Z 6Ⅱのセンサーに、最新の画処理エンジンをドッキング
気になるスペックは、Z 6Ⅱなどと同じ約2450万画素の裏面照射型CMOSセンサーに、Z 8やZ 9と同じExpeed7を採用する。最新エンジンによってAF性能が大きく進化していると予想されるので実写が楽しみだ。
EVFは約369万ドット(Z 6Ⅱと同等)。記録メディアはバッテリー室同居となるが、microSDとSDのダブルスロットという点がユニーク。SDスロットはUHS-Ⅱ対応だが、microSDはUHS-I対応となるので、同時記録時には遅い方に合わせることになる。
これはシーンによっては書き込み待ちが発生する可能性がある。とは言え、予備のスロットとしてmicroSDというのは、とても面白い試みだ。過剰な期待は禁物も、保険としてmicroSDを入れておけば、何かと助けられることもあるかも知れない。
背面LCDはバリアングルタイプの210万ドット。ニコンの表示クオリティは高いので、撮影画像の確認が楽しいのはZの良いところだ。防塵防滴性能についてはZ 8相当とのこと。クラシカルなフォルムであることを考えれると、かなり気合が入っている。
ボディ内手ブレ補正は新設計となり、最大約8段の効果を発揮する。また新機能として「フォーカスポイントVR」という、フォーカスポイントを中心として手ブレ補正制御を行うモードが追加されている。
従来機は、というかほとんどのカメラはセンサー中心を基準として手ブレ補正制御を行っているが、本機能の場合はフォーカスポイントを軸としてVR制御を行うので、周辺に被写体を配置した場合に効果を発揮するという。注意点は「レンズ側に光学手ブレ補正を搭載していないレンズ使用で静止画のみ。かつフォーカスポイントは1点のみ」という制約がある。
新しいピクチャーコントロールが3つ追加されたことも嬉しいポイントだ。肌のディティール再現を重視した「リッチトーンポートレート」と軟調な再現の「フラットモノクローム」、シャドー側のトーン再現性を重視したという「ディープトーンモノクローム」となる。これら新しいピクチャーコントロールについてはNXスタジオのバージョンアップで従来機のユーザーも楽しめるとのことなので、是非チェックしてみてほしい。
真鍮製のアナログダイヤル。悪くないけど、なぁーんか違うんだな。
ファーストインプレッションは「意外とデカくて重いな」。これは55mmという大口径マウントの採用が大きいと思う。が、その一方で、ことレンズ性能で言えば「光学番長はニコン」という認識も持っている。サイズで言えばデメリットではあるが、抜群の光学性能ってのは買い替えを促す理由となるし、気分的にもメリットだろう。こういう関係性は面白い。
小さなグリップを眺めていると、どことなくニコンF3のグリップに似ていると感じた。が、実際に手にしてみるとF3のような「手に収まる感じ」はなく、ボディやレンズのサイズに対して釣り合いが取れていない印象。
実際、手の大きな筆者にはZ fの握り心地はかなり不満が残った。カタログの16ページの様にグリップしてみたが、少なくとも筆者の手には合わなかった。が、ここは手のサイズで印象は変わると思うので、ぜひ実機に触れてみて欲しい部分だ。
真鍮製とアピールされているアナログダイヤル。質感はかなり高いが、繰り返し操作してみるとコレジャナイ感が強い…。操作した際にボディに伝わる反響感がどことなく安っぽいのだ。
同じく電源スイッチの質感も高いが、操作性はやっぱりヨロシクない。スナップ撮影で繰り返し操作していると指が痛くなった。
触れていると小さな不満がたくさん生じてきた…。
操作デザインはZ fcと同様も、約30万円のカメラとしては「モード切り替えレバー」が見た目にも操作感的にも残念。前後の電子ダイヤルの操作性も悪く、特に前ダイヤルは位置の都合か、滑りやすい。
露出補正ダイヤルは径が小さく高さも低いので、やはり操作性はイマイチ。Cポジションで運用し、露出補正は電子ダイヤル操作すれば解決…という話ではあるけれど、夏場は前後の電子ダイヤルは手汗で滑りやすく、冬は冬で指先の乾燥でやはり滑ってしまいそう。せめてローレットパターンに工夫があれば、と思った。まぁ、意図しない操作を防ぐという意味では良いのかも知れないが。
期待のB&Wレバーについて。撮影スタイル問わず、B&Wモードにするには良いけれど、そこから通常モードに戻そうとするとどうにも指が泳いでしまった。特にファインダーを覗きながらこの操作をしようとするのは、かなり難易度が高いかと。
とまあ、全般にクラシカルな外観を言い訳に操作性が犠牲になっている感が強いことが気になった。はっきり言ってしまえば、見た目からくるワクワク感と実際に触れた時の印象の乖離が大きい。
朗報です。ニコンが「業界標準」に追いつきました!
期待していたAF性能は上々。表現が難しいが、めでたく「業界標準に追いついた」感がある。得手不得手やクセを掴めば、カメラを信頼して撮影できるようになったのはとても大きな進化だ。
このAF性能であれば、EOS R6やα7 IV辺りから浮気しても、Z fとの付き合い方に悩まされることはないと思われる。
とはいっても、「動物園で楽しむ範囲での被写体認識AFの精度」は、最新世代で言えばα6700やEOS R6 MarkⅡなどの方が明確に上で、飛行機の認識についても同様だ。あくまで「ビギナーであっても手軽に様々な被写体の撮影が楽しむことができるレベル」に達したのだと考えてほしい。もちろん、褒めています。
その反面、大型グリップを持たないデザインなので、望遠レンズを振り回すような使い方には適していない。その部分は、今後登場するであろうZ 6/7の後継モデルを待たなければならないだろう。