シグマからワイド端20mmで開放F2.8スタートを実現した新しい標準ズーム「20-60mm F2.8-4 DG | Contemporary」が登場した。LマウントとEマウントが用意されるが、純正ではパナソニックにはLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6が、ソニーにはFE20-70mm F4 Gがある。前者に対してはほぼ同サイズ(フィルター径はどちらもΦ67)ながら2/3~1段明るく、後者に対しては約100g軽量(ソニーはテレ端70mmだけど488g)という特徴を持つ。防塵防滴仕様かつ、前玉には撥水防汚コートが採用されたタフネス仕様というのも嬉しいポイントだ。

■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。

※撮影共通データ■パナソニック LUMIX S5 絞り優先AE  WB:オート

シグマ 20-60mm F2.8-4 DG | Contemporary (Lマウント)主な仕様

画像: シグマ 20-60mm F2.8-4 DG | Contemporary (Lマウント)主な仕様

●焦点距離:20-60㎜
●最短撮影距離:0.158m (焦点距離28mm時)0.2m(W)/0.25m(T)
●最大撮影倍率:1:2.3(焦点距離35mm時)
●レンズ構成:13群15枚
●最小絞り:F22-32
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ72.2mm x 86.0mm・385g
●付属品:フード ポーチ

フルサイズを感じさせない軽快な動き!

画像: フルサイズを感じさせない軽快な動き!

今回テストしたのはLマウント版。カメラは私物のLUMIX S5と組み合わせた。この状態で約1.1kgなので、普段の荷物にプラスして持ち歩いても苦にならないサイズ感というか、フルサイズ機としてはコンパクトな部類に属するシステムとなる。

ズームリングの回転方向はLUMIX Sレンズとは逆。よって純正ズームレンズしか使ったことがないユーザーだと「あれ?」となる可能性はある。
鏡筒の剛性感は上々。操作系は基本的にスムースでズームリング操作時にも妙な引っ掛かりやトルクの目立つムラはなく、いわゆる中華レンズとは一線を画すクオリティ…ではあるけれども、数年後には並ばれている予感を否定できない。ともあれ個人的には操作トルクはもう少し重い方が好みだ。

HLA(シグマのリニアモーター)によるAFのレスポンスは良く、ほぼ無音で高速に動作する。フルサイズ用のレンズなのに、サイズや近接性、高速かつ静粛なAFなどトータルでの使用感はMFT(マイクロフォーサーズ)に近く、筆者のように色んな機種をテストしている場合には撮影していて「あれ、いまどのフォーマットを使ってるんだっけ?」という良い意味での混乱がある。こういったレンズがあると積極的にフルサイズ機を持ち歩きたくなる。

開放F値の変動について

F2.8は20mmだけ。
21mm時:F2.9
24mm時:F3.2
28mm時:F3.4
30mm時:F3.5
35mm時:F3.7
47mm以降はF4.0
だった。

イジワルな事を言えば、見掛け倒し感は否めない。しかし(少しネタバレになるけれど)開放からガシガシ使えてこのサイズ感であることを考慮すると「驚異的な事をやっている」とは思いました。

すべてはこの「サイズ感」の前で許せます…いや、ハイレベルなんです!

画像: いきなりのモノクロ。描写の特徴が分かりにくいですね。20mm感のある写真を…と思ってたのだけれども、室内ってほぼ作例利用NGというか、許可取るとギャラより撮影料の方が高いとか、そうじゃないところでも1年以内に使わせて貰ってるとか色々な事情があり、ワイドの作例って大変です。なので、ローカロリーでシャープさを見せていく方向で、という魂胆です。実際抜群にシャープなのに、ガリガリしてなくて好印象でした。周辺が落ちているように見えるのはそういう撮り方をしています。実際にはそこまで落ちていません。 ■絞りF5.0 1/200秒 マイナス1.3露出補正 ISO100 ※フォトスタイル:L.モノクロームD

いきなりのモノクロ。描写の特徴が分かりにくいですね。20mm感のある写真を…と思ってたのだけれども、室内ってほぼ作例利用NGというか、許可取るとギャラより撮影料の方が高いとか、そうじゃないところでも1年以内に使わせて貰ってるとか色々な事情があり、ワイドの作例って大変です。なので、ローカロリーでシャープさを見せていく方向で、という魂胆です。実際抜群にシャープなのに、ガリガリしてなくて好印象でした。周辺が落ちているように見えるのはそういう撮り方をしています。実際にはそこまで落ちていません。
■絞りF5.0 1/200秒 マイナス1.3露出補正 ISO100 ※フォトスタイル:L.モノクロームD

