長年待ちに待ち続けた待望のRFレンズがここに誕生した。開放F1.4のVCMシリーズで最長画角を持つ14mm=風景や星景写真において、私の最も使用頻度が高い画角である。こと夜間の星景撮影においては、地上の風景と星座をバランス良く収めるにはこれ以上にはないであろう、ドンピシャな1本だ!

※撮影共通データ:■キヤノン EOS 5D MarkⅡ リーソフト使用

山本純一氏プロフィール
1960年帯広市生まれ、札幌市在住。23年間の会社員生活を経て、2007年「Pure Peak Photo」を設立。現在までフリーランスの写真家として活動。現在北海道の自然風景と動物をテーマに撮影を続けている。「知床」マイスター。

キヤノン RF 14mm F1.4L VCM  主な仕様

●焦点距離:14mm
●最短撮影距離:0.24m
●最大撮影倍率:0.11倍
●レンズ構成:13群18枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:11枚
●フィルターサイズ:非対応
●大きさ・重さ:約φ76.5×112mm・約578g
●付属品:フード・ケース

星景写真を愛するキヤノンユーザーへ…。ついにその時が来た!

これまでキヤノンは、こと星景の分野では他メーカーに比べて明るいレンズが少ないため、ユーザーは歯痒い思いをして眺めていた。しかし新設計のRF14mmはその長年の不満を100パーセント解消して余りある最高のレンズに仕上げられていた。

一番の驚きは、まずは578gしかない小型軽量な筺体である。他メーカーの明るい超広角レンズは1kgを超えるものが多いので、これは大きなアドバンテージと言えよう。遠征撮影において持ち歩く機材を減らさずに済む、というのは大歓迎だ。もちろん軽量化により、身体への負荷も軽減できるだろう。

こう言ってはアレですが、EFレンズの描写とはマッタクの別物です!

撮影した画像は、四隅までほぼ完全点像。星像は極めてシャープでモニター画面で観る天の川は微細な星まで映り込み、息を呑むほどに美しいものであった。広角レンズで業界初のフローライト(蛍石)を採用したとのことで、色収差は皆無だった。

正直、これまでのEFレンズの画像とは比較にならない。この先鋭な画像を体感すると後戻りは出来ないだろう。開発された方々の熱意までが伝わってきたのか、極寒の中でありながらも久しぶりにワクワクするレンズに出会えたことで、撮影が実に楽しかった!

以下、撮影画像と共に解説していこう。

蛇行する釧路湿原の釧路川を前景に入れて、昇る冬のセブンスター(1等星)と木星を撮影した。画面上からぎょしゃ座のカペラ、牡牛座のアルデバラン、双子座のポルックス、オリオン座のベテルギュスとリゲル、こいぬ座のプロキオン、大犬座のシリウスだ。冬の賑やかな星座と風景をバランス良く網羅できるのがこのレンズの特徴。さらにF1.4という開放F値のおかげで、画面中央に淡く流れる冬の天の川がハッキリと浮かび上がる。F2.8では、再現不可能な暗い星まで捉えることができる。
■絞りF1.4 8秒 ISO4000 WB:3600K ※釧路湿原

北海道は北緯45度に位置すので、北極星が本州よりかなり高く見える。14ミリという画角は、北極星を中心に下方経過するカシオペアと、天頂に昇る北斗七星と地上の風景をバランス良く入れ込む事ができるのだ。F値が一般的なF2.8クラスのレンズより2段も明るいお陰で、ISO3200〜4000で適正露光が得られるので、今までよりクオリティの高い画像が得られる。また、周辺までほぼ完全点像を結ぶ星像のおかげでトリミング無しの画像が使える。
■絞りF1.4 10秒 ISO3200 WB:3600K ※鶴居村

14㎜は眼前に聳え立つ岩をフレームインすることができるので、インパクトのある大胆な画面構成が可能だ。2月の明け方4時過ぎ、南東から登り始めたサソリ座と夏の天の川と太古から鎮座する立岩を狙った。
■絞りF1.4 10秒 ISO4000 WB:3600K ※羅臼町

闇夜が終る日の出の1時間50分前、肉眼では判別出来ないが東の空が徐々に明るくなって行く。今まで目立た
ない人工衛星がにわかに写り込んでくる。星景写真で一番美しいブルーモーメントの時間帯、F値が明るいとより暗い人工衛星まで写るので、ある意味、年々美しい星景写真が撮影しにくくもなっている。
■絞りF1.4 10秒 IS03200 WB:3800K ※支笏湖

14㎜という画角は、星景写真専門の方々にとって一番使用頻度の高いレンズだと思う。何故なら、一番人気である夏の天の川が横位置で画面全体に入れ込む事ができるからだ。深夜2時南東の空にさそり座が登り始め、夏の大三角形(ベガ・アルタイル・デネブ)が出揃う。無風の湖面には星達が微かに写り込む。天と地が一体になった荘厳な原風景を再現可能な唯一無二のレンズだと確信する。
■絞りF1.4 8秒 ISO4000 WB:3400K ※屈斜路湖

夜明け前の午前3時過ぎ、夏の天の川が天頂に昇り、南東の空が微かに茜色に染まりはじめた。新型レンズは色収差も歪みも皆無で、解像度も申し分ない。長年明るい広角レンズが無かったキヤノンは、RFレンズになりユーザーが求めているレンズを続々と開発して発売してくれる。EF時代より小型軽量になり撮影レスポンスが明らかに向上した。(画面左下の暁の低空に、4月中旬に地球に接近中の、C2025R3パンスターズ彗星が微かに尾を引いて写り込んでいる)
■絞りF1.4 8秒 ISO4000 WB:3600K ※屈斜路湖

今回の新レンズは、星景写真の初心者の方も星景写真専門のベテランの方にも間違いなくオススメできるレンズだ。発売以降かなりの人気で、現状では納期が3~4ヶ月かかるようだが、入荷待ちをするに値する新レンズの登場だと私は確信している。