※撮影共通データ ■キヤノン EOS R10 絞り優先AE
シグマ 30mm F1.4 DG DN | Contemporary(RFマウント) 主な仕様
●焦点距離:48mm(35ミリ判換算)
●最短撮影距離:0.3m
●最大撮影倍率:1:7
●レンズ構成:7群9枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:52mm
●大きさ・重さ:φ69.0×71.3mm・285g(キヤノンRF)
●付属品:フード
シグマ 56mm F1.4 DG DN | Contemporary(RFマウント) 主な仕様
●焦点距離:89.6mm(35ミリ判換算)
●最短撮影距離:0.5m
●最大撮影倍率:1:7.4
●レンズ構成:6群10枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:55mm
●大きさ・重さ:φ69.0×57.5mm・290g(キヤノンRF)
●付属品:フード
大口径ながら十分にコンパクト。そして軽量。
まずはレンズをEOSボディに装着してみると、その収まりの良さが心地いい。最近のAPS-C用レンズのコンパクトさ優先のラインとは異なるが、大型の高画質レンズのように異常なほど存在感をしめすものとも異なる。つまりは「ちょうどいい」のだ。
今回使用したボディは筆者個人所有のEOS R10。EOSのAPS-C機最上位のEOS R7よりはひと回り小ぶりなボディだが、それでもバランスは良好。30mmはレンズ鏡筒が絞られたデザインで、56mmはピントリングあたりでやや膨らむデザインで寸胴に近く見える。また、全長が30mmの方が少し長く56mmの方が短い。
このあたりのデザインの違いが持ちやすさ等に影響していると思われる。筆者としては56mmの方が手にしたときのバランスが良く感じられた。重さ的には30mmが280g、56mmが285gといずれも軽量で似た重さであるため、形状の違いがそう思わせるのであろう。もちろんこのあたりはユーザーそれぞれの手のサイズにも依存する部分であり、どちらのレンズも開放F1.4のレンズとしてはかなりコンパクトな部類に入るといっていいだろう。
さて、シグマのRFマウント用レンズ(他社も基本同様だが)共通のポイントとしては、レンズ情報をボディ側が持たないため、キヤノン純正のデジタルレンズオプティマイザは使用できない。しかし歪曲収差や周辺光量、色収差、回折補正は利用できる。
また専用のコントロールリングを持たないが、それはキヤノン純正のRF-Sレンズも同様。ピントリングかコントロールリングか、どちらかに設定する必要がある。「ピントはAF任せ」という方はコントロールリングとして使って露出補正を割り当てるのも良いだろう。その代わり、いざマニュアルフォーカスで撮ろうと思ってボディをMFに切り替えてもピント合わせはできない。よって、イザという時に「動かない」と騒ぐことになる(笑)
レンズを装着してファインダーを覗くと「明るい!」と思わされる??
いや、ナイナイナイ(笑)。デジカメのEVFだと、レンズの明るさなんて露出調整されて分からないから。にも関わらず明るいと感じさせられるのは…像にキレがあり、とてもクリアであること。そしてボケが大きくコンパクトズームが映し出す像とは明らかに異なるからだ。それがファインダーで視覚として実感できるのだ。
実際にデータでは中央から周辺四隅の部分までとてもシャープで、均一した画質。カリカリしたエッジではなく、細く丁寧なエッジでのキレの良さでとてもクリアだ。ボディ側補正とうまくマッチして各種収差も見当たらない。ボケはソフトでピント位置から丁寧に繋がってボケていく。実に気持ちがいい。
両レンズは画角が異なるため画としての描写は大きく異なる。
30mmは45mm相当の標準レンズらしく、自然な遠近感が得られる。しかし、少し角度を付けて構えると逆にパースが際立って広角っぽい写りにすることもできるので、オールマイティーに使っていけるだろう。それでいて角度を付けても歪みが目立つことはないので常用にももってこいだ。
一方56mmは84mm相当の中望遠ということで、用途としてはスナップやポートレートあたりか。今回はポートレートでの実写はしていないが各撮影距離での画質から見るに、ポートレートでも素直なシャープネスと美しいボケが得られるはずだ。
筆者は主にスナップベースでの撮影を行ったが、コンパクトなので常用にもまったく抵抗がなく、むしろ意識を集中させる視野に近いため気に入ったポイントを抜き取るような撮り方にはとても重宝した。
さすがは単玉。絞ればキレッキレの描写が堪能できる!
どちらのレンズもよほどの逆光でなければゴーストは発生せず、耐性も十分。開放だけが能ではないので多少絞ってF4~F5.6程度で撮るとまさにキレッキレの描写を見せてくれて質感描写も得意だ。
ちなみに開放絞りのF1.4だが、晴天時の屋外では明るすぎてISO100でも露出オーバーとなってしまうことが多い。EOSのAPS-C機ではISO100よりも低感度側の拡張設定がないため、明るい場所でどうしても開放絞りで撮影したい場合はメニューから「シャッター方式」を切り替えよう。
ここで電子シャッターを選択すれば、より高速なシャッター速度を利用することができる。動きの速い被写体ではローリングシャッター現象が出てしまう可能性もあるが、通常の撮影であれば電子シャッターでも問題ないはずだ。これはフルサイズ機でも同じ。安易に低速側のISO感度拡張を使うよりも、電子シャッターを使う方がお勧めでもある。
ということでこれら2本のレンズ、レンズが大口径というだけでなく描写性能も高く、1クラスも2クラスもカメラの性能を引き上げてくれる。言い換えればAPS-CのEOSを積極的に使うなら、ぜひとも使ってみたいレンズだ。キヤノン純正のラインナップにもないし、価格的にも良心的な設定。迷っている場合ではないぞ!