コシナ Voigtlander COLOR-SKOPAR 50mmF2.2 VM 主な仕様
●焦点距離:50mm
●最短撮影距離:0.5m
●レンズ構成:6群7枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:10枚
●フィルターサイズ:39mm
●大きさ・重さ:φ51.4×30mm・135g
●付属品:フード
MF単玉50mmF2.2、ゆえにこのサイズ感。
本レンズはCP+2024で参考出品されていたもので、気になっていた人も多いだろう。
カラーバリエーションはシルバーとブラック。カラバリに対応するストレートタイプの金属製フード(シルバー/ブラック)がそれぞれ付属し、フード装着状態でも全長は40mmしかなく、レンズ単体で135gと非常に軽い。
外観がULTRON Vintage Line 35mm F2 VMとよく似ていたので何か関連があるのか確認してみたところ、「2002年4月発売/2007年6月生産終了のCOLOR-SKOPAR 50mm F2.5というL39マウントレンズのコンセプトをベースにした」とのこと。
F値を抑えて高性能とコンパクトを両立させた製品という点では同じであるけれども、ULTRONとの直接的な関連性はない」というリプライでした。
ということで、50mmF2.5をもし所有しているのであれば使い比べてみるのも一興だろう。
沼への第一歩。それはマウントアダプター…。
フォーカスリングと絞りリングの操作感はいつも通りに上質。指先が触れただけでも「これぞコシナ!!」と分かりそうだ。
絞りリングはF2.2からF2.8の間に中間クリックはなく、F2.8以後は半段毎にクリックがあり、最小絞りはF16。
フォーカスレバーが真下の時に大体1mの距離となっていた。これはNOKTON Vintage Line 35mm F1.5 VMや上述のULTRON Vintage Line 35mm F2 VMなどと同様の設定なので、これらのレンズを既に楽しんでいるのであれば相性が良いかも知れない。
今回は、焦点工房のLM-LSL M Ⅱというヘリコイドアダプターを介してLUMIX S5と組み合わせて撮影した。ヘリコイドアダプターであれば、レンズの最短撮影距離よりもさらに寄ることができるのでオススメだ。
ヘリコイドの繰り出し量が最大6mmの今回のアダプターとの組み合わせでは、レンズフード先端から30cm弱程度まで近付くことができる。注意点としては、メーカーが想定していないイレギュラーな使い方であるということ。大きなトラブルはないとは思うが、あくまで「自己責任」ということで。
高画質とお茶目な部分が共存…探す愉しみアリ!
「あれ、今日のレンズはアポランターだったかな?」が第一印象。このサイズと重さのレンズが紡ぎ出す描写とは、とてもじゃないけど想像を超えた上質な仕上がり。もちろん、条件によって周辺部が「楽しい感じ」になる場合もありました。
が、絞り込めば当然なが改善するし、そもそも周辺まで「ガチガチじゃなきゃイヤダ」って人は純正レンズをしゃぶり尽くせば良いだけなので、本レンズのターゲットではないと思います。
逆光耐性も素晴らしくて、かなりイジワルして撮ってもゴーストが出ない、もしくは目立たない。
フリンジはシーンによっては目立つこともあったけれど、これも使い方次第では表現に用いることができるので、必ずしも悪という訳ではありません。
レンズとアダプタをどちらも最大繰り出しにした条件でも、ピント位置のシャープネスは見事のひと言。この実力であれば心置きなくアダプタ側のヘリコイドも操作できそうだ。
あえてピントを外す、うっかり外れてしまった…いいじゃん、いいじゃん!
LマウントにはLUMIX S 50mmF1.8(300g/全長82mm)という素敵なレンズがあるけれど、本レンズはその半分以下という驚きのサイズ感。
いわゆる普通のレンズに飽きてしまった場合や、もっと写真に自分の意図を籠めたい場合にはMFレンズがオススメだ。ピントを合わせる喜びと、敢えて外す楽しさがあり、ウッカリ外れてしまってもそれはそれで発見がある。
一番の魅力は、市街地を徘徊しても、山野(さんや)へ繰り出しても、全く疲れないサイズ感にメロメロです。大口径レンズよりも絞り込むことに忌避感が無いことも新鮮。
お仕事なので、アラ探しも熱心にやってみました。しかし、コレと言って目くじらを立てるようなものはなく、ちょうど良い感じの周辺光量の落ち具合や、ピントの掴み易さ、クリアな描写で、正に自由自在。素晴らしく心地良いレンズでした。
なんだか最近写真が楽しくないって人は、こういうレンズを使ってみるってのも手段のひとつだと思います。
ただし、コシナにはVMマウントレンズだけでも50mmの現行品が本レンズを入れて7本。ZMマウント(VMと互換あり)の2本を加えると9本の大所帯となり、コチラを幻惑してきます。「一度足を踏み入れると助かる見込みは無い、険しい道である」という覚悟が必要なことは明記しておきます。