月刊カメラマン2018年2月号から7月号にかけて、異なったジャンルのトップ写真家6人が、お気に入りの富士フイルムXFレンズを使用して作品を発表、気に入っている理由や使用感をレポートした。今回は2018年3月号に掲載した第2回「夜景×藤村大介」の記事を再掲する。

クリアなのにトーン重視!
手持ち夜景に対応する万能レンズ群!

画像: ■XF10-24mmF4 R OIS 絞りF4 1/2秒 ISO3200 *共通撮影データ=X-T2 フィルムシミュレーション:ベルビア

■XF10-24mmF4 R OIS 絞りF4 1/2秒 ISO3200 *共通撮影データ=X-T2 フィルムシミュレーション:ベルビア

▲冬の吉野川河口では、うなぎの稚魚「シラスウナギ」の漁が行われる。ボートに乗って漁をしている写真をよく見かけるが、川岸でも光を灯し寄るシラスウナギを網で掬う光景を見ることができる。奥に見える吉野川橋も美しい。10-24mmは信頼性が高く最も使用頻度の高いレンズだ。

画像: ■XF35mmF1.4 R 絞り優先AE(F5.6 1/70秒) マイナス0.3露出補正 ISO800

■XF35mmF1.4 R 絞り優先AE(F5.6 1/70秒) マイナス0.3露出補正 ISO800

▲横浜赤レンガ倉庫は鉄骨が美しい。夕焼けの残照を受け鈍く輝く中に鉄の美しさを感じる。ハイライトからシャドーまでトーンを美しく表現できるのは、良いレンズの証拠だ。鉄骨のディテールもよく再現されている。 

画像: ■X-H1 XF10-24mmF4R OIS 絞りF7.1 1/2秒 ISO400

■X-H1 XF10-24mmF4R OIS 絞りF7.1 1/2秒 ISO400

▲ローアングルからスローシャッターで人物をイメージ的に取り入れようと考えていたところ、渋谷らしい二人組の女の子が前より歩いてきた。設定していたシャッター速度では、せっかくの赤い靴までもがブレてしまい、イメージ的になり過ぎる。とっさに感度を上げて少しシャッター速度を速めた。

今回の撮影で使用したフジノンXFレンズとXシリーズ
フジノンレンズ XF10-24mmF4 R OIS

画像1: fujifilm.jp
fujifilm.jp

●レンズ構成:10群14枚●絞り羽根枚数:7枚●最短撮影距離:50cm(標準)24cm(マクロ)●最大径×長さ:Φ78×87㎜●重さ:410g●フィルター径:72㎜●実勢税込価格:9万4430円※

フジノンレンズ XF35mmF1.4 R

画像2: fujifilm.jp
fujifilm.jp

●レンズ構成:6群8枚●絞り羽根枚数:7枚●最短撮影距離:80cm(標準)28~200cm(マクロ)●最大径×長さ:Φ65.0×50.4㎜●重さ:187g●フィルター径:52㎜●実勢税込価格:6万2080円※

富士フイルム X-T2

画像3: fujifilm.jp
fujifilm.jp

●有効画素数:2430万画素●撮像素子:X-Trans CMOSⅢ●標準ISO感度:ISO200~12800●ボディサイズ:W132.5×H91.8×D49.2㎜●重量:約507g●ボディ実勢税込価格:17万4550円※

富士フイルム X-H1

画像4: fujifilm.jp
fujifilm.jp

●有効画素数:2430万画素●撮像素子:X-Trans CMOSⅢ●標準ISO感度:ISO200~12800●ボディサイズ:W139.8×H97.3×D85.5㎜●重量:約673g●ボディ価格:オープン

※実勢税込価格は2018年2月上旬の都内量販店のものです。レンズも同様です。

現代夜景写真の魅力は手持ち夜景。
低感度と三脚に縛られない作品創りを意識する。

僕は“夜景写真家”ではない。世間的にはそう呼んでいただき、ありがたい面もあるが、夜景が得意な風景写真家である。だからこそ“今風な夜景写真”を良しとしない。

彩度を上げただけのド派手な写真やシャドーハイライトを極限まで調整しHDR風にした夜景写真。それらにまったく魅力を感じない。現実味が無いのだ。そのような画像に深い意味がある写真を見たことがない。作品とは意味があってナンボのものだと思っている。

下の作品は、凍り付くような真冬の夜にシラスウナギ漁をする人の写真だが、ここには人の人生と誇りが写っている。それを可能にしてくれたのが、X-T2とXF10-24mmだ。10mmという超広角でありながら周辺までシャープで歪みが少なく、明るい漁の電球や水面の反射も微妙なトーンをよく表現してくれた。

高感度で絞り開放という状況だが、それを感じさせない、深みのある色合いとクリアさを合わせ持ったレンズだ。

右上の作品は夕焼けに映える横浜赤レンガ倉庫。よく撮影する被写体だが、鉄骨のシャープさを表現するために非常にクリアな描写ができるXF35mmF1.4Rを使用した。

いわゆる標準レンズだが、これを風景写真で使うことは珍しい。建築や風景のジャンルでは、標準レンズは少し望遠気味に感じる。手持ち夜景では単焦点の明るいF値が有利になる。

右下の作品は超広角にし、ブレを使って躍動感を出した。先日発表されたばかりのX-H1で撮影している。

このカメラ最大の特徴は5軸5.5段の手ブレ補正だ。この手ブレ補正は素晴らしい! 1秒ほどの超スローシャッターでも止めて撮影することができる。高画質なXFレンズと超高性能手ブレ補正、そしてティルト式のモニターも併せて使えば、これまでの常識を打ち破った表現が可能になる。明るい単焦点でも手ブレ補正が効くのは、非常に大きなメリットだ。

スナップ写真はとっさの判断でセッティングを変更することがある。従来の三脚を使う夜景撮影ではなかったことだが、手持ち夜景では頻繁に行う。厳しい撮影条件に応えてくれるカメラやレンズは、写真家にとって貴重な財産だ。

*掲載した記事は月刊カメラマン2018年3月号当時のものです。

撮影・解説:藤村大介

ameblo.jp

Daisuke Fujimura
世界500都市以上を取材し、世界遺産や世界の街並み、夜景などを撮影。海外夜景撮影の第一人者でモン・サン・ミシェルの夜景を広めた写真家。今年8月に香川県坂出市民美術館で夜景の個展を開催、四半世紀に渡り撮影してきた世界の夜景を一挙に展示する。

This article is a sponsored article by
''.