給水塔の建設のピークは昭和40年代といわれ、平成になり新設が極端に減った給水塔。装置としてはすでに時代遅れとなり、その存在自体が落陽の時を迎えようとしています。写真家、比留間さんはその姿に郷愁に似た感情を抱き、特に日没前後の給水塔の佇まいに惹かれてシャッターを切ります。

黄昏そして落陽の先 - Beyond The Twilight

給水塔がある場所を記憶の中で思い浮かべてみると、最初に浮かぶのは、団地にある給水塔でした。
そして団地の多くは給水塔を持っていたそうです。
団地があれば、団地に住む子どもも多く、夕暮れ時まで遊んだり、学校から帰ってくる姿を見守るかのように、高くて大きい給水塔が存在しました。いつかここから姿が消えることは夢にも思わず、ずっといつまでもそんな光景があるものだと小さい頃の私も思っていました。

本展で展示されている給水塔の写真を見ていると、こんなにも1基1基の給水塔の姿かたち、色に違いがあり表情が豊かであることを知りました。
同じ給水塔でも撮影する時間帯や天気、場所やアングルによって、見せる表情はもちろん違うのだとも思います。
でも、比留間さんに撮影された給水塔たちはそれぞれが、自分のこれから迎える運命を静かに受け入れているようで、そして自分たちの姿を撮影する比留間さんの思いに答えるかのようで、その両者の関係性に、見ている側もなんだか胸が切なく温かくなりました。

画像: 写真家、比留間幹さん。穏やかな優しい佇まいと静かな口調で給水塔のお話を聞かせてくださいました。

写真家、比留間幹さん。穏やかな優しい佇まいと静かな口調で給水塔のお話を聞かせてくださいました。

画像: 展示作品より。東京都東久留米市下里の給水塔。かつては確かにそこに在った給水塔が、装置としての寿命を迎え姿を消すまで、比留間さんは何度も同じ場所に足を運び、撮影を続けました。

展示作品より。東京都東久留米市下里の給水塔。かつては確かにそこに在った給水塔が、装置としての寿命を迎え姿を消すまで、比留間さんは何度も同じ場所に足を運び、撮影を続けました。

画像: 展示風景。比留間さんが現在までに撮影した給水塔は1000を超えるそうです!

展示風景。比留間さんが現在までに撮影した給水塔は1000を超えるそうです!

比留間幹写真展「Water Towers - Beyond The Twilight」展覧会情報

会場:キヤノンギャラリー銀座
住所:東京都中央区銀座3-9-7 TEL:03-3542-1860
会期:2019年10月3日(木)~10月9日(水)
開館時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
休館日:日曜日、祝日

比留間幹(ヒルマ ミキ)さん プロフィール

東京生まれ。1980年代後半より視覚表現に携わる。2015年にリトルモアより写真集「給水塔 Beyond The Water Tower」を上梓。

写真展
2017年 「Beyond The Water Tower in Okinawa」沖縄県宜野湾市 カフェ・ユニゾン
2016年 「給水塔 Beyond The Water Tower 3」ジュンク堂書店立川高島屋店
2016年 「給水塔 Beyond The Water Tower 2」ジュンク堂書店池袋本店9F
2015年 「給水塔 Beyond The Water Tower」エプソンイメージングギャラリー エプサイト

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