ということで続きです。この猛暑のさなか発表になった、タムロンの最新28-300mm(ソニーのフルサイズミラーレス用)の実写インプレ! 8月29日発売予定です!
■作例共通データ:α7CR 絞り優先AE WB太陽光 AF-S フォーカスエリア中央固定

タムロン 28-300mm F/4-7.1 Di Ⅲ VC VXD (Model A047) Eマウント 主な仕様

画像: タムロン 28-300mm F/4-7.1 Di Ⅲ VC VXD (Model A047) Eマウント 主な仕様

●焦点距離:35mm判換算28-300mm相当
●最短撮影距離:0.19m (W) / 0.99m (T)
●最大撮影倍率:1:2.8 (W) / 1:3.1 (T)
●レンズ構成:13群20枚
●最小絞り:F22-40
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ77×126mm・610g
●付属品:フード

ゴーストは使いようで表現に使える

ゴーストもOK。一応チェックしてみたけど、デジタル化以降いまどき派手なゴーストが出て使い物にならないレンズなんてないハズ。なので、気にすべきは自分のカメラとの相性。イメージセンサー周りの内面反射はカメラとレンズの組み合わせによって全然違うことがあります。

また、絞りの大きさによっても状況がかなり変わってきます。特定の機種と絞り値でどう反応するかを意地悪テストで試してみると、ゴーストの出方の傾向が大体わかってくる。それがわかるとゴーストを表現に応用できるように使えます。

ゴースト比較作例

画像: 28mmで撮影。こんな意地悪テストでも、画面全体に及ぶ悪さは見られない。シャドウ部のコントラストも良好。 ■絞り開放 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

28mmで撮影。こんな意地悪テストでも、画面全体に及ぶ悪さは見られない。シャドウ部のコントラストも良好。 
■絞り開放 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

画像: 上の作例の位置で露出もそのまま300mmまでズームアップ。さすがにこれは意地悪が過ぎたかな(露出オーバーなだけ?)。露出をもっと絞ると結果は違っているかも。 ■絞り開放 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

上の作例の位置で露出もそのまま300mmまでズームアップ。さすがにこれは意地悪が過ぎたかな(露出オーバーなだけ?)。露出をもっと絞ると結果は違っているかも。
■絞り開放 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

●F4

画像: 28mmで撮影。こちらの作例は、絞りを変えて撮ってみた。絞り開放(F4)だとゴーストの形状がはっきりしない。太陽の光芒も出ていない。 ■絞りF4 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

28mmで撮影。こちらの作例は、絞りを変えて撮ってみた。絞り開放(F4)だとゴーストの形状がはっきりしない。太陽の光芒も出ていない。
■絞りF4 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

●F8

画像: 開放と最小絞りの中間ぐらいということでF8で撮ってみた。ゴーストの描写的には開放のそれに近いが、輪郭がはっきりしてきている。太陽の光芒はまだはっきり出ない。 ■絞りF8 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

開放と最小絞りの中間ぐらいということでF8で撮ってみた。ゴーストの描写的には開放のそれに近いが、輪郭がはっきりしてきている。太陽の光芒はまだはっきり出ない。
■絞りF8 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

●F22

画像: F22までグッと絞るとゴーストの形状がはっきりと出る。太陽の光芒も絞り羽根の枚数に応じて出てくる(9枚羽根だそうなので、計算上は18条の光芒が出現?)。三枚の作例のうち作品的にはこっちのゴースト表現がいちばん良かったと思う。 ■絞りF22 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

F22までグッと絞るとゴーストの形状がはっきりと出る。太陽の光芒も絞り羽根の枚数に応じて出てくる(9枚羽根だそうなので、計算上は18条の光芒が出現?)。三枚の作例のうち作品的にはこっちのゴースト表現がいちばん良かったと思う。
■絞りF22 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

AF速度と追従性

AFスピードもまあまあOK。少年野球の撮影くらいだとバッター狙いから急に内野手にカメラ振っても結構ちゃんとピント拾って追っかけてくれるのでナイスプレー!(α7CRでAF-Cの場合ね)。

