本展は、一之瀬さんが日々の暮らしの中で触れる風景やもの、そして「国家」という概念にまで思考や感覚を向け、シャッターを切った作品が並びます。
日常の何気ない風景に「国家」という概念が作用し存在する何か、
たゆたうようにその狭間を行ったり来たりする何か、
そして時にはその先に、きっと存在するであろう祈りに近い何か
会場は、一之瀬さんの作品から発せられる温かく優しい光や空気感に包まれています。いつのまにか、ざわざわとしていた心が落ち着きを取り戻し、まるで泉から淡々と湧き出るような凛とした強さと安らぎを、作品の1つ1つから、そして全体を通しても自分の内に感じることができる空間です。
「日常と憲法-PARIS2015/11/13-TOKYO2016-」
会場には2つの机が置かれています。その1つの机では、一之瀬さんの Zine「日常と憲法-PARIS2015/11/13-TOKYO2016-」が閲覧できます。この冊子は2016年、東京・荻窪の本屋『Title』での展示に合わせて制作され、パリのテロ、日本国憲法、そして日常のそこにある見えない繋がりを探すための、ことばと写真で紡がれた作品集です。
2015年にパリで起こった同時多発テロと日本国憲法、そして誰しもにある日常との見えないけれど確かにある繋がり…それは一之瀬さんの日常と「国家」という概念をテーマとした本展に繋がっているように思えました。
展覧会情報
【東京】
会期:2019年10月2日(水)~ 2019年10月15日(火)
会場:銀座ニコンサロン
住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1階
電話: 03-5537-1469
開館時間:10:30~18:30(最終日15:00まで)
休館日:日曜日
【大阪】
会期:2019年10月24日(木)~2019年11月6日(水)
会場:大阪ニコンサロン
住所:大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト·オフィスタワー13階
電話:06-6348-9698
開館時間:10:30~18:30(最終日15:00まで)
休館日:日曜日
トークイベント
2019年10月4日(金) 17時~18時 入場無料
一之瀬ちひろさん(写真家/出展作家)さんと三本松倫代さん(神奈川県立近代美術館主任学芸員)によるトークイベントが開催されます。
一之瀬ちひろ(イチノセ チヒロ)さんプロフィール
1975年 東京生まれ
1998年 国際基督教大学卒業
2000年 コニカフォトプレミオ入選
2011年 ブックレーベル「PRELIBRI」主宰[小熊千佳子と/-2016]
2014年 Japan Photo Award
2019年 東京大学大学院総合文化研究科前期博士課程修了、後期博士課程在籍
東京在住
主な個展
2016年 「日常と憲法」本屋Title(東京)
2016年 「光のトレイス」ギャラリー・マロニエ[KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭](京都)
2016年 「STILL LIFE」森岡書店(東京)/ ニコンサロン新宿(東京)
2012年 「KITSILANO」ニコンサロン銀座(東京)
2009年 「ドイツの小さな手仕事」ギャラリーfeve(東京)
2006年 「ON THE HORIZON」イレブン(東京)
2003年 「Oxygen」ギャラリーコンシール(東京)
2000年 「sunrise party at secret place」コニカギャラリー新宿(東京)
主なグループ展
2019年「みえるもののむこう」神奈川県立近代美術館葉山(神奈川)
2017年「3daysEXHIBITION」セゾン・アートギャラリー(東京)
2016年「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESEPHOTOGRAPHERS #3」
IMAgallery(東京)
2015年「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #3」
Yellowkoner Paris Pompidou(パリ)
2015年「STEP OUT! New Japanese Photographer」IMA gallery
2011年「PLAY FOR ROOM 子供の部屋」ペーパーボイス(東京)
主な写真集に「ON THE HORIZON」(2006年)、「KITSILANO」(2012年)、「STILL LIFE」(2015年)など。