■共通撮影データ:ニコンZ8 絞り優先AE ISO100 WB:オート ※撮影はデモ機によるもの
ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.4 主な仕様
●焦点距離:35mm
●最短撮影距離:0.27m
●最大撮影倍率:9群11枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:62mm
●大きさ・重さ:約74.5×86.5mm・約415g
●付属品:フード
優等生=S-Line=とはひと味違う描写
ニコンのZ用35mmレンズは既にZ 35mm f/1.8 Sがある。コチラは「高い解像度、美しいボケ味、少ない軸上色収差、画面周辺部まで芯を確保した崩れにくい点像再現」とアピールする性能重視の「S-Line」に属するが、本レンズは「無印」というのが興味深い。
S-Lineのレンズはどんな条件でも安定した描写に感心させられる一方で、どこでも同じように写るのでレンズとの対話が少ないというジレンマがある、と筆者は感じている。それはそれでスゴイことなのだが、本レンズは実際に絞りや撮影距離によって描写変化を楽しむコンセプトで設計されているというから、実写が楽しみである。
S-Lineでないことが利いているのか巨大ではないが、手にした感触は意外と重く、レンズサイズはZ 35mm f/1.8Sよりもやや大きく重い全長86.5mm、重さ約415g。この数値はZ 50mm f/1.8Sとほぼ近似だ。感激したのはレンズフードの着脱性が素晴らしく改善されたこと。ノールックでも安心して着脱できた。
僅かな描写変化ながらも、「絞りの選択」を実感
今回の個体は製品版ではなくデモ機という点だけ了承頂きたいが、それでも撮影をとても楽しむことができた。絞りによる描写変化は僅かだけれど、それでも選択が描写に反映される様子には心躍るものがある。
また、至近端でフラットなモノを撮ると周辺部がかなり流れて写る。以前のニコンでは、画質優先のため接写性を犠牲にすることが通例だったが、楽しさに振ったコンセプトで良い。S-Lineがあるからこそ、欲張った性能を課せられなかったのだろう。
総じて好感触のレンズで、性能からすると納得感のあるプライスが実現されているところも良い。不満はAF。ニコンのSTMらしく遅くはないが速くもないレベル。最新レンズのインフラ装備としてはもう少し頑張って欲しかったが、フードの着脱性が改善されたことはビッグニュース。道具としての魅力を高めている。