■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。
RF28-70mm F2.8 IS STMのインプレッション
明るくて、軽くて、安いというワガママを叶える標準ズーム

以前テストした個体はベータ版だったこともあり、改めて製品版をテスト。描写や使い勝手の印象は変わらず、でした。写りは普通に良いし性能と価格のバランスも悪くないのだけれど...。
28mm 絞りF6.3 1/320秒 マイナス0.7露出補正 ISO200
共通撮影データ/EOS R8 プログラムAE ISO200 WB:オート
小型軽量なF2.8通しの標準ズームレンズでIS(手ブレ補正機構)も搭載している。沈胴仕様となっており、レンズキャップ装着状態で全長約100mm。重さについても約495gとスペックに対してかなりのコンパクトサイズを実現している。
シグマやタムロンを見ていると、光学式手ブレ補正機構を省くことでサイズと性能、お手頃価格で高いバランスを実現させていたが、本レンズはISを搭載しつつ小型軽量とLレンズ相当(RF24-105mm F4 L IS USM)の画質性能を実現したところが新しい。
このサイズを実現した立役者は、本誌P78のRF16-28mmでも紹介した新ISユニット。構成する全ての部品の重心を正確に計算し配置を最適化することで、ユニット全体の小型化を実現している。実際に手にしてみると、約500gというスペックよりもずっと軽く感じる(ちなみにRF24-70mm F2.8 L IS USMは約900g)。

19万円と言われるとフードが付属しないことなどには少し釈然としない気持ちが芽生えます。所有欲を満たすタイプのレンズではなく、コスパで趣味のものを選ぶと、ちょっと楽しくない感があります。
70mm 絞りF9 1/800秒 プラス0.7露出補正
ズームリングやコントロールリングの操作感はとてもスムーズ。沈胴操作についても同様で、程よい操作トルクだ。リードスクリュータイプのSTMではあるが、AFレスポンスと速度は快速・快適。カタログスペックでの近接性は28mmでのAF時に0.27mとのことだが、手元計測では25cm程度(レンズ先端から13cm程度)までAFで撮影できた。70mm時にはレンズ先端から17cm(指標までは約33cm)まで近接でき、この領域で最大倍率は0.24倍となかなか寄れる印象だ。
画質については、あらゆる条件で写りは必要十分というか、分かりやすくネガティブなところがなく、「小さくて軽くて良く写るから、コレで十分かも!?」という感じ。目立ったフレアやゴーストは発生せず、逆光耐性も良好だ。

ただし、フードは付属しておらず、税込約19万円の製品と言われると微妙。だが、「究極の性能までは必要ないけれど、ソコソコ満足度の高い光学性能と、F2.8の明るさが欲しい。でも、大きく重いレンズを持ち歩くのは少しシンドイ」というワガママを叶える1本として、痒いところに手が届くレンズである。
Photo&Text=豊田慶記
RF28-70mm F2.8 IS STMのスペック
- 焦点距離:28~70mm
- レンズ構成:12群15枚
- 画角(対角線):75°~34°
- 最短撮影距離:0.27m(28mm/AF時)、0.24m (28mm/MF時)
- 最大撮影倍率:0.24倍(70mm/AF時)、0.24m(70mm/MF時)
- 最小絞り:F22
- 絞り枚数:9枚
- フィルター径:67mm
- レンズフード:EW-73D(別売)
- 最大径×長さ:約φ76.5mm×92.2mm
- 重量:約495g
価格:オープン(実売18万8100円)
発売日:2024/9/27
