シグマから新生50mmF1.2 Artが登場した。シグマの大口径単焦点レンズといえば巨大&重量級というイメージがまだ拭えないけれど、本レンズは35mmフルサイズミラーレス用のAF用50mmF1.2レンズとして最軽量となる約745g(Lマウント)、 Eマウント版は740gであることがアピールされている。

シグマ 50mm F1.2 DG DN | Art Eマウント 主な仕様

画像: シグマ 50mm F1.2 DG DN | Art Eマウント 主な仕様

●焦点距離:50mm
●最短撮影距離:0.4m
●最大撮影倍率:1:6.2
●レンズ構成:12群17枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:13枚
●フィルターサイズ:72mm
●大きさ・重さ:φ81×108.8mm・745g
●付属品:フード ケース

シグマが50㎜F1.2の最軽量記録を更新!?

画像: シグマが50㎜F1.2の最軽量記録を更新!?

今回はEマウント版でテストすることになった。
AFには新型のリニアモーターHLAが採用され、パワーはそのままに大幅な小型化を実現。さらに大きく重いレンズを動かすのではなく、フローティングフォーカスによって、比較的小さな2つのフォーカス群をそれぞれ駆動させることで、コンパクトなレンズボディと高速AFを両立させている。

本レンズのサイズは最大径81.0mm x 長さ 110.8mmとなり、Lマウント版より2mmほど長い。
ちなみに、それまで最軽量だったFE50mmF1.2 GMは約778g、最大径87.0mm x 長さ108.0mmというプロポーションなので、どちらも限界まで攻めていることが窺える。

実際にガラス1枚1枚を極限まで薄型化し、機構設計についても限界まで削ぎ落とすことで軽量化を実現した、とアピールされている。性能と軽量化を高次元で両立させようとすると、このあたりのサイズ感が、現時点での最適解なのかも知れない。

画像: 神様(猫)とお近付きになれなかったのでクロップしました。本当に開放絞り?ってくらいにシャープ。しかも日向の部分にも滲みはナシ。AF精度も素晴らしいね。このピントの薄さでシッカリ合焦出来るんだから唸らされます。 ■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/4000秒) マイナス1.3露出補正 WB:オート ISO100 ※APS-Cクロップ

神様(猫)とお近付きになれなかったのでクロップしました。本当に開放絞り?ってくらいにシャープ。しかも日向の部分にも滲みはナシ。AF精度も素晴らしいね。このピントの薄さでシッカリ合焦出来るんだから唸らされます。
■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/4000秒) マイナス1.3露出補正 WB:オート ISO100 ※APS-Cクロップ

シグマのF1.2 Artラインのレンズは、他に35mm F1.2 DG DN | Artが2019年に登場している。こちらはEマウント版で1080gと1キロ超の巨躯のため、素晴らしい写りということは知ってはいるものの、じっくりとテストするモチベーションにならずこれまで避けてきた。が、700g台とあらば話は別。こちらから「テストさせて!」とお願いした次第です。

コンパクト、という謳い文句ではあるけれど、実際にはソコソコ大きくズシリと重いというリアルがあったことに、かつて車雑誌でのポルシェ評に「模範的な乗り心地」という言葉に心躍らせた少年時代を思い出した。

このフレーズの行間には「スポーツカーとしては」や「この太さのタイヤのワリには」という言葉が潜んでいる。同様に、本レンズについても「このスペックとしては」という暗黙の了解があることは忘れてはならない。

ハッキリ言えば「重くてデカい」が第一印象。チョロっとスナップするとか、スタジオ使いなら軽いってギリギリ言えるかも知れないけれど、1日持ち歩くには覚悟の要るサイズです。

過去に絶賛した50mmF1.4 DG DN | Artとは約80gの差しかなく、サイズ感的にもほぼ近似(最大径で3mm差)しているが、撮影を通じてハンドリングに違いを感じるか? は気になるところ。

開放F1.2ながらも俊敏なAFは純正と遜色ナシ=快適です。

画像: 開放F1.2ながらも俊敏なAFは純正と遜色ナシ=快適です。

質感についてはいつものシグマレンズで、相変わらずの高品位。クリックあり時の絞りリングのコリコリ感はキモチイイし、ピントリングのネットリ感も心地好し。フードの剛性感なども素晴らしい。

花形フードについては、逆置きした時に安定しないので丸型フード+先端ラバー加工が嬉しいけれど、遮光効果的にはこちらのほうが優れていそうな感があり精神衛生的にも納得感がある。好みの問題といえばその範疇に収まる程度だが、個人的にはソニー方式が好ましい。

