村井詩都さんによる写真展「COMME SI」がキヤノンギャラリー銀座にて2月19日(水)まで開催中です。本展は、村井さんが、沖縄で撮影したある夏の日の飛び込みの写真を、臨場感あふれる展示方法で発表されています。写真展会場に入った瞬間、まるで「ここは夏!?」と足を止め、飛び込みの躍動感や、水の美しさにおもわず息を呑むような写真展です。

2秒弱という瞬間の中で

普段はスポーツ撮影を中心に、フリーランスのフォトグラファーとして活動している村井さん。
村井さんは、キヤノンマーケティングジャパンが才能ある写真家の発掘と支援を目的として開催するオーディション「SHINES(シャインズ)」の第1回入選者でもあります。

画像: 会場風景。「飛び込みは、屋外で風が吹いたり雨が降ったりする中でも行われたので、そういう浮遊感を出したいと思った時に、上から吊るして揺れる感じを出すようなこういう展示になりました」と村井さん。

会場風景。「飛び込みは、屋外で風が吹いたり雨が降ったりする中でも行われたので、そういう浮遊感を出したいと思った時に、上から吊るして揺れる感じを出すようなこういう展示になりました」と村井さん。

飛び込みは、高さのある飛び込み台から、2秒にも満たないあっという間の瞬間に水面に落ち、着水までの高度な技を競うもの。勝負が決まるまでの時間が最も短い競技とされています。

村井さんは、飛び込みに魅かれる理由について
「特定の選手が好きというのはないんです。選手が10メートルの台に上がっては落ちていく、その黙々と競技を繰り返す姿に、その孤独さにとても魅力を感じるんです。常に自分との闘いで、自分の中だけで、すごく葛藤があるんだろうと思って。自分の場所からレンズ越しに彼らを見上げていると、どうしてあんなに高い台に立っていられるんだろうという感動も毎回あるんです」と語ります。

画像: 展示作品より。村井さんは、被写体に対して、自分という存在を気づかれることなく撮影していたい、いつも離れて見ていたいという思いがあるそうです。

展示作品より。村井さんは、被写体に対して、自分という存在を気づかれることなく撮影していたい、いつも離れて見ていたいという思いがあるそうです。

また村井さんは、被写体と自分との関係性について、ある一定の距離感を大切にされています。
「私は被写体への尊敬や憧れの気持ちがあるので、その距離を埋めたいと思わないんです。そして自分は決してその人にはなり得ないという絶望感も常にあります。物理的な遠さと心理的的な遠さ、その絶対的に埋められない距離感に魅力を感じながら撮影をしています。だから作品は自己表現としてではなく、被写体を見ている感覚で撮っているんです」

村井さんからお話を伺っていると、いつのまにか私は村井さんの芯の強さに魅かれていて、本展を通して村井さんの撮ることへの情熱や欲望、孤独感や切なさを少しだけ垣間見れた気がしました。

画像: 会場では、村井さんが2018年に上梓した写真集「Will You Please Be Quiet, Please?」(30部限定/B5変形判/ソフトカバー/64ページ)も販売中です。

会場では、村井さんが2018年に上梓した写真集「Will You Please Be Quiet, Please?」(30部限定/B5変形判/ソフトカバー/64ページ)も販売中です。

展覧会情報

村井詩都写真展「COMME SI」

会場:キヤノンギャラリー銀座
住所:東京都中央区銀座3-9-7 
TEL:03-3542-1860
会期:2020年2月13日(木)~ 2月19日(水)
開館時間:10時30分 ~ 18時30分(最終日は15時まで)
休館日:日曜日、祝日

村井 詩都(ムライ シヅ)さんプロフィール

1988年 東京生まれ
日本大学芸術学部写真学科卒業
スポーツを中心にフリーランスとして雑誌や広告などで活動する
2017年に第1回SHINESに入選
2018年に飛込みを題材とした写真集「Will You Please Be Quiet, Please?」を上梓
好きな食べものはスイカ

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