■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。
RF16-28mm F2.8 IS STMのインプレッション
新技術投入で小型軽量&高性能を実現した最新ワイドズーム
2024年に登場したRF28-70mm F2.8 IS STMに続く、新たなスペックのワイドズームレンズ。フィルター径はφ67mmでRF28-70mm F2.8と同じで、沈胴仕様であることも共通だ。沈胴状態で全長約91mm。16mm時にレンズ長は最大約113mm、重さも445gとワイドズームとしてはなかなかコンパクトだ。それでいてをIS(手ブレ補正機構)搭載していることも素晴らしい。ちなみに、RF15-35mmF2.8 L IS USMは約840gである。


このサイズを実現した立役者は、RF28-70mm F2.8と同じ「新ISユニット」。構成する全ての部品の重心を正確に計算し配置を最適化することで、ユニット全体の小型化を実現。これに加えて大径のレプリカ非球面レンズを配置したこともポイントだ。

至近側でも合焦面はかなりシャープ。背景を整理していることも少なからず影響していますが、それでもボケがキレイで良い感じなことは伝わるかと。周辺でもガチャガチャしてないよね。
絞りF2.8 1/80秒 プラス2.0露出補正 ISO1000
共通撮影データ/EOS R8 絞り優先AE WB:オート
ズームリングやコントロールリング、沈胴操作はスムーズ。沈胴解除時のトルクも同様に軽めで好感が持てる。接写性は高く、ワイドマクロ的な使い方で軽量コンパクトを活かしてガシガシ撮れるのも気持ち良い。写りに関しても、開放絞りからキリリとした解像感はもちろん、大きく絞り込んだ領域でも回折が気になる(補正が賢いのだろう)ことも無かった。最至近付近から指1~2本程度の領域だけ少しだけ甘くなるように見えたが、それでも寄れることの悦びの方がはるかに大きく楽しいものだ。
AFはかなり快適。リードスクリュータイプのSTMなので、静粛性に優れていることはもちろん、レスポンスと速度も上々、というかUSMと遜色ない。

輝度差が大きくなる窓枠付近やカーテン部とか照明のエッジ部分に色付きはナシ。補正が頑張っているのか、素の実力が高いのかは分かりませんが、スゴイ時代ですねぇ...。
絞りF2.8 1/60秒 プラス1.0露出補正 ISO200
...とまぁ、良いことづくめなのだが、引っかかるのは約19万円という立派な価格と、それでいてフードが付属しないこと。かなりバランスの良い製品である、という印象と、「軽さが魅力」というのが率直な感想ではあるけれど、プラス約5万円でRF14-35mm F4 L IS USMという、画角も広く魅力的なレンズが存在することを考えると悩むところだ。
Photo&Text=豊田慶記
RF16-28mm F2.8 IS STMのスペック
- 焦点距離:16~28mm
- レンズ構成:13群16枚
- 画角(対角線):108°10′~75°
- 最短撮影距離:0.2m(28mm時)
- 最大撮影倍率:0.26倍(28mm時)
- 最小絞り:F22
- 絞り枚数:9枚
- フィルター径:67mm
- レンズフード:EW-73E(別売)
- 最大径×長さ:約φ76.5mm×91mm(収納時)、112.8mm(16mm時)、102.1mm(28mm時)
- 重量:約445g
価格:オープン(実売18万8100円)
発売日:2025/2/21