ソニーからFE70-200mmF4 Macro G OSS Ⅱが7月28日に発売された。従来型であるFE70-200mmF4 G OSSは2014年3月発売なので、なんと9年越しの新型となる。

ソニー FE70-200mmF4 Macro G OSS Ⅱ 主な仕様

画像: ソニー FE70-200mmF4 Macro G OSS Ⅱ 主な仕様

●焦点距離:35mm判換算70-200mm相当
●最短撮影距離:0.26m(W)/0.4m(T)
●最大撮影倍率:0.5
●レンズ構成:13群19枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:72mm
●大きさ・重さ:φ82.2×149mm・794g (三脚座除く)
●付属品:フード 三脚座

ニッコールの名玉をソニーが継承&パワーアップ?

画像: お見事な切れ味ですな。強いて言えば周辺は「フツー」ってなることもあるので、絞れるなら絞ったほうが良いシーンがないことはないです。小さく軽くなったのに写りが良くなるって不思議だけど、これが技術だね。 ■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F5.0 1/400秒) プラス0.3露出補正 ISO100 WB:オート

お見事な切れ味ですな。強いて言えば周辺は「フツー」ってなることもあるので、絞れるなら絞ったほうが良いシーンがないことはないです。小さく軽くなったのに写りが良くなるって不思議だけど、これが技術だね。
■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F5.0 1/400秒) プラス0.3露出補正 ISO100 WB:オート

名称に「Macro」とアピールされている通り、最大撮影倍率がズーム全域で0.5倍(従来型は最大0.13倍)へと接写性が大幅に強化されている。にもかかわらず、全長を約3cm短縮し約50gの軽量化も実現という欲張りっぷりに、ソニーの開発力の高さを実感させられる。

かつて、ニコンにはズームマイクロニッコール(AF Zoom-Micro Nikkor ED70-180mm F4.5-5.6D)というレンズが存在した。このレンズはワイド端で約0.31倍、テレ端で約0.76倍という、接写性とズームレンズならではのフレーミングの自由度が魅力であった。が、その志を引き継ぐニッコールレンズはいまだに登場していない。本機はこの方向性にF4ズームをドッキング…さすがはソニーということだろう。

本レンズの特徴はAFモーターにもあり、脅威のXDリニアモーター4基掛け。AFモーターだけでなく、光学設計も関係していると推測されるが、諸々の工夫により従来比で最大約20%のAF高速化を実現しているというから実写が楽しみである。

利便性に加えてどんな性能が必要なのか…ということをよく理解して製品に落とし込んでいるように感じられる。その上で、ズーム全域でフォーカスブリージングを抑えた設計というからクレイジーだ。
本レンズはテレコンにも対応しており、SEL20TC(2倍テレコン)使用時には等倍マクロ撮影が可能となる。

画像: Gの銘板がなければ、一瞬「あれ? キヤノン??」って思っちゃいそうなデザイン。あ、他意はないですよー。

Gの銘板がなければ、一瞬「あれ? キヤノン??」って思っちゃいそうなデザイン。あ、他意はないですよー。

このクラスの新定番にしてベンチマークとなることが確定!?

画像: 逆光シーンでのワースト。ランドマークタワー(右のビル)辺りにゴーストが出てますが、非常に軽微。逆光とは思えないくらいクリアに写るのでビックリしました。粗探しするのが馬鹿らしくなるような性能だな。 ■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F5.6 1/500秒) プラス0.3露出補正 ISO100 WB:オート

逆光シーンでのワースト。ランドマークタワー(右のビル)辺りにゴーストが出てますが、非常に軽微。逆光とは思えないくらいクリアに写るのでビックリしました。粗探しするのが馬鹿らしくなるような性能だな。
■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F5.6 1/500秒) プラス0.3露出補正 ISO100 WB:オート

手に持ってみると、スペックから想像するよりもひとまわり小型で軽量という印象。フードと三脚座別で約794g。どちらも装着すると900g弱なので、ベラボーに軽量なレンズというワケではない。だが、重量バランスが良いのだろう。α6700と組み合わせてもα7R IVと組み合わせても疲労感が少なく感心した。

操作感は良いが、官能的みたいな心地良さを狙ったものではなく、淡々と仕事をするタイプの良さ。剛性感もあり安心感がある。

画像: テレ端(200mm)時。ご覧の通り、結構伸びます。伸びても重心が大きく移動するようなことはなく、ちゃんとケアされている様子。とはいえ伸ばしたくないシーンってのもあるので、無邪気に買い替えちゃうと「あ…」ってなシーンがあるかもよ?

テレ端(200mm)時。ご覧の通り、結構伸びます。伸びても重心が大きく移動するようなことはなく、ちゃんとケアされている様子。とはいえ伸ばしたくないシーンってのもあるので、無邪気に買い替えちゃうと「あ…」ってなシーンがあるかもよ?

