■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。
キヤノンRF70-200mm F2.8 L IS USM Zのインプレッション
AF追従性と描写安定性を高次元で両立。価値ある1本。
パワーズームアダプター対応の「Z」を冠する新世代の70-200mmF2.8ズームレンズ。RF24-105mmF2.8L IS USM Zと共通の鏡筒デザインとサイズを採用するが、本レンズのみ白のカラーバリエーションが用意されている。

興味深いことに、本レンズのほうが約200g軽い。RF24-105mmF2.8Zと同様に、ズーム操作での光軸のズレは極限まで抑えられたシネレンズのクオリティで作られている。

エクステンダー使用時でも画質への影響は軽微。AF性能の低下は全く気にならなかった。お値段にも納得の性能だ。
151mmエクステンダーRF2x使用(302mm相当) 絞りF5.6 1/2000秒 ISO1000
共通撮影データ/EOS R1 WB:オート
注目点は2つのナノUSMによる電子式フローティングフォーカス。高度なセンシング技術によって、ズーム群の繰り出し位置を高精度に検出することで各ズーム位置に最適化したフォーカシングを実現。ズーム操作しながらの撮影でも高いAFの追従性を実現しただけでなく、「遊び」を極限まで小さくできるので描写安定性も両立させている。簡単に言えば、どのズーム位置で、かつどんな状態でも高次元で安定したAFと描写性能を得られるようになった。

写真をチェックしていて「アレ?単焦点レンズで撮ったっけ?」となるトンデモナイ写り。これはダメでしょう(←褒めてます)。
100mm 絞りF2.8 1/100秒 プラス1.0露出補正 ISO1600
実際に絞り開放から高性能な単焦点レンズのように繊細な描写が得られ、それがどのズーム位置でも、またピント方向を問わず得られるとのこと。実際に撮った写真をチェックしてみると、描写の安定感がこれまでのコンスタントF2.8の望遠ズームレンズとは少し違うことが感じられた。
高速かつ高レスポンスなAFと強力な手ブレ補正機構のISによって、撮影体験そのものが申し分なく楽しい。ズームリングの回転角が狭めなことで迅速にズーム操作できることも快適だ。エクステンダーにも対応し、RF×2使用時でもAFレスポンス低下や画質への影響は極わずかで筆者の感覚ではエクステンダーの介在を意識することは無かった。

重量バランスや使用感も良く、このレンズを体験してしまうと、他の70-200mmF2.8では満足できなくなりそうだ。
200mm 絞りF2.8 1/250秒 ISO640
約50万円という価格は非常に高価ではあるが、実際に使ってみると、とても納得感のある仕上がりになっていて驚く。正直なところ、ここまで高性能である必要はないのだけれど、本レンズを知ってしまうと、他のレンズでは満足できない身体になってしまいそうだ。
Photo&Text 豊田慶記
キヤノンRF70-200mm F2.8 L IS USM Zのスペック
- 焦点距離:70~200mm
- レンズ構成:15群18枚画
- 角(対角線):34°~12°最短
- 撮影距離:0.49m(70mm時)、0.68m(200mm時)
- 最大撮影倍率:0.2倍(70mm時)、0.3倍(200mm時)
- 最小絞り:F22
- 絞り枚数:11枚
- フィルター径:82mm
- レンズフード:ET-88C(付属)
- 最大径×長さ:約φ88.5mm×199mm
- 重量:約1115g(ホワイト)、約1110g(ブラック)※三脚座含まず
価格:オープン(実売49万5000円)
発売日:2024/11/29