこへ行った?前回まで女性を演じてくれた佐野さんが、夜になって男の子に早変わり。
彼の装いは男の子の時もどこか昭和ですごくお洒落。バンドマン以外ではこういう人ってあんまりいない気が…ということでこの企画が始まった当初から絶対に出てもらおうと思っていた方のひとりなんです。
夜の下北沢を、男同士でいつも通りに満喫してもらいましょう!

本多劇場と並んで、下北沢を象徴するランドマークといえば、ここ、スズナリ。
昼間、通りかかると「あー劇場なんだな。シモキタっぽーい!」という感じのこの場所も、夜になると「すずなり横丁」というネオンが光る、ザ・飲み屋街。

昔ながらのスナックもあれば、普段は役者やヘアメイク、ミュージシャンなどいろいろな人が日替わりバーテンを務めるバーなどもあり、毎夜賑わっています。

シモキタ歴50年ほどにもなるという知り合いのマスター曰く、「あの飲み屋の上の劇場は、昔はお店のお姉さんたちが住んでたんだよ~」
「すずなり荘」というアパートの2階部分を改築して俳優養成所「本多スタジオ」となったのち、昭和56年に劇場に改装されたのだとか。
その後、下北沢には次々と小劇場ができて、今では「下北沢は演劇の街」とも呼ばれるようになりました。
その一番最初の劇場がこのスズナリなんです。

周辺の再開発と道路計画のため、近い将来この姿は見られなくなると言われています。
劇場に入るとところどころ床はふかふかしてしまっているし、そんなのなくてもそう長くはもたないかもしれないけれど、長くこの下北沢に親しんだ者にとってはスズナリがなくなるなんて、月並みだけれどやっぱり寂しいものです。