6月20日に発売されたパナソニックの「LUMIX S9」は、小型・軽量の35mmフルサイズのミラーレス一眼カメラだ。ターゲットユーザーに合わせて不必要だと思われるモノを削ぎ落としたかのようなフラットでスタイリッシュなデザインの本機を、ここではムービーを交えてレビューしていこう。

パナソニック LUMIX S9 主なスペック

画像: パナソニック LUMIX S9 主なスペック

●35mmフルサイズ (35.6 mm x 23.8mm)
●約2420万画素
●ライカLマウント
●ISO100~51200(※拡張ISO50/102400/204800)
●約30コマ/秒(超高速時)
●3.0型 約184万ドット 
●フリーアングルタッチパネル
●SD/SDHC/SDXC(UHS-Ⅱ対応)

■発売日:2024年6月20日
■実勢価格:20万7900円(ボディ)
■大きさ:約126mm×約73.9mm×約46.7mm
■重さ:約486g(バッテリー、SDカード含)

シンプルを究めた外観とデザイン

画像1: シンプルを究めた外観とデザイン

そのサイズはフルサイズ機とは思えないほどコンパクト。凸凹をなくしたボディデザインは最近の流行りもあり、持ちやすいかは別として素直に格好良いと思える仕上がりになっている。

購入者特典としてプレゼント(2024年9月1日まで)されるMFのパンケーキレンズ「LUMIX S 26mm F8」を装着すると、小さなバッグにもすんなり入るサイズと形状となり、スナップ撮影が捗りそうだ。

画像2: シンプルを究めた外観とデザイン

EVFの省略、電子接点のないコールドシュー、メカシャッター非搭載という本機だが、シンプルなデザインが物語るように、これで楽しめる人が使えばいいという潔さを感じる。実際、スタジオで本格的なストロボ撮影をしたいときは、違うカメラを使えばいいだけ。

フルサイズ機ゆえに高感度耐性も十分。手ブレ補正はボディ単体で最大5.0段、手ブレ補正機能「Dual I.S.2」に対応する「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」のレンズなら、レンズ内手ブレ補正を連動させることで6.5段の手ブレ補正効果が得られる。

6K 30p 10bitや、Cinema4K、4K 60p 10bitの動画撮影も可能であり、このように書き出してみると、コンパクトなボディながら見た目以上に高性能な機能がぎっしり詰まっているのだ。

画像3: シンプルを究めた外観とデザイン

今回本機と一緒にお借りしたのは、前述のパンケーキレンズ「LUMIX S 26mm F8」と、高倍率ズームレンズの「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」の2本のレンズ。28-200mmを装着して上部から見ると、レンズがニョキッと生えたように存在感がそこそこある。とはいえ、旅先などではこれ1本でスチールもムービーも事足りる超便利レンズなのだから、少しばかりの存在感は無視してもいいだろう。

動画撮影がより楽しくなる「リアルタイムLUT」

LUT比較ムービー

画像: LUMIX S9 -LUT比較- youtu.be

LUMIX S9 -LUT比較-

youtu.be

本機を語るうえで最初に挙げたいのが、ワンアクションでLUTを撮影に反映させられる「リアルタイムLUT」だ。これは、今までは動画編集時に行っていたLUTを充てる作業を、撮影時にボタンひとつで行えるというもの。れから動画に挑戦したい方や、動画編集がちょっとめんどくさいと思っていた方には、特に便利な機能だろう。

LUT効果を背面液晶で確認しながら撮影ができるので、その場で感じたインスピレーションを映像に落とし込むことができる。PCで本格的な編集をしなくても、LUTを充てた動画をスマホに送って、スマホ内で編集、そのままInstagramのリールなどにアップする流れを考えると、とても効率的に感じられる。

新スマホアプリ「LUMIX Lab」

リアルタイムLUTを使う場合は、新しいアプリ「LUMIX Lab」の使用を強くお勧めする。というより、このアプリを使わないとリアルタイムLUTの1割も楽しめないと思ったので…。

カメラとこのアプリを接続すれば、LUTサーバーから好みのLUTをダウンロードしてカメラに転送できるので、ライブラリに登録してワンタッチでLUTを映像に充てられるようになる。さらにアプリ内でオリジナルのLUTを作成することも可能だ。