今回は過去に28-70mm F2.8 DG DN | Contemporaryで撮影したコースをある程度トレースしつつ、どんな特徴があるのか、またLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6と印象の差はあるか? に留意しながら撮影を進めてみた。

いつもどおりイジワルテストを幾つかこなしてみたが、20mm時開放絞りでも、周辺部で色ズレや流れたりといったことはなく、画面の隅々まで安定してシャープ。軸上色収差が気になる人には「ムム…」というポイントがあるにはあったけれども、目くじらを立てるレベルでもなく、コンテンポラリーというクラス的にも十分頑張ったと評価してよい。

画像: 接写力がお世辞抜きで素晴らしいね!! どのズーム位置の至近端でもシャープだし、ボケも綺麗だと思いました。至近側の最後の5cmくらいの領域で、(LUMIX)S20-60mmよりも本レンズの方が性能含めて明確に印象が良いです。技術の進歩ってスゴイよね。ほぼ同サイズなのに明るくなっていて写りも良くて、寄れてAFまで強い。これくらい凄いレンズが登場して初めて「あ、S20-60mmって素晴らしいレンズだったんだな」みたいな発見があり面白かったです。 ■絞りF4.0 1/200秒 ISO200 ※フォトスタイル:スタンダード

接写力がお世辞抜きで素晴らしいね!! どのズーム位置の至近端でもシャープだし、ボケも綺麗だと思いました。至近側の最後の5cmくらいの領域で、(LUMIX)S20-60mmよりも本レンズの方が性能含めて明確に印象が良いです。技術の進歩ってスゴイよね。ほぼ同サイズなのに明るくなっていて写りも良くて、寄れてAFまで強い。これくらい凄いレンズが登場して初めて「あ、S20-60mmって素晴らしいレンズだったんだな」みたいな発見があり面白かったです。
■絞りF4.0 1/200秒 ISO200 ※フォトスタイル:スタンダード

近接時の描写については至近端でもお見事。特に中央部は素晴らしいシャープネス。レンズによっては近接時で周辺部が急に流れたりする場合もあるけれど、そういったネガな割り切りもない。さらにピント位置前後のハイライトが滲んだりすることもなかった。つまりは全体的にハイレベルな光学性能で驚かされた次第だ。

至近端近辺でピントが来ていないエリアについて、少しヌケ感が下がってスモーキーな表現に見える場合もある(最近のシグマレンズに多いやつ)が、これは個人的には好きな描写だ。ボケも比較的素直で口径食も少なめ。少し絞った方がボケはキレイに見えたが、撮影距離やズーム位置などシーンを問わず描写は安定していて、どこにも無理している感がなく、「よくこのサイズで…」と唸らされた。

28-70mm F2.8 DG DN | Contemporaryとの印象差

画像: 28-70mmF2.8の方が良いかな? と思ったのがこういうシーン。プラス10mmの余裕があることと、遠距離ではアチラのほうがちょっとだけクドくない、というか自然に見えました。本レンズの方が切れ味強めに見えることが多くて、こんなシャープじゃなくても、と。個体差(シグマはほぼ無いけど)とかボディとの組み合わせの都合はあるかも知れません。ということでいつもより絞り込んでパチリ。これくらい絞ると回折でちょうど良い心地良さの絵になったぞ、と。S1RⅡとかの高画素モデルだったら印象が変わる可能性はあります。あくまでもS5と組み合わせた場合の話です。 ■絞りF11 1/250秒 ISO100 ※フォトスタイル:スタンダード

28-70mmF2.8の方が良いかな? と思ったのがこういうシーン。プラス10mmの余裕があることと、遠距離ではアチラのほうがちょっとだけクドくない、というか自然に見えました。本レンズの方が切れ味強めに見えることが多くて、こんなシャープじゃなくても、と。個体差(シグマはほぼ無いけど)とかボディとの組み合わせの都合はあるかも知れません。ということでいつもより絞り込んでパチリ。これくらい絞ると回折でちょうど良い心地良さの絵になったぞ、と。S1RⅡとかの高画素モデルだったら印象が変わる可能性はあります。あくまでもS5と組み合わせた場合の話です。
■絞りF11 1/250秒 ISO100 ※フォトスタイル:スタンダード

凄く主観的な事を言えば、撮影距離が10mより遠い場合は28-70mmF2.8の方が写りは好み。それより近距離であれば本レンズの方が高そうな絵だな、という印象でした。

