■深澤武氏プロフィール
1974年埼玉県生まれ。東京理科大学工学部卒。風景写真家。学生時代から北アルプス白馬岳など信州をメインフィールドとして活動。近年は奄美群島や琉球諸島など、南の島にも撮影領域を広げている。富士フイルムフォトサロンやニコンサロンなどで写真展多数開催。「デジタル一眼レフ風景写真の撮り方教えます」(技術評論社)、「ニッポンの桜100選」(学研)、「厳選日本の紅葉」(学研)、「沖縄・八重山諸島」(青菁社)など著書多数。(公社)日本写真家協会会員。
プロカメラマン深澤武氏のニコンZ5IIのセッティングは?
コンパクトで軽量! フィールド撮影に適したカメラ
Z5IIを初めて手にした感触はコンパクトで軽いということ。約910gのZ8から約700gのZ5IIに持ち替えるとその軽さを実感する。フットワークを生かして山や渓谷を歩き、フィールド撮影を行うのにぴったりのカメラである。2450万画素という画素数は控えめではあるが、1m程度のプリントサイズには十分だ。夜の天の川をファインダーで確認できるので星空撮影の構図決定も容易。防塵防滴性能を有しているので雨天時はもちろん、滝の水しぶきを浴びながらの撮影でも安心だ。
精緻な描写が求められる風景シーンでは最高画質で撮影するのが基本である。画質モードはRAW+FINE★、画像サイズはLサイズで撮影している。JPEGのファイルサイズを小さくしたいときはNORMALやBASICに変更することもできるが、2450万画素を生かせるLサイズで撮影することは必須だ。また、今すぐにRAWデータを使うことはないかもしれないが、何年か経過すると自分自身のRAW現像技術が向上し、過去に撮影した写真の現像をやり直したくなるものである。ホワイトバランスの微調整やピクチャーコントロールの調整を行えるメリットは大きいのでRAWデータは残しておきたい。Z5IIのベース感度のISO100で撮影するのが最もノイズが少なく、色再現も良好だ。ただ風景撮影では風によって枝や草が揺れていることが多く、被写体ブレを防ぐために私はISO200を常用感度としている。
ピクチャーコントロールをカスタマイズして自分の色に
風景をメリハリのある描写で仕上げるにはピクチャーコントロール「風景」が適している。コントラストや彩度が高く、色に深みがあって鮮やかな仕上がりである。私の場合、ややコントラストが高く感じるので、カスタムピクチャーコントロール機能を利用してカスタマイズした設定を使っている。「風景」モードをベースにコントラスト「ー1」、彩度「+0.5」にすることで、元の「風景」モードよりも落ち着いた雰囲気に仕上げられる。気に入ったピクチャーコントロールで撮影を重ね、好みの設定を見つけてゆくとよいだろう。

「スタンダード」や「風景」など、編集したいピクチャーコントロールを選び、コントラストや彩度などを自分好みに調整する。調整した設定は名前を付けて保存できる。

アクティブD-ライティングや手ブレ補正など、頻繁に変更する設定はiメニューに登録している。iボタンを押すだけで呼び出せるので素早い設定変更が可能だ。また意図した設定になっているかどうかを一目で確認できるメリットも大きい。

朝焼けに染まる八島ヶ池。ホワイトバランス「晴天」により、見た時の印象に近い朝焼け色を引き出せた。地平線付近の橙色から上部の藍色へのグラデーションがうまく描かれており、誇張のない自然な色合いだ。
■NIKKOR Z 24-70mm f/4 S 絞り優先AE(絞りF16 1秒) マイナス0.7露出補正 ISO200 WB:晴天
朝夕の赤みのある光を含め、現場の光を生かすためにホワイトバランスは「晴天」で撮影するのが筆者のオススメ。晴天昼間の太陽の光を基準にした設定である。朝夕の赤みを帯びた色、日陰の青みを帯びた色など、現場の臨場感が生きる色合いに仕上がる。ネイチャー撮影では夜間を除いて人工光の影響を受けることはなく、ホワイトバランス「オート」で撮影するメリットはない。むしろ色が不安定になりがちなので「オート」は極力避けたいところだ。星空やホタルなどの撮影では色温度設定で4000K程度にすると青みを帯びた仕上がりとなり、夜のイメージを引き出せる。
ニコンZ5IIのオススメ設定【風景編】
- 撮影モード:絞り優先AE
- 画質モード:RAW+FINE★
- フォーカスモード:AF-S
- AFエリアモード:ピンポイント
- 被写体検出:オート
- レリーズモード:1コマ撮影
- ISO感度:マニュアル
- ISO感度オート範囲:使用しない
- シャッター方式:オート
- ピクチャーコントロール:カスタムピクチャーコントロール
- WB:晴天
- アクティブD-ライティング:オート
Text&Photo:深澤武
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