AF-C時の後ピンがどうにも気になってましてー
AFで気になった点というのは、AF-Cで撮影しているとAF枠を重ねたところではなく、実際にはその後側に合焦する傾向があったことで、とくに50mmF2 DG DNで顕著でした。これはボディの実力なのか、それともレンズとの相性なのか?? ちなみにAF-Sだと問題なかったんだけどね。
この辺の答え合わせをLUMIXでやるってのもオカシナ話ではありますが、αで撮っていて「これはLUMIXの絵作りの方がキモチイイ気がする…」という予感もあったので、うまく職権を濫用して追加インプレを強行しました。ってことでお付き合いくださいまし。
Eマウントより“柔らかーい”=17mmF4 DG DN
SIGMA 17mmF4 DG DN | Contemporary (Lマウント) 主な仕様
●実勢価格:9万7900円(税込)
●焦点距離:17mm
●最短撮影距離:0.12m
●最大撮影倍率:1:3.6
●レンズ構成:8群9枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:55mm
●大きさ・重さ:φ64×48.8mm・225g
●付属品:フード マグネット式メタルキャップ
まずは17mmのチェック。
基本的にEマウント版と同一ですが、Eマウント版のインプレを読んでない人に向けて軽く触れると、外観と使用感は安心安全のシグマクオリティ。仕事感丸出しの実直一直線で色気のないパナソニックのレンズとは異なり、頬ずりしたくなる質感とデザインを持っているのはIシリーズならでは。
その代わり、うっかりブツケてしまった時の「血の気が引く度」は圧倒的にシグマです。
一方、パナソニックのレンズは「まぁ少しくらいブツケても大丈夫だろう」という安心感があります。
あくまでも心情の話であり妄想の産物で実際の堅牢性とは別の話よ。真面目に受け取らないでね。
α7R IVとの組み合わせだと目の覚めるような写りだ、との感想を持っていましたが、果たして…?
てな心持ちで撮影を進めていると、α7R IVと組み合わせた時の記憶よりも角が尖っていなくて”まろやか”。具体的にはキレキレにシャープでメリハリのある写り、って感想だったのが、シャープでクリアだけど自然な味わい、にベクトルが変化。
これは絵作りの違いか、あるいはセンサーのカバーガラスの厚みなどを含めた、カメラのハード的な光学特性の違いなのかな? 具体的な理由については分かりませんが、ともあれトヨタ的にはLUMIX S5と組み合わせた時の写りの方が心地良い、というか好みでした。
良い悪いの話ではなく、好みの話ね。もちろん、Eマウント版のが気持ちイイ! と感じる人も沢山いらっしゃると思いまっせ。
AF-Cでのピント精度は問題ナシ
歪曲補正はEマウント版と同じく、僅かに補正過剰かな? と思いました。
LUMIX S5は歪曲補正の選択可否ができないので、基本的にカメラJPEGは補正アリの状態となります。てな事もあるので、撮り方によっては微妙に反って見える場合も。この場合はRAWで調整するか、少しだけトリミングする等の多少の工夫というか特徴への理解と対策が要ると思います。
肝心のAFについて、Eマウント版と同様にAF-Cで撮っていましたが、ピント精度に不満はありませんでした。コントラストAFと像面位相差AFでシステムが全く違うので、あくまでも参考ですが。
ちなみにトヨタは基本的にAF-C運用です。デジタル世代は撮像の平面性の高さとレンズの光学性能が上がったことと、鑑賞時に等倍観察できてしまうってこともあり、ピントに非常にシビアです。
そうした背景もあり、例えば撮る時にどうしても身体が微妙に前後してしまったり、花を撮る時などは風で花が揺れたり、といったピント位置が適正とならない要素にAF-Cであれば対応できる、という考えによってAF-Cで撮っていますよ。
余談=LUMIX S18mmF1.8と比べてどうよ?
