シグマの段ボールはいつもピッカピカ!?

阿部:今さらだけど、ボディよりレンズの方が圧倒的に儲かるから。そういう意味では、カメラメーカーから見たらレンズメーカーはズルいのよ。売れそうなものだけ作ってればいいんだからね。でもカメラメーカーだと、1から10まで全部揃えなければならない。フィッシュアイみたいに、年に何本かしか売れないようなようなレンズもね。
編集部:昔はそう言われてましたよね。
阿部:ところがシグマってさ、なんでか知らないけどカメラメーカー以上じゃないかってくらい作ってる(笑)。昔のレンズメーカーの立場からいったら、もう異常なくらいのラインナップ。不思議だよね。だって中には年に何本とは言わないけど、ちょっとしか出ないやつだってあると思うんだよね。このラインナップをずっと維持してるっていうのが、やっぱりすごい会社。そして謎(笑)
山田:少量、多品種、高性能を自分たちの中だけで実現できる環境を作ったってことなんだよね。
諏訪:在庫管理方法とかもね。
阿部:30年以上前、俺がまだタムロンの社員だった頃からの謎だった。シグマは金鉱でも掘り当てたんじゃないかって(笑)。冗談ではなく、どこにそんな金があるのか不思議だった。
山田:そうそう。「シグマの七不思議」ってあったんだよね。なんで雑誌の表4が必ずシグマなの? とかさ(笑)
阿部:あったあった(笑)。あとはシグマの人ってみんないい人なの。地方のカメラ屋さんのイベントとかに呼ばれていっても、なんかシグマの人が来てくれて。
山田:そう。あえて他が悪いと言わないけど(笑)
阿部:でもなんかみんな感じいいの。
編集部:あんまり儲かってるっていうイメージはないんだけどなぁ。
阿部:儲かってなければ新社屋なんか作らないから。
坂本:今調べたらさぁ、ひとつのレンズに、最大で6種類のマウントを作っているんだよ。そんなにたくさんあっていいの? それともマウントを増やせば増やすほど儲かるもんなの?
阿部:いや、種類が多くなるほど在庫を抱えるってことだから。6種類も作ったら、当然在庫も多くなるよね。その辺のコントロールをどうしているかだろうね。
諏訪:とりあえずワンロットだけ回して、寝かした在庫がなくなったらまた作るとか。次は世代を変えて作るとか。
阿部:仮にそうだとすると、今度は作る場所のコントロールがむちゃくちゃ大変だよね。今日は何々を作ります、て言ってから始めるんだから。それがちゃんとできるってことなのかな?
諏訪:そんな雰囲気でしたよね。
阿部:だとしたらすごいことだよね。
山田:最初の設計時点では、どのマウントにも対応できるように作るんだと思う。一番マウント径が小さいところに合わせておけば、後でマウント変えた時もそのまま使えるからね。
諏訪:マウント径とフランジバックだけ一番汎用性の高いところに合わせて設計するんでしょうね。
阿部:フランジの調整なんて、昔ながらにワッシャー入れたりとかして測ってるんだろうね。きっと職人さんの腕もめちゃくちゃんいいんだと思う。
山田:会津工場だね。行ったことある?
編集部:カメラ記者クラブの総会で行きましたー。すごい昔だけど。
山田:みんないい目をしてるんだよ。
諏訪:会津工場ツアー、やって欲しいな(笑)
%森田%%{black}:ところで白石さんは、昔の記者クラブの工場見学とかそういうときにアテンドされたりとかしてたんですか?
白石:いや、私のときはなかったです。ただ、入社してすぐに2週間ぐらい研修で会津工場で実際レンズ磨いたりとかはしました。
諏訪:研修でレンズ磨くの?
白石:ひと通りは。私たち女性は2週間ほどでしたが、男性は寮があったので半年くらいみっちり(笑)
阿部:その頃の研磨といったら、タールがめいっぱい盛られていて真っ黒になったんじゃない?
白石:そこまでは(笑)。でも組み立てまでの全行程を、ちょっとずつ回った覚えがあります。
森田:2週間ってすごいよね。
白石:ずっと立ちっぱなしだったので、けっこう疲れました。
阿部:誇り高きMade in Japanだもんね。
諏訪:シグマから送られてくる、いちばん外側のダンボールにも“Made in Aizu”って書かれているからね。
山田:その段ボールがいつも新品なのって、今だとニコンとシグマくらいじゃないかな。
編集部:そんなこともないような…。
坂本:最近の某社なんか、機材レンタルのお店から送られてくる。他社製品と比較しますよ、って言ってもね。
白石:私がいた当時は、貸し出しの際は必ず一度工場に送って検品してから貸し出ししていたと思います。
山田:今でもだいたい工場から直送だよね。
白石:でしょうね。広報機材の使い回しってことはないです。
山田:工場についてはそれほど詳しくはないんだけど、とにかく全部作ってるっていうのはよくわかった。あの細かいネジ1本から絞りの羽根から電子部品からね。もちん一部外注に出してるところはあるんだろうけど、でもほとんどの部品は内製。たしか数年前にマグネシウム棟を作ったんだよね。まだ行ってないけど。
阿部:そんなに行けないだろ。社員じゃないんだから(笑)
山田:私、もともと会津という場所が好きなので。とにかく自社内で全部作れるっていうのは、今になってものすごい強みになっている。よくMade in Japanのままだと製品が高くなってペイできないから海外に(生産)拠点を移す、っていうけど、そうじゃないっていうのをちゃんと証明してくれている。
編集部:シグマも最近になって値上げしたんでしたっけ?
諏訪:既製品の値上げはやっていないと思う。新しく出したものは、もしかしたらベースを上げてるかもしれないけど。
編集部:一括して値上げどうこうみたいのは聞いてませんね。
山田:今回取り上げているシグマのレンズってすべてが新製品なんですよ。他のメーカーからみると、ローテーションが早いから。いつの間にか新製品に入れ替わってる感じがする。このスピードは本当にすごいよね。
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