今回のテーマは『初戀』
本誌掲載作品は、当初から狙っていたカット。振り向いてもらえない…という、切ない気持ちを込めたんだけど、撮影では前後の気持ちも交えながら撮影している。今回は“好きを意識した瞬間”“いつも目に飛び込んできてしまう➡︎見つめる”“やっぱり気づいてもらえない切なさ”に分けて気持ちを作っていった。
時間の都合上、“好きを意識した瞬間”は彼女自身の気持ちの中で行ってもらい、“いつも目に飛び込んできてしまう➡︎見つめる”は本誌での掲載カット。僕の狙いはここ。でも、そのあとの展開によっては、もっともっと!となるのが写真屋の性というもの。“やっぱり気づいてもらえない切なさ”の撮影へと繋ぎ、今回はこの部分のカットをご覧いただきたい。
『初戀』。すれ違い…。
夕方感を強調し、その寂しさを演出。離れている距離感を、やや広めの35mmレンズと引きの構図で狙ってみることに。
萩原「その後、すれ違うたびに振り向いては見つめてみるけれど、私のことなんてやっぱり気にしてないんだ…という気持ちでお願いね」。
いのうえ「初恋の人とすれ違ったけど、自分のことに気づいていないのかな…という、ちょっぴり切ない気持ちで好きな人の後ろ姿を見つめる場面をイメージしてみました。いかがですか?」
『初戀』。私待つわ…。
“初戀”は成就しない、淡く消えゆくものだ…というシチュエーションから、ポツンと「ボッチ感」を想像しながら、中望遠でゆるいボケを作りつつ、彼女を浮き上がらせるようにした。
萩原「結局、恋は叶わないわけよ。そんな寂しさ出してみて。あくまでも“私は待っている”タイプの女の子でね」。
いのうえ「この場面は好きな人とすれ違って、自分は目でその人を追っているの。でも相手には気づいてもらえない。やっぱり私のこと、好きじゃないんだなあ〜って。それで淋しげに帰っていくってイメージです」。
萩原 「明るい方向に向かって歩いていくあたりが、青春っぽさを感じるねえ」。
いのうえ「陽が傾き、緑がキラキラと輝いていて、それで胸がキュンとなるような恋を、私もしたいなぁ〜って願望込みですw」。