3月15日よりDxOから「DxO PureRAW3」が発売された。DxO PureRAWと言えばディープラーニング技術によって画像処理の最適化を図り、色や細部再現性を損なうことなく高感度ノイズなどを効果的に除去できるという触れ込みで登場したRAW現像ソフトウェア(画像処理ソフト)だ。ちなみに初代は2021年4月に、メジャーアップデート版となるPureRAW2が2022年3月に発売されているので約1年毎のスパンで進化している。

“DeepPRIME XD”を新たに装備

画像1: “DeepPRIME XD”を新たに装備

価格は1万4900円(税込)となり、従来版のユーザーは8900円(税込)でアップグレード可能。WindowsとmacOSに対応している。

今回のPureRAW3には、新たに“DeepPRIME XD”という処理が追加されている。これは同社の“PhotoLab 6.3”にも採用されているもので、従来の“DeepPRIME”よりもさらにノイズ除去とディティール再現が改善されているとのこと。

単独のアプリケーションとしても、またAdobe Lightroom Classicのプラグインとしても使用できる。
従来版からの進化点としては、単独のアプリケーションとして利用する場合には異なる処理をキューシステムに追加し、まとめて処理することが出来るようになった点だ。

●動作環境 
PC:iMac2020
OS:macOS13.2.1
CPU:Core i7 10700K(8コア16スレッド / 3.8GHz)
GPU:Radeon Pro 5500XT 8GB
メモリ:40GB

試しにOM-1(約20MP)とEOS R6 MarkⅡ(約24MP)、EOS R7(約33MP)、X-T5(約40MP)のRAW画像を用いて、光学補正をすべて適用した状態で、それぞれの処理でJPEG出力する時間を測定してみた。

ちなみにX-T5のRAWデータは、もっともベーシックな「PRIME処理」には現状で対応していないようだったので今後のアップデートを待ちたいところだが、DeepPRIMEと同XD処理には対応していたので、実使用上では特に問題無さそうだ。またローカライズは一部完璧ではなかった。(確定ボタンの字が変)

PureRAW2と同様にDeepPRIME処理についてはGPUでの処理が選択できる。デフォルトは自動選択となっているが、試しにX-T5の画像処理でCPUのみを選択したところ、処理時間が1分40秒ほどかかったので、自動選択もしくは素直にGPUで処理させた方が良さそうだ。

操作そのものはいたってシンプルなので、とくに説明は要らない…というかボタンを押すだけ。

画像2: “DeepPRIME XD”を新たに装備

処理の「選択肢」は増えたのは単純に嬉しい。

ということで画質もそれぞれチェックしてみたが、ISO51200以上の超ISO高感度の画像であっても「DeepPRIME XD処理」では驚くほどノイズレスに。
画像によっては少しCGっぽい表現になるけれど、マクロ撮影や飛行機などのシーンのように、背景が抜けているような条件では威力を発揮しそうだ。

OM-1

画像1: OM-1
画像2: OM-1

EOS R6 MarkⅡ

画像1: EOS R6 MarkⅡ
画像2: EOS R6 MarkⅡ

またISO6400前後で撮影した動物園でのカットでは毛並みの表現がシャープで良い感じ。筆者の感覚では、新しい“XD”では少しノイズレスに過ぎたり、細部の表現が不自然に感じられる場合もあった。よってトータルとしてはDeepPRIMEのほうが好みではあるけれど、上述の通りケースバイケースで選択すれば気持ちの良い画像が得られそうだ。

EOS R7

画像1: EOS R7
画像2: EOS R7

ノイズレベルという意味では、同じ感度設定で撮影してもワンサイズ以上のセンサーサイズ機で撮ったような美麗な画質が得られるので、その点に魅力を感じるなら本ソフトウェアはとても魅力的。特にマイクロフォーサーズ機との相性は良さそうだ。

従来版からのアップグレードは、キューシステムに魅力を感じればおおいに推奨。またマイクロフォーサーズのユーザーであったり、日常的にISO12800以上の感度を常用しているのであれば“DeepPRIME XD”によってさらなる画質改善が期待できそうだ。

シのゴの難しいコト言わずノイズを除去したい、のであれば…。

X-T5

画像1: X-T5
画像2: X-T5
画像3: X-T5

まだPureRAW 3(あるいはDeepPRIME処理)を体験していないユーザーに向けて、という話をすれば…。

これまでよりも高ISO感度設定の禁忌感(心のハードル)が緩和されるので、より速いシャッター速度によって被写体ブレを減じられたり、カメラシステムそのものをダウンサイズすることによって、行動半径を広げることがこのソフトウェアによって実現できそう。

カメラのダウンサイズは体力だけでなくお財布にも優しいので、「最近カメラを持ち歩くのが少し億劫だな」と思ったのであれば一度お試し利用してみても良いのでは?

追記(2023/04/20)  Lightroom Classicに新機能が追加

本稿公開前となる4月18日、Adobe Lightroom Classic の最新アップデートに関わる新機能としてAIを活用した技術によるノイズ軽減が追加された。
DxO PureRAWにインスパイアされた機能だと思われるが、こちらもRAWデータを処理しDNGファイルとして書き出されるというもの。

OM-1

画像3: OM-1

デフォルトである「50」の設定で軽くチェックしてみた感じでは、PureRAW3の方が効果が高いシーンもあるし、LrCの方が上手なシーンもある、という感じ。比較作例のOM-1のISO102400のシーンではPureRAW3のDeepPRIME XDの方が効果的に見える一方で、EOS R7のISO6400ではほぼ同等か、トヨタの好みで言えばLrCの方が毛並みの再現が自然で良いと感じた。

EOS R7

画像4: OM-1

簡単にチェックしただけでも、それぞれの処理には得手不得手があり使用者の撮影条件や美的感覚によっても評価は分かれるように感じられたので、一概にどちらが優れているとは言い難い。けれど、既にアドビのフォトプランなどでLrCを使っているのであれば、PureRAW3を別途追加購入しなくても良いのでは?と思う。もちろんLrCを使っていないのであれば、PureRAWは魅力的な機能であることに変わりはない。

This article is a sponsored article by
''.