LマウントにはS18mmF1.8があります。Webカメラマンでインプレやってますよ。
画角は近いですが、かたや明るさがF1.8。本レンズのF4とは2.3段の違いがありますので、そもそもの性格が異なる製品を比べることはナンセンスではあります。
とはいえ、購入検討している人にとってコンセプトの違いが考慮されることはない場合も多々あるワケでして…。
写りで言えば、例えばどちらも比較可能となるf/5.6などの同じ絞り値で撮る場合は、両者に描写の違いが出ることはほぼ無いです。乱暴な論調だけれども、最近のレンズはどれも十分に高性能なこともあり、絞り込むと差はほとんどなくなります。厳密には違いはあるけれど、基本的に有意差はナシ。筆者はきっと見分けられません。
ということで、描写性能以外の特徴に限定して話をすると、焦点距離が1mmでも短い方がイイと考えるのであれば問答無用でシグマがオススメだし、明るさがもたらすメリットに魅力を感じる場合は一目散にパナソニックです。
明るさが現場でどんなメリットをもたらすか? というと、ISO感度で言えば、同じシャッター速度で撮る場合、開放F4の本レンズだとISO3200になっちゃうシーンでも、S18mmF1.8ならISO640で撮れる、と言えば分かりやすいかと思います。
無論、撮影意図に関わる絞りの都合とかもあるので、いつでもどこでもこのメリットを享受できるワケではないけれど、場合によってはこういった違いが生まれます。また、明るいレンズは絞ることもできるので、撮影時に2.3段分の選択肢がある、と考えましょうね。
実直に仕事をこなすパナか、遊んでもらえるシグマか?
本レンズのメリットはサイズと満足感の高さ。重さで約115g、最大径で約10mm、全長で約31mm違うので運用スタイルが変わってきます。特に長さで3cm(筆者の指で言えば2本弱)違うとバッグへの収納性が変わるなど、よりコンパクトな荷物で撮影を楽しめます。明るさの代償がこのサイズ感だね。と言っても、パナのS18mmは絶対的にはコンパクトですがね。
外観に色気のない、実用性の塊のようなS18mmに対して、所有欲を刺激するのは明らかに本レンズ。カメラ機材に興味ない人に見せた時にシグマなら「高そう」と感じてもらえるでしょうけれど、パナだと「なんでそんなにするの?」と、理解を得る難易度は跳ね上がること必至。
機材のサイズメリットについては語るまでもないでしょう。業務ではデカイ機材の方が安心感がありますが、日常では邪魔です。
画角の1mmの差も大きいと言えば大きいけれど、スナップや風景だと17mmと18mmの差はトヨタ的には有意差ではない、かな。逆に室内だと引けの問題もあるから、この1mmの差は有意差中の有意差。撮れる撮れないに関わりますので。
Eマウントとの違いはほぼほぼナシ=50mmF2 DG DN
SIGMA 50mmF4 DG DN | Contemporary (Lマウント) 主な仕様
●実勢価格:9万9000円(税込)
●焦点距離:50mm
●最短撮影距離:0.45m
●最大撮影倍率:1:6.9
●レンズ構成:9群11枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:58mm
●大きさ・重さ:φ70×68mm・350g
次は50mm。こちらは中~遠景での印象はEマウント版とほぼ同等。近~中景ではLマウント版の17mmで得た印象である「まろやか」な感じでした。特に囁きが聞こえるくらいの距離に被写体がある場合はS5と組み合わせた方が自然に見えて好き。
ま、全く同一条件での比較はやってないので、撮影誤差や個体差の可能性も存分に考えられますが、多分ボディの光学的な特性の違いに絵作りの違いが加味された結果じゃないかな。
AFについては、S5で試す限りAFの不満はありませんでした。狙い通りに、というかボディの実力なりにピントが来るので普通に快適で、PCでピントチェックしてガッカリ、みたいな事もありませんでした。
余談2=LUMIX S50mmF1.8 との比較ではどうよ?
LマウントにはS50mmF1.8という魅力的な標準レンズがあり、これから標準レンズを選びたいという場合には強力なライバルとなります。対抗馬の筆頭はS50mmF1.8になるかと思います。トヨタ的には写りは本レンズの方が上だと思いますが、S50mmF1.8の淡々と写し撮る感じも好きなので、どちらがオススメか? と言われれば窮します。正に甲乙つけ難し。
S50mmF1.8は何色にでも染められそうな「素材」感があり、本レンズはどこか主張があるというか、私的な感があります。
ということで、「写真する」ならシグマ、「撮影する」ならパナってとこかな。
ま、そんなことゴチャゴチャと気にすることなく、見た目が気に入ったほうを選べば良いと思いますよ。