画像: フォーカスエリアはワイドでAF-C 300mmで撮影。カメラを振りながらシャッターを切っているのでフレーミングはいまいち。よって完成作品ではトリミングすることになる。このレンズは解像が大変良いので、トリミング耐性は十分にあると言える。 ■絞り開放 1/4000秒 プラス0.3露出補正 ISO800

フォーカスエリアはワイドでAF-C 300mmで撮影。カメラを振りながらシャッターを切っているのでフレーミングはいまいち。よって完成作品ではトリミングすることになる。このレンズは解像が大変良いので、トリミング耐性は十分にあると言える。
■絞り開放 1/4000秒 プラス0.3露出補正 ISO800

画像: 上の作例のグローブの部分を切り取って拡大。ボールの凸凹パターンがちゃんとわかる程度まで解像している。拡大しすぎのノイズはご愛敬。RAW現像で目立たないように補正できるんだけど、Webにはそのまま掲載。

上の作例のグローブの部分を切り取って拡大。ボールの凸凹パターンがちゃんとわかる程度まで解像している。拡大しすぎのノイズはご愛敬。RAW現像で目立たないように補正できるんだけど、Webにはそのまま掲載。

AFの食い付きも及第

鉄橋を渡りに行く電車を300mmのAF-C連写で狙ってみても、きちんとAFが食い付いてきているのがわかる。去る方向でも一応追っかけて食い付いているようです。サッカーなんかのランダムな前後の動きにどれだけ食い付いてこれるかは未知数だが、期待はできる!

画像: 300mm。α7CRの最高連写モード(Hi+:最高約7コマ/秒)で撮影。電車の速度は正確にはわからないけど、だいたい50km/hぐらいの感じです。 ■絞り開放 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

300mm。α7CRの最高連写モード(Hi+:最高約7コマ/秒)で撮影。電車の速度は正確にはわからないけど、だいたい50km/hぐらいの感じです。
■絞り開放 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

周辺光量不足とグルグルBOKEH、そして色収差

周辺光量はカメラ側で「自動補正オン」にしておけばまあまあ問題無し。絞り開放だとテレ側でやや落ちることは事実。「自動補正」はぜひ使ったほうがよいと思います。ただ、スクロールの上に掲載のヒマワリ300mm至近の作例でもわかる通り、至近側では口径食は目立ちます。

そのため、ボケがグルグルに見えることもあるので、ある程度覚悟しておいた方がよいです。あと、色収差はカメラの「自動補正オン」でキャンセルされるから無論OK(ていうか「自動補正オフ」でもよくわからなった)。

画像: 300mmで撮影。焼けた鉄板のように熱い地面にじっと貼り付くバッタを見つけたので最短撮影距離(約1メートル)まで近寄った。背景奥側(後ボケ)にぐるぐるボケらしき気配がうかがえる。口径食の影響かもね。 ■絞り開放 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

300mmで撮影。焼けた鉄板のように熱い地面にじっと貼り付くバッタを見つけたので最短撮影距離(約1メートル)まで近寄った。背景奥側(後ボケ)にぐるぐるボケらしき気配がうかがえる。口径食の影響かもね。
■絞り開放 1/4000秒 プラス0.7露出補正 ISO800

VCの補正段数は「ナゾ」

レンズ単体、あるいはカメラとの協調でどれだけの段数がブレが補償されるか? どの軸でどれだけ? とかいうのは、正直いって実写ではうまく判断できませんでした。タムロンは公称を出していません。これは、「カメラを生産していないので」とか「実はカメラ毎に違うので」とか色々と事情があるからだと推察します。なので、ここでは筆者の結果だけリポートしておきますね。

画像: 300mmで撮影。今回の筆者の実写では300mmで1/8秒までイケました。一般的な手振れ限界を「1/焦点距離」のシャッタースピードとすると「筆者の場合は約5段分だった」という勘定です。筆者のたるんだ腕っぷしとクラクラする暑さなんかを忖度して作例をごらんください。ちなみにVCとカメラボディ側イメージセンサーとの協調防振についてタムロンに確認したところ「角度ブレはレンズ側のVCで、その他の3軸はボディ側で」ということでカメラ+レンズでの5軸補正は十分に機能している模様。 ■絞り開放 1/2秒 マイナス1.0露出補正 ISO400

