※ここでの撮影画像はすべて試作機によるものです。
■撮影共通データ:キヤノン EOS R8 絞り優先AE WB:オート
キヤノン RF28-70mmF2.8 IS STM 主な仕様
●焦点距離:35mm判換算28-70mm相当
●最短撮影距離:0.27m(W AF時)/0.24m(W MF時)
●最大撮影倍率:0.24倍
●レンズ構成:12群15枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ76.5×約92.2mm・約495g
●付属品:-
ライバル比でのアドバンテージは光学手ブレ補正の搭載。
ISの効果はレンズ単体でEOS R8との組み合わせで70mm時に最大5.5段、IBISとの協調制御についてはR3との組み合わせで最大7.5段とアナウンスされる。
RF24-50mmなどと同じく沈胴仕様となっており、携帯時やバッグへの収納時には全長約92mm、レンズキャップ装着状態でちょうど100mm。重さについても約495gとスペックに対してかなりのコンパクトサイズを実現している。
シグマやタムロンを見ていると光学手ブレ補正機構を省くことでサイズと性能、お手頃価格で高いバランスを実現させていたが、本レンズはISを搭載しつつ小型軽量とLレンズ相当(RF24-105mmF4L IS USM)の画質性能を実現したところが新しい。
このサイズを実現した立役者は新ISユニット。構成する全ての部品の重心を正確に計算し配置を最適化することで、ユニット全体の小型化を実現しているという。今後この技術を応用したレンズの登場も期待したい。
これまでRFマウント標準レンズは軽量コンパクトなF2.8ズームという選択肢がなかったが、着々と要望に応えるラインナップへと成長しているようだ。
「ボディ込み」での総重量がLレンズ単体と同等? これはもう事件だろ。
手にしてみると約500gというスペックよりもずっと軽く感じる不思議があった。
組み合わせたボディはIBISを持たないEOS R8。そのR8と組み合わせではフルサイズ機とF2.8ズームの組み合わせながら1キロ未満(約461g+約495g)に収まること、R8のグリップが筆者の手に合っていることなどから、さらに「え?軽!」という印象を強くしていた。
ちなみにRF24-70mmF2.8 L IS USMのレンズ単体(約900g)とほぼ同じ重さしかない。
ズームリングやコントロールリングの操作感はとてもスムース。沈胴操作についても同様で、程よい操作トルクに感じられた。
沈胴を解除した28mm時の全長はマウント面まで約110mm。全長だけで言えばシグマの28-70mmF2.8 DG DN | Contemporaryの方がコンパクト(ただしRF版の用意はナシ)。
フードは付属しておらず、定価税込約19万円の製品としては残念に感じられた。
今回、ベータ版ではあるが試用することが出来た。
例によって4時間連続でスナップ撮影してみたが疲労感はほとんどなく、「軽さ」という性能についてももっと注目されるべきであるとの思いを強くした。
リードスクリュータイプのSTMではあるが、AFレスポンスと速度は上々。かねてよりキヤノンがアピールしている「快速・快適」が実現されている。キヤノンのAFは体感性能も良いので快適に感じられる。
カタログスペックでの近接性は28mmでのAF時に0.27mとのことだが、手計測では25cm程度(レンズ先端から13cm程度)までAFで撮影出来た。70mm時にはレンズ先端から17cm(指標までは約33cm)まで近接でき、この領域で最大倍率は0.24倍となかなかに寄れる印象がある。近接性については製品版ではスペックに準拠する可能性があるのであくまでも目安として報告しておきたい。
フード、要らないかもだけど…やっぱり付属してほしいよね?
今回の個体は製品版ではないので画質評価は行わないが、それでもあらゆる条件で写りは必要十分というか、分かり易くネガティブなところがなく、「小さくて軽くて良く写るか
ら、コレで十分なのでは?」と感じられた。
小さな不満について、例えばフードが付属しないことも不満と言えば不満ではあるけれど、筆者が試した限りでは目立つフレアやゴーストは発生せず、特にフードが無くても困らない逆光耐性であるように感じられた。
最も印象的だったのはサイズ感。フルサイズ機とF2.8ズームの組み合わせが1キロ未満というのは、スキップしたくなるくらいには楽しい。
「究極の性能までは必要ないけれど、ソコソコ満足度の高い光学性能と、どうしてもF2.8の明るさが欲しい。だけど、大きく重いレンズを持ち歩くのは少しシンドイ」というワガママを叶える1本として、痒いところに手が届く商品性を上手に実現しているように感じられた。
定価約19万円という価格を、正直に言えば少し高価に思った。が、例えば約30年前に発売されたEF28-70mmF2.8L USMの発売価格が18万円であったことを考えると、より上位の光学性能と手ブレ補正を持ちながら約60%弱の重さで実現させた技術への対価としてはむしろお手頃である、と気持ちが前向きになった。
Lレンズであれば「ある程度高価である」という認識(ブランドイメージ)があるせいか、「まぁこのくらいするだろう」という気持ちが働くが、本レンズについては「フードも付属しない無印のクセに19万もするのか」と少し意地悪な気持ちが生じてしまう狭隘な心の持ち主としては、なにか納得させてもらえる物語のひとつでもあれば、助かるのだけれど…。