写真の新たな媒体、SNS( ソーシャル・ネットワーク・サービス)この連載では写真家・中野幸英さんが、SNS から生まれた新たな文法= リテラシーを実際に投稿者と会って検証・共有していきます。今回はHAI HUYNHさん(トラベルフォトグラファー)をご紹介します!この記事は月刊カメラマン誌に掲載されたものです。

HAI HUYNHさんのSNSへのアクセスはこちらから!

We love JAPAN.

HAI さんと出会ったのは3 月に東京・有楽町で行われたInstagram のイベント「UNKNOWN JAPAN」だった。スマートフォンに3 軸ジンバルを付けて会場を動画で撮っていて、その姿は平日昼間の有楽町ではかなり目立つ。

話を聴くと、写真を出品しているという。このイベントは今まで知らない日本をインスタの投稿から引き出す展示だ。日本各地で撮影された投稿から、彼は新潟での火渡りの写真を出していた。

改めてインタビューを申し込んで別れた後、彼のアカウントを見た。日本のいろいろな場所に訪れているその目線は、時にフォルムや色が強調されていて、日本で生まれ育った僕には特異に感じるし、旅行者の写真にしては構図の据え方が洗練されている。

後日、まず彼自身について話を聴いてみると、トラベルライターである女性と結婚して2009 年から日本に住み、海外を含めた取材を行っているトラベルフォトグラファーだという。
その珍しい肩書きにもだが、彼独特の視座に興味が惹かれてしまう。

先週もオーストラリアに取材に出ていたという。生活でも仕事でもパートナーである、Jesicca と一緒の取材の時もあれば別の時もある。

これまで訪れた国は54 カ国。お互い違う国で生まれた夫婦が、なぜ結婚して日本に住んだのか聞くと「Welove JAPAN.」と明快に答えてくれた。

Ability of share

SNS の使い方について聞くと、彼は仕事の写真とは別に撮っていると答えた。

自分のプロモーションではなく、ソロ アクティビティーである写真という趣味について、自由に写真が歩き出すような、という表現を使って「SNS では個人の情熱やモチベーション、良さ悪さを広めていく」と彼は話してくれた。

彼が取材に赴くと、その場所についてInstagram の投稿に付けられたハッシュタグを検索する。そしてその土地の見所、美味しい店、面白い人とすぐ繋がってコンタクトを取っているという。

実際、google で検索するよりも、直接誰かと繋がるにはSNS は便利だ。僕もこの取材で何人かとコンタクトを取ることができるという。
写真からダイレクトに自分が興味を持つ人を探し出せるという感触を持っている。

「...meet new friend same passion, interest, minorgroup.」 同じ情熱や興味を持った誰かや小さなコミュニティーに出会うことができる。

単語や取引だけではない、人の探し方としてSNS は有効なのだろう。あと彼がprofessional はshare しない、と話したのは変に心に引っかかった。

確かに仕事の写真は無料で公開出来ない。お互い、SNS にジレンマを感じている部分である点だともいえる。「SNS では多くのタレント(才能)に出会える…」彼の感覚には頷く点が多かった。