300mmで撮影。今回の筆者の実写では300mmで1/8秒までイケました。一般的な手振れ限界を「1/焦点距離」のシャッタースピードとすると「筆者の場合は約5段分だった」という勘定です。筆者のたるんだ腕っぷしとクラクラする暑さなんかを忖度して作例をごらんください。ちなみにVCとカメラボディ側イメージセンサーとの協調防振についてタムロンに確認したところ「角度ブレはレンズ側のVCで、その他の3軸はボディ側で」ということでカメラ+レンズでの5軸補正は十分に機能している模様。
■絞り開放 1/2秒 マイナス1.0露出補正 ISO400 

その他の「ナゾ」

さて、もうひとつナゾなところは「カメラとの総体的な互換性」でしょうか。決してディスるわけではありませんが、これはサードパーティ製であるからには避けられない、買う側にとっては覚悟のいるポイントと言えます。

例えば、カメラのファームアップや同じマウントで新製品のカメラが出た際にこのレンズを使おうとすると、なにがしかのディスアドバンテージが出てくるかもしれない…ということです。

でも、このレンズにはUSB-Cのプラグがそのまま刺さる穴が付いています。この穴を使ってファームアップができる可能性があるということです。その際にタムロンがどこまで対応してくれるかは「ナゾ」としか言えませんが、その可能性に希望を持つのも買い物としては悪くないと筆者は思います(タムロンは「アフターもしっかりしたメーカーだ」ということをワタシは信じたいの)。

画像: レンズ左側側面。丸い「フォーカスホールドボタン」はもちろん機能しました。カメラ側からの機能カスタマイズにもちゃんと対応しました(α7CRの場合)。

レンズ左側側面。丸い「フォーカスホールドボタン」はもちろん機能しました。カメラ側からの機能カスタマイズにもちゃんと対応しました(α7CRの場合)。

それでも言っておきたい「穴は塞ぐべきだ」

長々とインプレしてきましたが最後に「喝!」。その大事なUSBの穴ボコがそのまま(穴が開いてるだけ)なことについて言っておきたいと思います。キャップやバリアなんかは初めからない。別売もない。でもココは塞いておかないとやっぱり気になる。「問題ない」とか「実害なし」とか「スマホと同じ」とかいわれようが、このことはしつこく云っておきたいです。「穴は塞ぐべきだ」。

※『カメラマン リターンズ#11 間違いだらけのレンズ選び!! & レンズBOOK 2024』でも主張中。買ってね!

野外で使うものだし、冷房の効いた部屋や車内から蒸し蒸しした酷暑の日照りの下へ出ると、どんなに気を付けていてもレンズが結露することだってある。風の強い日にグランドで子供たちの野球の試合を撮っていると、土埃濛々でカメラが白くなることもある。

海の近くの球場では塩っ気のある風がビュービュー吹いてたり、小雨ぐらいでは試合はやるのでそんな中でレンズは使われるわけです。今の時代、カメラやレンズはキホン防塵・防滴になってるから、ユーザーはそのように使い倒します。そんな環境で、精密情報機器的な繊細なUSBの端子を露出させておいていいハズがない。「穴にシャッターを」とまでは言わないからキャップぐらい用意してよ~。

あと、併せてご注進申し上げます。穴のそばのネジ頭の露出もデザイン的にどうなのかな。先々代のOno大社長はこういうところを大変気にしていましたよ。「ネジは隠せっ!」って開発者によく言ってましたね。このUSBの穴の周りだけ、全体のモダンなデザインポリシーから異形になってないでしょうか。

画像: やれやれ暑かった。撮影のあとは栄養&塩分補給。トマトソースに辛味たっぷりのペンネでまたひと汗。シズルなテーブルフォトもちゃんと撮れるのよ、このレンズは。 ▪️35mm 絞りF10  1/50秒 プラス1.0露出補正 ISO3200

やれやれ暑かった。撮影のあとは栄養&塩分補給。トマトソースに辛味たっぷりのペンネでまたひと汗。シズルなテーブルフォトもちゃんと撮れるのよ、このレンズは。
▪️35mm 絞りF10  1/50秒 プラス1.0露出補正 ISO3200

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