スマホとの接続のしやすさが良かったことで、まずは好印象。ここで接続が遅かったり使用中にちょこちょこ途切れるようだと、どんなに便利でも使いたくなくなってしまうからだ。アプリの操作系統も、触っていればすぐに慣れるだろう。

F8固定のMFレンズでの動画撮影

LUMIX S9 と LUMIX S 26mm F8 で撮影した検証ムービー

「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」で動画が楽々撮れるのは検証しなくてもわかるので、ここはユニークな特性を持つ「LUMIX S 26mm F8」でレビューしてみよう。

画像: LUMIX S9 & LUMIX S 26mm F8 検証ムービー youtu.be

LUMIX S9 & LUMIX S 26mm F8 検証ムービー

youtu.be

パンケーキタイプの本レンズは、焦点距離26mmの広角画角、絞りはF8固定、フォーカスはマニュアルのみのちょっと変わった仕様だ。付属品としてレンズキャップはついておらず、前面の保護ガラスを頼りにそのままバッグに収納する、いわばレンズキャップ代わりのレンズとなっている。

「LUMIX S9」で注目したい機能のひとつにクロップズームがある。「LUMIX S 26mm F8」のような単焦点レンズでも画像の中央部を切り出すことで、画質を劣化させずにまるでズームレンズを使っているように、被写体を大きく捉えることのできる便利な機能だ。ここでの検証動画では多少ぎこちなく見えるかも知れないが、ズーム操作に慣れれば、十分に動画での使用に耐えられるだろう。

MFによる動画撮影はそれほど珍しいことではなく、F8の被写界深度があれば、極端に奥行きのあるシーンでなければ問題なく動画撮影でも使用できる。手ブレ補正が強力なのも強い味方だ。

とはいえファインダーが無いため、細かいピント合わせは慣れるまではちょっと大変かも。さらに言えば動き回るもの、たとえば動物とかにピントを合わせながら動画を撮るのは、さすがに難易度が高いだろう。

また、大きなボケを作るのもちょっと大変。ピントを合わせた被写体にぐっと近づいて、その被写体の近いところに他の被写体を配置しない状況を作れば可能だが、ボカしたいなら他のレンズを使ったほうが無難だ。

「LUMIX S 26mm F8」はスナップ撮影や、奥行き感の強すぎないムービーの撮影で活躍してくれそうなレンズだ。両撮影とも、機材は軽ければ軽いほど撮影しやすい。

旅スナップ、スチール用途としても優秀です!

画像: ■LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.  絞りF7.1 1/50秒 ISO160 WB:5200K ※フォトスタイル:風景

■LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.  絞りF7.1 1/50秒 ISO160 WB:5200K ※フォトスタイル:風景

旅先でのスナップは想像通りとても撮影しやすく、コンパクトな機材で旅の荷物を増やさないメリットに助けられた。クラシカルなデザインも旅の気分を盛り上げてくれるので、アダプターを使ってオールドレンズで使用しても面白そうだ。

画像: ■LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.  絞りF7.1 1/160秒 ISO6400 WB:オート ※フォトスタイル:LEICAモノクローム

■LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.  絞りF7.1 1/160秒 ISO6400 WB:オート ※フォトスタイル:LEICAモノクローム

画像: ■LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.  絞りF4.7 1/250秒 ISO6400 WB:オート ※フォトスタイル:風景

■LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.  絞りF4.7 1/250秒 ISO6400 WB:オート ※フォトスタイル:風景

AFの性能はとても高く、ジャンプする人にも、水中の魚にもしっかり合わせてくれた。ISO感度のノイズに若干不安があったが、ISO6400は常用と思える範囲のクリアーな画が得られた。ただしフリッカーは他機に比べると出やすい気がしたのが、ちょっと残念だった。

画像: ■LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.  絞りF5.3 1/1600秒 ISO1600 WB:オート ※フォトスタイル:スタンダード

■LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.  絞りF5.3 1/1600秒 ISO1600 WB:オート ※フォトスタイル:スタンダード

前述したように、このカメラはこれで撮れるものを撮り、これで楽しめば良いカメラだ。動画撮影の機能には大きな不満はなく、スチールは旅行や街なかのスナップに持ち出したいデザインと性能だと感じた。潔いカメラだけに、使うほうも欲張らずに潔く使いたい。

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