トータルでは本レンズが好き。コンパクトで接写性も高く、普段スナップで撮影する対象との距離感など、総合的に使用条件に適合していると感じました。ただし、光線状態によっては本レンズの方がシャープ過ぎて見える場合もあったので、ボディ側の絵作り設定を少し追い込みたいとも思いました。

もちろん、コンスタントF2.8というスペックに魅力を感じているなら、筆者とは異なる評価になるかも知れません。筆者は別にF2.8ズームじゃなくても良い派で、本当に申し訳ないというか、24?70mm F2.8 DG DN Ⅱ| Artを普段使ってるので、どうしても明るさよりサイズの魅力の方が刺さるから。それにArtは凄く良いからね。
ということで、公平な判断とは言えない部分があります。

LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6との印象差

画像: 逆光時ゴースト・フレアのワースト。試した限りではf/5.6辺りが一番目立つかも? まぁまぁイジワルしてコレなので、個人的には程度は良いと思いますが、フレア・ゴーストは絶対ヤダって場合には違う選択肢を検討するのが良いと思います。完全に推測だけど、恐らくある程度フレア・ゴーストを残して表現への利用も睨みつつ、それでいて嫌な感じの出方にならないようなチューニングにしているのでは? フツーに撮ってたら「フレアだ!」ってなるシーンはそうそうない気はします。 ■絞りF5.6 1/80秒 ISO100 ※フォトスタイル:スタンダード

逆光時ゴースト・フレアのワースト。試した限りではf/5.6辺りが一番目立つかも? まぁまぁイジワルしてコレなので、個人的には程度は良いと思いますが、フレア・ゴーストは絶対ヤダって場合には違う選択肢を検討するのが良いと思います。完全に推測だけど、恐らくある程度フレア・ゴーストを残して表現への利用も睨みつつ、それでいて嫌な感じの出方にならないようなチューニングにしているのでは? フツーに撮ってたら「フレアだ!」ってなるシーンはそうそうない気はします。
■絞りF5.6 1/80秒 ISO100 ※フォトスタイル:スタンダード

過去にS 20-60mmで撮った写真を掘り起こして何度も確認してみたら、ボケも悪くないしピント位置はかなりシャープ、改めてS 20-60mmって良いレンズだなという発見がありました。中古お手頃価格で手に入るので、入手性や気軽さでもポイントが高くかなりの強敵です。

描写性能について現実的な事を言えば、本レンズの方が全体的にちょっとずつ良くて、例えば近接時の背景ボケにハイライトが入った際のヌケ感。S 20-60mmはちょっと滲みがあってクラス感が出てしまうのだけれども、本レンズはクリアでスッキリ(少しスモーキーではあるけれども)していて、写真を眺めていて絵のクォリティが高い感じがしました。が、それ以外の、特にプログラムオートで撮るようなシーンなら実力は拮抗しているように思いました。

総じて、約1段明るいことが利くシーンをどれだけ使うか? ここがキモになりと感じました。仮に、室内で使うことが多いなら、本レンズの方が間違いなくアドバンテージがあります。

「え、標準ズームはもうコレで良くない?」と感じる1本

画像: 20mmのワイド感は伝わるでしょうか? データ容量の都合で、このページだと良く分からないと思いますが、実データだと生地を素晴らしく再現してくれていました。24mmとの違いは、よりワイドな画角が持つパースがウンヌンとかじゃなくて、引けのない場所でも構図の自由度が大きく広がることだと思っています。これは「あのレンズでは出来なかったことが、このレンズなら出来る」になり、存在価値が大きく高まります。iPhoneなどの超ワイドに慣れた視覚では20mmってまだ狭いけれども、それでも24mmとはレベルの違う自由度が手に入るからね。個人的には趣味の1本というよりはお仕事レンズとして注目しています。高画素機ならクロップで飛躍的にカバー範囲が広がるしね。 ■絞りF2.8 1/80秒 マイナス1.3露出補正 ISO100 ※フォトスタイル:L.モノクロームD

20mmのワイド感は伝わるでしょうか? データ容量の都合で、このページだと良く分からないと思いますが、実データだと生地を素晴らしく再現してくれていました。24mmとの違いは、よりワイドな画角が持つパースがウンヌンとかじゃなくて、引けのない場所でも構図の自由度が大きく広がることだと思っています。これは「あのレンズでは出来なかったことが、このレンズなら出来る」になり、存在価値が大きく高まります。iPhoneなどの超ワイドに慣れた視覚では20mmってまだ狭いけれども、それでも24mmとはレベルの違う自由度が手に入るからね。個人的には趣味の1本というよりはお仕事レンズとして注目しています。高画素機ならクロップで飛躍的にカバー範囲が広がるしね。
■絞りF2.8 1/80秒 マイナス1.3露出補正 ISO100 ※フォトスタイル:L.モノクロームD