従来型はインナーズーム方式だったので、ズーム操作による全長変化が無いことが魅力だった。が、本レンズはズーム操作によって全長変化がある。この辺りは使い方によっては従来型のほうが都合が良いシーンもありそうだ。

寄れることの喜びと、快適な撮影体験が兎にも角にも印象的。このレンズを体験してしまうと他のレンズを使う気にならなくなるくらいに利便性にメロメロになる。至近端でも高いシャープネスがあり、逆光耐性も見事。高性能レンズのお手本として、あるいはこのクラスのベンチマークレンズとして君臨しそうだ。

通常、インプレで弄り倒してみると、どこかしらに何かしらの不満が出てくるものだが、このレンズに関しては明確な不満がなかった。

こんなに褒めていいのか? そんなにソニーはスゴイの? スゴイんです。

画像: 葉脈をバキバキに解像していてシビレました。ハイライトのエッジが色付くこともなく素晴らしいですね。 ■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F4 1/250秒) プラス1.7露出補正 ISO400 WB:オート

葉脈をバキバキに解像していてシビレました。ハイライトのエッジが色付くこともなく素晴らしいですね。
■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F4 1/250秒) プラス1.7露出補正 ISO400 WB:オート

撮影の可能性を拡大してくれるレンズは撮影者にとってこの上のないギフトだが、お値段もナカナカにご立派。とは言え、10年程度は使えそう(従来型が発売から約9年経つけど現行品です)なので、1ヶ月約3000円で高い自由度が約束されると考えれば、決して悪い投資ではないだろうし、リセールもそれなりに期待出来そうなので、実質的にはもっとお手頃に利用出来るだろう。

画像: 200mmって良いよね。望遠レンズとしては広い画角だけど、切り取り過ぎないホドホドな感じがあって好きです。周辺部までビシッと写ってて気持ちヨシ。 ■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F5.6 1/400秒) マイナス0.7露出補正 ISO100 WB:オート

200mmって良いよね。望遠レンズとしては広い画角だけど、切り取り過ぎないホドホドな感じがあって好きです。周辺部までビシッと写ってて気持ちヨシ。
■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F5.6 1/400秒) マイナス0.7露出補正 ISO100 WB:オート

AFの速さについても「おっ!」と感じられる速さがある。速さにも色々なタイプがあり、本レンズは「最高速がスゴイ」ではなく「レスポンス”も”ヤバい」タイプの速さだ。計測して比較すると数字上では大差ないだろうが、体感での心地良さがワンランク上。

ことこの部分は必要な人にこそ刺さる性能なので、「従来型でも十分」みたいな評価は「おととい来やがれ」である。
仮に比較したい場合にはレスポンスに注目してみると、このレンズの凄さが分かると思いますよ。正に跳ねるように反応するって感じ。

リニアモータ(ボイスコイルモータ)を体験すると、ステッピングモータでは到底満足出来ない身体になってしまうと思います。AFの快適性は撮影快適性そのものを大きく左右するということを、ソニーの開発陣は非常に良く理解しています。

撮影に全力投球できる「存在感の薄さ」。ソニーユーザーならマストバイ!

画像: ファーストショットがこちら。体力測定がてらに至近端のちょっと手前でパチリしたもの。ずいぶん写るなぁって感想でした。スゴイ寄れるのに我慢してないというか、ちゃんとシャープなんだよね。 ■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F4 1/160秒) マイナス0.3露出補正 ISO125 WB:オート

ファーストショットがこちら。体力測定がてらに至近端のちょっと手前でパチリしたもの。ずいぶん写るなぁって感想でした。スゴイ寄れるのに我慢してないというか、ちゃんとシャープなんだよね。
■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F4 1/160秒) マイナス0.3露出補正 ISO125 WB:オート

総じて、撮影していてレンズの存在感は薄いです。それほど重くも大きくも無く、カメラバッグをそこまで選ばない。が、期待よりも寄れて、AFは電光石火でピントも正確。逆光にも強い。こんな感じでレンズを意識する瞬間が少ない。

どれだけ性能が良くても、寄れなかったり重かったり大きかったりすると、小さなストレスが蓄積されていくものだ。どうすれば撮影が快適になるか? を最大化したのが本レンズだろう。

画像: 使っていて我慢するシーンがほぼないってことに感激します。オールマイティって言葉には普通は「中途半端」って意味が内包されている場合が多々あるのだけれど、コイツはマジモンの万能選手で、専業のレンズを忍ばせとかなくても何とか出来ちゃうのがスゴイ。こんなことならテレコンも借りてテストすれば良かった…。 ■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F4 1/250秒) マイナス0.7露出補正 ISO640 WB:オート

使っていて我慢するシーンがほぼないってことに感激します。オールマイティって言葉には普通は「中途半端」って意味が内包されている場合が多々あるのだけれど、コイツはマジモンの万能選手で、専業のレンズを忍ばせとかなくても何とか出来ちゃうのがスゴイ。こんなことならテレコンも借りてテストすれば良かった…。
■ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE(F4 1/250秒) マイナス0.7露出補正 ISO640 WB:オート

情緒的な描写のレンズ以外では、レンズの存在はあまり感じたくないと筆者は考えます。だって撮影に集中したいからね。あれが出来ないココが気に食わない、みたいな余計なことを考えたくないワケです。

料理していて、包丁の切れ味が悪いだの、まな板の座りが悪いだのと感じたくないじゃない? PCが遅いとか動作に引っ掛かりがあるとか、ファンの音がウルセーとか。そういうストレスが無いレンズってワケね。

ということで、非常にお気に入りです。ソニーユーザーなら前後不覚のまま買ってたと思うから、本当にあぶねーところでした。70-200っていう焦点距離をお仕事以外では使う気にならない派の筆者ですが、これなら欲しい。ミラーレスになってからF2.8である必要性をそれほど感じなくなった昨今において、F4ズームにはどんな性能が期待されるか? の答えがここにあるね。

画像: 撮影に全力投球できる「存在感の薄さ」。ソニーユーザーならマストバイ!

This article is a sponsored article by
''.