AFは体感でソニー純正と遜色ナシ。とにかくレスポンスが良い。駆動音と振動で言えばFE50mmF1.4GMの方がより静かで低騒音だったが、速度で言えばほぼ互角に感じられた。とてもF1.2のAFレンズとは思えない快適さがある。「実用十分な速度」や「不満のない速度」ではなく、これこそが「快適」である。

画像: Z50mmF/1.2Sでも感じましたが、50mmって感じよりも少し長いレンズ使っている感覚でした。ボケ感なのか、収差の少なさなのか、不思議とスペックよりも少し長く感じるのよね。え、写り?イチャモンのつけようがねぇや。 ■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/1000秒) WB:オート ISO100

Z50mmF/1.2Sでも感じましたが、50mmって感じよりも少し長いレンズ使っている感覚でした。ボケ感なのか、収差の少なさなのか、不思議とスペックよりも少し長く感じるのよね。え、写り?イチャモンのつけようがねぇや。
■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/1000秒) WB:オート ISO100

今回組み合わせたのはα7CR。最新の高画素モデルが相応しいだろうという気持ちと、少しでもコンパクトにしたいということで選んだが、α7CRの表示デバイスの実力では、撮影中にこのレンズの描写力にワクワクすることができず「α7R Vにしておけば…」と撮影中に何度か思ったことを正直に告白しておきます。

撮影中はやはりAFの快適さがとても印象的。描写力も重要だが、AFの快適性というのも運用上では大変に重要な項目であり、撮影中は常時発動する類の体感出来る性能でもある。
シグマレンズがAFのベンチマークとなる未来もそう遠くないのかも知れない。

さすがにZ 50mmF1.2S(ニコン)を超える描写ではなかったですが…。

画像: 本当はカラーで周辺部の収差でも見てやろう、という魂胆でしたが、ドラマは発生しなかったのでモノクロで趣味に走りました。繊細な写りなので、(コシナの)アポランター使ってる時みたいな感覚になって来ます。 ■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/4000秒) マイナス0.7露出補正 WB:オート ISO100

本当はカラーで周辺部の収差でも見てやろう、という魂胆でしたが、ドラマは発生しなかったのでモノクロで趣味に走りました。繊細な写りなので、(コシナの)アポランター使ってる時みたいな感覚になって来ます。
■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/4000秒) マイナス0.7露出補正 WB:オート ISO100

「常識も期待も超える体験を」というフレーズが公式ページにあるので、どんなものか?と期待を膨らませたが、描写性だけで言えば期待は超えなかった。
「だって(ニコン)Z 50mmF/1.2Sを知ってるしぃ」というヤツだ。

とは言え、このサイズ感で同等クラスの描写性を実現するとは!という驚きはあった。しかもよりコンパクトで、より軽く、AFも快適だ。ビルドクオリティについても、個人的にはシグマレンズの方が好みである。

絞り開放からトンデモナイ解像感で、収差の類を感じさせない描写はお見事の一言。ボケ足も滑らかで「シルキー」とでも表現するのが良いだろうか? とにかく、上質である。
直接比べたワケではないが、FE50mmF1.2GMでの印象よりも、筆者的にはシグマの方が好み。GMのグワッとくるダイナミックな印象に対して、本レンズは静謐で上品なイメージだ。

F1.4 Artでは軸上収差が気になるシーンはあったが、あのサイズ感の為であれば、と納得出来る部分が個人的にはあった。ところが本レンズの場合は徹底的に叩き直されているようで、技術の進歩に驚かされるばかり。

画像: 写真だけ見てると50mmで撮ったって感じが希薄だと思います。慣れるまではトヨタ的には少し難しかった。普段は開放絞りばかりで撮ることは稀ですが、コイツは絞りでコントロール出来る描写の領域があまりなく、極論を言えば絞ってもボケが小さく見えるだけなので、どこかCGっぽいというか。画像チェックしていて「あれ?こんなところあったっけ??」みたいな気持ちになってくるのが面白かったです。 ■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/1250秒) マイナス1.3露出補正 WB:オート ISO100

写真だけ見てると50mmで撮ったって感じが希薄だと思います。慣れるまではトヨタ的には少し難しかった。普段は開放絞りばかりで撮ることは稀ですが、コイツは絞りでコントロール出来る描写の領域があまりなく、極論を言えば絞ってもボケが小さく見えるだけなので、どこかCGっぽいというか。画像チェックしていて「あれ?こんなところあったっけ??」みたいな気持ちになってくるのが面白かったです。
■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/1250秒) マイナス1.3露出補正 WB:オート ISO100

