パナソニックのLUMIXブランドに新シリーズのレンズ固定タイプの高級コンパクトカメラが登場。フラットタイプのその姿はクラシカルで、同社のフルサイズミラーレスS9にもデザインが似ているが、センサーはマイクロフォーサーズフォーマットである。

■赤城耕一氏プロフィール
東京都三鷹市生まれ、高齢初心者。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒。戦前のライカから最新デジタルカメラまで、あれこれ食べ散らかしている。ただし、特定のメーカーのカメラだけでは満足できない浮気性ゆえ、機材の評価に忖度はない(はず)。2024年から日本作例写真家協会会長を拝命、不遇な機材レビューワー写真家の待遇改善と社会的地位の向上を目指している。著作「フィルムカメラ放蕩記」(平凡社)「アカギカメラ -偏愛だっていいじゃない-」(インプレス)など多数。

パナソニック LUMIX LX10の主な仕様

●フォーマット:4/3型 裏面照射型
●有効画素数:約2040万画素
●レンズ(35mm版換算):10.9-34㎜(24-75㎜相当) F1.7-2.8
●ISO感度:100~25600(拡張50)
●背面液晶:3.0型 約184万ドット バリアングル タッチパネル
●記録媒体;SDXCシングル
■大きさ・重さ:127.1×73.9×66.9㎜・約508g

デザインはLX100寄りも、センサー&エンジンは完全新設計。

LX100 Ⅱは背面液晶が固定式だったが、新たにフリーアングル液晶を採用。センサーも裏面照射型に、AFも像面位相差&リアルタイム認識AFに進化している。コンパクトとは言いづらい大きさになったが、手にした時のホールディングバランスは良好。

筆者は2018年秋に登場したLUMIX LX100 Ⅱユーザー(トビラ画像右)でもあることから、この型番が違うL10を見た時に既視感があった。それは鏡筒まわりのデザインが似ていたからだ。レンズはライカDC VARIO-SUMMILUX 10.9-34mm F1.7-2.8 ASPH.でLX100 Ⅱと同じ仕様。すでに性能面では(初代LX100以来)定評があるものの、新設計にはならなかったのであろうか(アップデートされているという未確認情報もあるが)?

35mm判の画角換算で24-75mmと3.1倍ズームではあるものの、開放Fナンバーが明るいので実焦点距離が短くてもそれなりのボケ効果は期待できる。よってポートレート撮影やマクロ撮影時にもボケ味はそれなりに活かすことができよう。

L10でいちばん気になるのが起動時に思い切り鏡筒が延びる点で、著しくデザインの美しさを損ねる。これはLX100 Ⅱ譲り。レンズが同じだから当然だけど、電源OFF時との姿があまりにも違いすぎるのは頂けない。なお、LX100 Ⅱに用意されていた自動開閉キャップはないようだ。

個人的に残念に感じたのが、メインスイッチを入れた時にレンズの鏡筒がするすると伸びてしまう点だ。これはせっかくのデザインを乱してしまうことになる。もちろんズームレンズだから我慢する必要はある。とはいえカメラの見た目を重視する筆者としては、写りと同等にデザイン面への配慮を考えていただきたかったところである。

M.4/3機としてはボディはやや大きめか。

日常のすきまみたいなところに入っていけるカメラだから、それこそ目についたものを片っ端から撮りたくなる。感心したのは露出精度の優秀さだ。
■19.5mm時 プログラムAE(絞りF4.5 1/1600秒) ISO200 WB:オート

ボディサイズはLX100 Ⅱよりふた回りほどど大きいが、手にしてみると大きさは気にならない。ただ、筆者がLX100 Ⅱ携行のために使用してきたバッグには入らなかった。それこそ仕切り直しとなる。

