ピントのピークが立ちすぎてないのがいいんです。(豊田)
諏訪:七工匠の60mmマクロF2.8は楽しかったです。等倍までいけて、普通に使っている分には画質的にも許容範囲。ときどき画質の悪い部分が顔を出したりはするんだけど、そもそも笑って許せるような値段ですから(笑)。2万円とかそんなものだから。
大浦:下手すると数千円のものとかあります。
諏訪:あとTTArtisanの11mmっていうのもすごく面白かった。超ワイドなのでシェーディングが出るんだけど、そこだけ目をつぶればすごくよく写る。歪みも変な補正をかけていない素の状態の歪みだから、端っこのほうは当然大きく“ぐにょーん”ってなるんですけど、これは使えました。
編集部:結局、大きなデメリットとしてはマニュアルフォーカスってことだけなの?
諏訪:ですね。でもピーキング(機能が)働くからまあまま普通に使えるんですけどね。
編集部:そんな~。普通に使えるなんて言ったら、フジは嫌がるんじゃないの?
諏訪:でも絞りとの連動とか電子的な繋がりは一切ないから。全部自分でやらなきゃいけないっていうのがあるので、一般の人から見ればお手軽ではないですね。でも趣味だと考えれば持っていても面白いと思う。もちろん、これで広告の仕事をやるかっていったらやれないです(笑)
豊田:仕事もコレで良いって考えてるならそれはヤベーやつですよ。
諏訪:あくまで趣味の範囲。多少なりともカメラを分かっている人向けのね。
豊田:ざっくり目測でピントを合わせても何となくちゃんと写っている、っていうのは大きいと思います。ピントのピークが立ちすぎてないので、ソコソコにピントが来ていれば合焦してるように見えちゃうから。
大浦:ファジーな感じで(笑)
豊田:昔のフィルムっぽさっていうのと近いかも。ああ、こんなもんだったよねっていうんで楽しめるんです。
編集部:これが仮に純正レンズだったら怒る?
豊田:純正でもお値段とコンセプト次第ですかね。例えば「Pro」とか銘打って8万円でこんな感じだと炎上すると思います。ともあれ最近の純正レンズは光学性能が高くてパリッとピントピーク立ってるレンズが多いですし、センサー側の解像性能が高い事もあってピントのズレに敏感です。少しでもピントが甘いと汚く見えたりするんです。そういった高性能ゆえのシビアさみたいなのが中華系には少ないかなと。
諏訪:逆に言うと、電子的な連動をしっかり作ろうとしているレンズになると、この部分の出来が悪いレンズが多いんです。
編集部:じゃあ描写に関してだと、例えばブランドテストでパッと見てわかる?
豊田:それこそお値段次第ですね。8千円~2万円弱くらいのレンズと純正レンズなら、誰でもパッと見でわかると思います。
編集部:もうちょっと高いやつだと??
豊田:僕がテストした中だと、ラオワと中一光学は純正レンズと比べても描写に限って言えば遜色ないと思います。場合によっては純正より良いかも。
編集部:えー、そうなの? 面倒くさいから、ここカットしようかな?
豊田:XF35mmF1.4Rはフジの中でも古いんで、中華レンズと言えど世代が新しくて頑張ったレンズと比べるとキビシイ気がします。でも、XF35mmF1.4Rは味があっていい、と言う人もいるんですよ。要はどこを評価するかなんです。
編集部:そういう人は中華レンズでも十分満足できるってことなんですね。
諏訪:国産高画質レンズでは開放からパリッとしてて収差もない、っていう流れがあるじゃないですか。そういうのもいまどきの中華のレンズにも僅かですが出てきています。完璧とは言えないけど。
豊田:ラオワとかめちゃくちゃよく写ります。
諏訪:ラオワ、中一はいいイメージですよね。
豊田:純正レンズのようにAFなどの自動化をやっていないのでギミックの必要がなくシンプルな構造でイケるって事もありますし、純粋にメカの工作精度が高いってことも関係していると思いますが、価格のワリに鏡筒の作りが非常に良く出来ています。なので純正よりむしろ高級感のある触り心地なので、レンズを弄っていて楽しいです。