■撮影共通データ パナソニック LUMIX S1 マウントアダプター SHOTEN LM-LSL M Ⅱ 絞り優先AE WB:オート
コシナ APO-ULTRON 90mmF2 VM 主な仕様
●焦点距離:90mm
●最短撮影距離:0.9m
●レンズ構成:7群8枚
●最小絞り:F16
●フィルターサイズ:52mm
●大きさ・重さ:φ61.9×63.3mm・340g
●付属品:フード
フルサイズ90ミリF2で全長62㎜なんですって!
アポクロマート設計という光の3原色を構成するRGBの軸上色収差を限りなくゼロに近づけたレンズに冠される「APO(アポ)」を冠するレンズであり、VoigtlanderブランドのVMマウント現行レンズでアポが付くレンズとしては5本目となります。
似たような解説をつい先日、APO-SKOPAR 90mmF2.8 VMのインプレでもやってますので、気になる方はソチラも要チェックやで!
話を戻して、本レンズの特徴はなんといっても開放F2の90mmレンズなのに最大径が約62mmしかないところ。90mmで明るくて細身のレンズっていうと、TAMRONのSP90mm F2.5(Model 52B)っていうレンズがパッと思い浮かびますが、本レンズはコイツ(Φ64.5mm/420g)よりも軽くて細いくて明るいので驚かされます。
APO-SKOPAR90mmF2.8の重さ250gには及びませんが、本レンズも中望遠大口径レンズとしては軽量な340gというスペックを誇ります。実際の感触は数値よりも少しズシリと手のひらで主張するのが不思議。トヨタの手センサーがガバガバである、という説は一旦保留とします。
フォーカスリングや絞りリングの操作感はいつものコシナクオリティですので、安心してください。アポスコパー90mmF2.8とかアポランター90mmF3.5(旧製品)辺りを持ってたり検討している人にとっては悩ましい1本でしょう。
だって絞り1段って効く時はめっちゃ効くからね。アポランター90mmF3.5と比べると尚更です。ちなみに、本レンズの最小絞りはF16でした。アポスコパーとアポランターはF22なので、断固絞りたいという人はコッチだね。
そうは言ってもアポ。ピントはやっぱりキレッキレ!
開放口径の都合か、アポスコパーほどでは無いけれど、このレンズもかなりの実力者。開放からギンギンに性能が出ていて「お前、本当はアポランターじゃないのか?」と緊張感が走ります。
というのも、ピント位置がキレッキレで薄く見え、かなりシビアにピント合わせしないとレンズからのご指導を賜ります。撮影距離80mくらいの遠景でもピントはしっかり薄いです。とは言え、フォーカスリングの感触は良く、ピントを追い込むのは楽しいひととき。アポランターほど息が詰まることもありません。
ボケは、ハンパな距離感だと周辺が少しウルサく描写される場合もありますが、全体的には良い感じで気持ち良いです。解像感も同様で、この周辺部の描写がアポランターじゃないってトコロなんだろうね。
ちなみに、アポスコパーの方がクセがなく素直なボケ味だと感じましたが、本レンズのほうが1段明るいので引き出しが多い感があることと、薄暗いシーンでも色々楽でした。
近接性は、アポスコパーと同じく最短90cm。繰り出し量6mmのヘリコイドアダプターで最大繰り出しにすると、レンズ先端から約55cm程度、付属のレンズフード先端からで言えば52cmくらいまで接近することが出来ました。
逆光耐性は、アポスコパーより強いような…。今回は酷いイジワルはしてませんが、フレアが、と思ったカットはナシ。
すこぱー? うるとろん? ドッチにしましょうか?
APO-SKOPAR90mmF2.8 VMユーザーにとっては頭を悩ませる1本になっています。本レンズのほうが少しだけ柔らかいような…という印象はあるけれど、周辺部はアポスコパーのがキレイに見えるような気もします。
こうやってユーザーの心を弄ぶ企画を平然とやってのけるコシナの荒業に思わず天を仰ぎたくもなりますが、約90g差と絞り1段の差をどう捉えて、作風や行動半径にどのように活かすか?を考えるのもまた楽しい時間です。
これからどちらか1本を、という場合は明るい方が無難だと思います。単焦点レンズ使っていると開放F2.8って意外と暗いと感じることが多いので、満足度に差が出て来ると思います。絞って撮ることが多いなら、少しお手頃なアポスコパーが良いんじゃないかな?