小林さんは、1995年にデビュー作でありベストセラーとなった『アジアン·ジャパニーズ』以降、写真制作はもとより、ノンフィクションや小説の執筆など多岐に渡る活動をされています。
古くから継承され続ける祭事、祭祀を巡る旅
小林さんはアジアを旅することに多くの時間を費やした20代を経て、海外ばかりに目を向けていた反動からか、30代半ばから頻繁に日本を旅するようになったそうです。とりわけ日本全国の聖なる地に魅かれ、各地に伝わる祭りや神事を撮影。その作品を「遠くから来た舟」として発表し、2013年の第22回林忠彦賞を受賞されています。
その後、2017年には写真紀行として、日本各地の奇祭を訪ね撮影した『ニッポンの奇祭』も出版されています。本展では、小林さんがここ6年ほどの間で、日本各地で古くから伝承されているという40ほどの祭事、祭祀などを巡り撮影した作品57点が展示されています。
会場は、壁面全体から中央の柱まで大小様々なプリントで展示構成され、日本全国の祭事、祭祀などが混在する世界が広がります。まるで見知らぬトンネルを抜けると、時空が変化し、自分が原始の、そしていつかの未来にいるような、不思議な感覚に囚われるかのようでした。
展覧会情報
小林紀晴写真展「孵化する夜の啼き声」
【東京】
会期:2019年12月11日(水) ~ 2019年12月24日(火)
会場:銀座ニコンサロン
住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1階
電話:03-5537-1469
開館時間:10:30~18:30(最終日15:00まで)
休館日:日曜日
【大阪】
会期:2020年1月9日(木) ~ 2020年1月22日(水)
会場:大阪ニコンサロン
住所:大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト·オフィスタワー13階
電話:06-6348-9698
開館時間:10:30~18:30(最終日15:00まで)
休館日:日曜日
小林紀晴(コバヤシ キセイ)さんプロフィール
1968年長野県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真科卒業。
新聞社にカメラマンとして入社後、1991年に独立。
1995年に『ASIAN JAPANES』(センター出版局・1995年) でデビュー。
2000年から2002年まで渡米(N.Y.)。
1997年 「DAYS ASIA」 日本写真協会新人賞、2013年「遠くから来た舟」 第22回林忠彦賞を受賞。
写真集、著書に『homeland』(NTT出版・1999年)、『days new york』(平凡社・2003年)、『はなはねに』(小林紀晴写真事務所・2008年)、『kemonomichi』(冬青社・2013年)、『ニッポンの奇祭』(講談社・2017年)、『見知らぬ記憶』(平凡社・2018年)、『愛のかたち』(河出文庫・2019年)、『まばゆい残像 そこに金子光晴がいた』(産業編集センター・2019年)、『孵化する夜の啼き声』(赤々舎・2019年)など多数。東京工芸大学芸術学部写真学科教授。ニッコールクラブ顧問。