S 20-60mmと近似するサイズ感なのに、性能が良くなってて明るさもある。それでいて約13万円(税込)というお値段にも納得感がありました。

余計な事ですが、こういう提案をパナの(LUMIX)S 24-60mm F2.8に期待していたのだけれども、真面目に性能を最大化して純正品質で、コスパも欲張って…そういう具合に全方位に頑張り過ぎちゃったのだろうね。

性能が良くて当たり前の時代に、どんなキャラやコンセプトで新しい撮影体験を提案していくか? が本当に大事なのだ、と改めて思いました…が、そう感じるのは一部の変態というか同業者だけかも知れません。

画像: 至近端時に開放絞りで、ピント面から収差がどう変化していくか? のチェック。グワって急にボケたりして無くて、とても綺麗な滲み方で「ほう…」となりました。ほぼファーストショットがコレだったので、もうウッキウキ。良いレンズは楽しいです。気になったのは、S5と組み合わせた時に、時折AF挙動がオカシクなること。具体的にはトラッキングAFやオートエリア(225点とかのやつ)にしていても、トラッキングが働かなかったり、特定の1点のみでAFする場合がチョコチョコありました。レンズ着脱で復帰するけれども、接点のお掃除をしても再発し、筆者私物のS1でも再現しました。 ■絞りF4.0 1/250秒 マイナス0.3露出補正 ISO100 ※フォトスタイル:スタンダード

至近端時に開放絞りで、ピント面から収差がどう変化していくか? のチェック。グワって急にボケたりして無くて、とても綺麗な滲み方で「ほう…」となりました。ほぼファーストショットがコレだったので、もうウッキウキ。良いレンズは楽しいです。気になったのは、S5と組み合わせた時に、時折AF挙動がオカシクなること。具体的にはトラッキングAFやオートエリア(225点とかのやつ)にしていても、トラッキングが働かなかったり、特定の1点のみでAFする場合がチョコチョコありました。レンズ着脱で復帰するけれども、接点のお掃除をしても再発し、筆者私物のS1でも再現しました。
■絞りF4.0 1/250秒 マイナス0.3露出補正 ISO100 ※フォトスタイル:スタンダード

ともあれ、使い勝手が抜群です。何と言っても使用感にフルサイズ特有の重ったるさが微塵もないことが最高に効いています。いくらコンパクトなボディが出てきても、フルサイズ用のズームレンズってデカいじゃない? あの「ヨッコラショ」がなく、バッグから取り出したり構えたりする際のちょっとした ”体力を削ってくる” 感じがありません。

動作が静粛迅速ってのもポイントが非常に高いです。こういったレンズが出てくるとAPS-Cじゃなくてフルサイズにしようかな? という気持ちになりますね。技術でこれまでの常識を塗り替えていく感じがとても爽やかでした。
LマウントとEマウント以外でも、本レンズを楽しめると良いのにね。

画像: 遠景だろうとピント精度もシッカリ安定しているし、写りが気になる事はなにもございません。なんか雲が良い感じだったので楽しむ目的でパチリ。義務感でしか普段は撮らないようなモノでも、不思議と撮りたくなるというか。そういう感覚が湧いてくるのでメチャ楽しかった。S20-60mmも楽しいっちゃ楽しいけれど、お家に帰ってPCで確認していて楽しさに係数が掛かるタイプのレンズという印象で、本レンズは歩いてる時から楽しいって感じ。この感覚ってなんだろう? という答えが出せないまま、雨で追加の撮影に行けていません。 ■絞りF9.0 1/640秒 ISO100 ※フォトスタイル:スタンダード

遠景だろうとピント精度もシッカリ安定しているし、写りが気になる事はなにもございません。なんか雲が良い感じだったので楽しむ目的でパチリ。義務感でしか普段は撮らないようなモノでも、不思議と撮りたくなるというか。そういう感覚が湧いてくるのでメチャ楽しかった。S20-60mmも楽しいっちゃ楽しいけれど、お家に帰ってPCで確認していて楽しさに係数が掛かるタイプのレンズという印象で、本レンズは歩いてる時から楽しいって感じ。この感覚ってなんだろう? という答えが出せないまま、雨で追加の撮影に行けていません。
■絞りF9.0 1/640秒 ISO100 ※フォトスタイル:スタンダード

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