平成の世との別れのとき。
そのさよならの向こう側に、燻るように、しかしギラギラと輝き続ける昭和が、
確かに私たちを照らしているのを感じる。
失われゆく昭和よ、来たるべき次代を照らす文化とならんことを。
音楽、ファッション、映画などのサブカルを中心にヴィンテージまみれの青春を20年以上ひた走る「おじさん女子」2人組L’amritaが、昭和歌謡の世界を今現在の日本を舞台に繰り広げます。

本物だけが創り出せる本物の世界 大箱屋のLiquid light show

その投影がなされた瞬間、ああ…という声を小さく漏らしてしまった。ああ、そうか、と。
機材、手法、そのすべてにおいて1960年代当時の手法にこだわったリキッドライトショーを行う「Over Light Show〜大箱屋〜」。
私だって、私なりに1960年代の文化は愛してきた。だからわかる。そのこだわりはきっとひとたび浴びたら誰にでもわかってしまう、本物の色をした光の響きだ。

今まで、いわゆるVJというものにはそれなりに触れる機会はあったものの、リキッドライトは初めて。
バンドの演奏中に照明や映像投影で演出するほかの方法との比較のなかで、リキッドライトってどういうものなのだろう?と想像していた私の印象は一瞬で覆された。
その、まるで生きているような有機的な動き、音楽へのシンクロ度、そこから受ける強烈な没入感。
サイケデリックの本当の意味を、私はこの時またひとつ新たに知った。

リキッドライトの技術について、大箱屋さんにお話を伺った。けれども完全に独学のその世界で、ここまでの表現を獲得されている彼の技術について、私が多くを語ることはできそうにない。
「色のついた液体の動きを投影する」一言でいえばそういうことなのだけれど、温度変化によって泡立たせたり、手で動きをつけたりしながら投影されたその像が、音の発する振動に影響を受けるという、その一点がほかの表現とは大きく異なると感じた。
まるで楽器を扱うようにして、ほかの楽器の音と一体化し、「空間」を奏でる。
大箱屋さんの言葉を借りて言えば「僕も演者の一人として、セッションに参加している」ということだ。
音に包まれる、音を浴びる快感を、耳と肌以外に、眼でも味わえる貴重な体験だった。

新しい時代に創り出されることの意味

ニューアクションの音楽、大箱屋のライトショー、平成のゴーゴーガールたち。
私の周りでは過去の年代のスタイルを、カルチャーを、愛し追求している表現者はたくさんいます。
「あの頃」を知らない私たちが今を生きる感性で選び取ったスタイルとして…
そのそれぞれの、今を生きる感性で表現された作品のそのままを、今を生きるあなたの感性で感じてほしい。
ここはまだほんの紹介の入り口です。

鈴木和美ちゃんと歩く上野の街をめぐるお話と「わたしの青い鳥」「しあわせ芝居」の世界はここまで。
次回更新は5月17日(金)です。誰と一緒にどこへいこうかな? どうぞお楽しみに♪

inspired by
「わたしの青い鳥」
昭和48年
作詞 阿久悠
作曲 中村泰士
編曲 高田弘
歌 桜田淳子
「しあわせ芝居」
昭和52年
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 舟山基紀
歌 桜田淳子

モデル:鈴木和美(フルーティスト)

kazuming.com

キクラテメンシス、デカダン・スケバンドのメンバー。サロメの唇、タブレット純、阿佐ヶ谷姉妹等のサポートでも活躍。サイケ、歌謡ロック、プログレ…ジャンルを飛び越え縦横無尽に駆け巡るフルーティスト。
ゆるキャラ愛が高じてバンドの公式キャラクターを生み出し、またキャラ弁コンテストで全国3位に入賞したりと、音楽以外にも「好き」を形にして生きる、キュートな情熱家。
【出演情報】
純とおまつとカズミン
6月4日(火) 渋谷7thFLOOR
キクラテメンシス『PROGRESSIVE FLUTE! VOL.4』
6月23日(日) 吉祥寺シルバーエレファント
阿佐ヶ谷姉妹単独公演『オー!シスター』
・東京公演会場:下北タウンホール
7月23日(火)、24(水)、25(木)、26日(金)
・大阪公演:大丸心斎橋劇場
7月29日(月)、30日(火)、31日(水)
・名古屋公演:今池ガスホール
8月2日(金)、3日(土)
【リリース情報】
キクラテメンシス『碧の幻想曲』
ライブ会場、ディスクユニオンにて発売中

写真・文:L'amrita(ラ・ミュリタ)

写真家・齋藤真理と文筆家・早川瑞穂からなる創作ユニット。なんでもない毎日を、ちょっとロマンティックに、ノスタルジックに。『すべてのひとがそれぞれの物語の主人公』をテーマに活動する女性ふたりの創作ユニットです。昭和レトロ、ヴィンテージ、60年代~70年代の音楽や映画など、ふたりの趣味を活かした懐かしくて温かみのある雰囲気の作品作りを得意としています。

www.lamrita.tokyo

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