またLX100 Ⅱにあったカメラ上部のシャッタースピードダイヤルが撮影モードダイヤルに変更されているなど、UIも異なっている。

フォトスタイルでL.クラシックゴールドを選択。少し盛りすぎの感があるが、写真は常に真実を写すものでもないわけで、自由に考えてもよかろう。レンズ性能と階調再現の良さが協力している印象である。
■25.7mm時 絞り優先AE(絞りF8 1/800秒) ISO400 WB:オート

趣味性の高いカメラゆえに、ここはシャッタースピードダイヤルだと筆者個人は嬉しかったが、本機は「LX100 Ⅱの後継」ではなく、新しいシリーズであるとパナソニックも言っているようだし、同社の他のミラーレス機にUIを合わせてきたのだろう。

L10はセンサーもエンジンも中身も新設計。最新のリアルタイムLUTにも対応し、性能はLUMIXの先進をゆくものである。カメラに内蔵されているフォトスタイルの使用もいいが、お気に入りのLUTを読み込むことで、オリジナリティの高い独自のフォトスタイルとして使用することができる。

フォトスタイルをライカDモノクロームに設定、粒子を載せた。フィルム調の雰囲気がよい。ただ、筆者は現役でフィルムを使用しているので、ここまでフィルムに寄せてきていることに複雑な思いもある。
■17.4mm時 絞り優先AE(F7.1 1/1000秒) ISO200 WB:オート

EVFはLX100 Ⅱのフィールドシーケンシャル式ではなく、OLEDになった。いわゆる色ズレがなく、動体の観察時でも像が乱れにくい。本機のユーザーの多くは背面LCDを使用する人のほうが多いかもしれないが、正確なフレーミングを好む人にとってはこのファインダーの存在はありがたい。

また、周囲の明るい場所での視認性はファインダーを使うほうが圧倒的に有利だし、本機はマルチアスペクト比に対応しているのでフレーミングもやりやすくなる。

スチルスナップ派に寄り添った点に好印象も、お値段は…。

マクロモードにすると、レンズ性能面では弱含みになるものもあるけれど、本レンズはとても優秀でゆとりすら感じる。ワイド端での設定だけどボケ味も秀逸。
■絞り優先AE(絞りF4 1/1600秒) ISO200 WB:オート

 
コンパクトカメラは常に自分と共にあるものなので、日常、時間と場所を選ばずに撮影したいものである。手ブレ補正にも抜かりはない。本機にはフラッシュは内蔵されていないので、低照度下撮影時にも大口径レンズであることと、手ブレ補正内蔵は心強いだろう。

★静止画にも使えるリアルタイムLUT

LUT(Look Up Table)機能はとくに動画では必須となっている色再現コントロールだけど、静止画にも活用できる。本機はリアルタイムLUT設定もできるので効果を確認しながら撮影できる。また「LUMIX Lab」との連携によって、LUTのダウンロード、自作もできる。フォトスタイルとも組み合わせ可能で、事実上、無限の効果が得られる。使い分けることができる。

画像左から Normal→Sample LUT1→Sample LUT→Sample LUT3

レンズ一体型ということで、画質は極めて優秀である。極端な高感度領域ではさすがに弱含みだろうが、通常撮影ではまずマイクロフォーサーズセンサーの弱みというものは一切感じない。

L10は基本的にスナップシューター用に開発されたものといってよく、筆者としてはこれがいちばんの喜びである。が、画像再現にさまざまな工夫を凝らしたい人にも向いているし、見かけよりもかなりクリエイティブなカメラである。

L10はS9のような動画方向にシフトしたという印象はなく、秀逸な出来だ。さらに将来は本機をベースとした新しいライカのD-LUX 9(?)が登場するのかも注目してゆきたいところだ。

LUT(Look Up Table)機能はとくに動画では必須となっている色再現コントロールだけど、静止画にも活用できる。本機はリアルタイムLUT設定もできるので効果を確認しながら撮影できる。また「LUMIX Lab」との連携によって、LUTのダウンロード、自作もできる。フォトスタイルとも組み合わせ可能で、事実上、無限の効果が得られる。使い分けることができる。