作例と解説は月カメ編集部OGの写真家、水咲奈々です。
カメラ初心者さん、フィルム時代から撮り続けているけど基礎はちょっぴり不安な方、プチ・スランプにハマってしまった方、もっと自由に写真を撮れるようになるために、写真表現のボキャブラリーを増やしましょう!
Lesson 4. モノクロ写真は白と黒ではなくてグレーのグラデーションで描く写真
最近流行っているモノクロ写真とは、背景色ともう一つの色の2色で描かれたものをいいます。語源の「Monochrome」はフランス語の単色の意味で、写真用語としては白黒写真の意味として広く知られるようになりました。
このモノクロ写真は色がない世界を描くことから、見る人の想像力を刺激したり、いつもの世界とは違う非現実的な世界を感じさせてくれたり、被写体の色ではなくて形に注目して撮るようになるため、写真に必要な光と影に集中できて、写真の腕が上がるというメリットもあります。
2色だけど白と黒だけじゃない!?
撮り出すと自分で非現実的な世界を作り出せる達成感と充足感でハマる方が多いモノクロ写真ですが、白と黒の2色で描こうとすると大きな落とし穴にハマります。
モノクロだから白と黒でしょう……いいえ、モノクロ写真を構成しているのはその中間色のグレーが90%以上なのです。ご自分で撮った写真でも、ここに掲載されている写真でもいいのでモノクロ写真を見てみてください。白と黒はどれくらいの割合でありましたか? そのほとんどが濃いグレーや薄いグレーの「グレーのグラデーション」で構成されていることに気が付くと思います。
濃いグレーが多くの割合を占めるモノクロ写真は、シックで大人っぽいイメージになりやすいです。全体に真っ暗な状況を撮るのではなく、構図内に明暗の差がある被写体を少しアンダー目に撮りましょう。写真の初心者さんは、このような反射のある被写体ですと明暗の差がわかりやすいのと、画になりやすいのでお勧めです。
触って柔らかい、質感の優しい被写体は、淡いグレーのグラデーションを意識して明るさを決めるとふんわりとしたイメージになります。明るくし過ぎると不自然な白トビが起こってしまうので、あくまで白色ではなく、明るいグレーを多く使うように濃淡をしっかりと確認して撮りましょう。
モノクロ写真の成功の鍵はグレーのグラデーションを活かした写真を撮ることにあります。被写体の光と影をじっくりと観察して、露出はカメラ任せにせず自分のイメージを描き出してくださいね。
ちなみにモノクロ写真は白黒だけではなく、セピア調のように赤茶っぽい単色で描くものや、赤や黄色のフィルターを掛けるものもあります。いずれにしても細やかなグラデーションを意識して構図を構成することで、様々なイメージの写真を描き出せますので、色々なモノクロ写真にチャレンジしてみてください!
水咲奈々 -Nana Misaki-
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