色々とイジワルもしてみたが、筆者基準では気になるシーンは無く、これ以上の性能を実現しようとするとZ 50mm F/1.2Sのサイズになっちゃうだろうな、という感想だった。相当シビアな目線の人でもf/2.5まで絞れば満足出来ると思われる。

その光学性能に応えるAF精度もまた見事だ。開放絞りで色々と遊んでみたが、α7CRのAF性能が素晴らしいことはもちろんだが、AF精度に不満を持ったシーンはなく、カメラの指示に対して非常に高い精度でレンズが応える事ができている。

なので、ここまでギンギンに性能の出ているレンズで、この速度でちゃんとAFって合うんだ…という衝撃が、個人的には大きかった。それくらいにシビアな止め精度を安定的に実現しているので、AFアクチュエータの開発や制御開発での苦労は想像に難くない。しかもフォーカシングでは2つのフォーカス群が動いているのだから。

現状における「描写力」と「サイズ感」では、間違いなくベストバランス!

画像: 今回の作例はどれも歪曲補正ナシ。この写真だと少し糸巻き型の歪曲があることが分かります。50mmっていうと漠然と樽型の歪曲ってイメージ持ってたけど、最近は違うよね。補正ONでまっすぐ写りまっせ。 ■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/4000秒) マイナス1.0露出補正 WB:オート ISO100

今回の作例はどれも歪曲補正ナシ。この写真だと少し糸巻き型の歪曲があることが分かります。50mmっていうと漠然と樽型の歪曲ってイメージ持ってたけど、最近は違うよね。補正ONでまっすぐ写りまっせ。
■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/4000秒) マイナス1.0露出補正 WB:オート ISO100

現状で最高峰の描写力と類まれなサイズ感を両立出来ていることは間違いなく、これを超えるには何かしらの技術革新がなければ難しそう、という段階に来た。簡単に言えば「もっと良いけど、ずっともっと高い」とか「デカい」等のトレードオフが発生するように思う。

筆者としてはここまで描写性能が良くなくても写真を楽しめるし、ある程度の収差があった方がむしろ心地好い派に属しているので、ここまでの高性能レンズには正直なところ食指は動かない。

が、それでもなお本レンズの写りには眼を洗われるような心地がした。そんな気分になるAFの50mmはZ 50mmF/1.2SとLUMIX S 50mm F1.4くらいなのだが、そこに加わるレンズとなった。

100g弱の重量差については、トヨタにはワリと効きました。ずーっと持ってるとジワジワ効いてくるし、立ったりしゃがんだりを繰り返すと、腕の先に加わる100g弱の差は、やはりボディブローの様に効きました。

画像: 日陰で撮ってても開放絞りだと1/4000秒を超えるので、これからの季節では最低でもメカで1/8000秒、もしくは電子シャッターでそれ以上の高速シャッターが選択出来るレンズじゃないと、って感じがしました。至近端で撮ってますが、実に見事。マクロレンズみたいなシャープネスよ。参っちゃうね。 ■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/6400秒) マイナス1.7露出補正 WB:オート ISO100

日陰で撮ってても開放絞りだと1/4000秒を超えるので、これからの季節では最低でもメカで1/8000秒、もしくは電子シャッターでそれ以上の高速シャッターが選択出来るレンズじゃないと、って感じがしました。至近端で撮ってますが、実に見事。マクロレンズみたいなシャープネスよ。参っちゃうね。
■ソニー α7C R 絞り優先AE(F1.2 1/6400秒) マイナス1.7露出補正 WB:オート ISO100

ということで、標準域のレンズで700g以上はやはり強敵。なので試用中に「グリップの良いα9 Ⅲを借りれば、もっと疲労感は低減出来たかな?」と何度か思いました。
予算的に守備範囲内なのであれば、1日でも若い間にこういうレンズを楽しんでおくことが重要です。

最後に。
好きか嫌いかで言えば、お値段的にもお手頃な50mmF1.4 Artの方が好みです。だけど、本レンズの絵だけを見ちゃうとF1.2選びたくなるよね。コッチの方が寄れるし性能良いし。
現状ではLとEマウント版しかありませんが、他のマウントにも拡大されると、色々と面白そうです。

画像: 現状における「描写力」と「サイズ感」では、間違いなくベストバランス!

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