小澤太一さんは長年、レソト、ナウル、サントメ・プリンシペ、サハラなどユニークな場所を舞台に多くの作品を発表してきた。今回は初めて日本を扱った写真展に選んだ。その撮影地は、北海道の最果て。その地に魅了され、東京との2拠点生活で2024年は200日以上を北海道に滞在。季節の移り変わりや命の循環、そして土地の歴史の変遷などを静謐で美しいモノクロプリントで「回」を表現している。

小澤太一写真展「回」開催概要

●開催日程:2025年10月2日(木)~2025年11月10日(月)
10時~17時30分(日曜・祝日休館)

●開催会場:キヤノンギャラリーS(品川)

展示作品を一部紹介

ⓒTaichi Kozawa

ⓒTaichi Kozawa

ⓒTaichi Kozawa

ⓒTaichi Kozawa

ⓒTaichi Kozawa

ⓒTaichi Kozawa

トークイベント(会期中の土曜に毎週開催)

ギャラリートークの申し込みはこちらで

会場(以下共通):キヤノンホールS(東京都港区港2-16-6 キヤノン Sタワー 3F)

2025年10月4日(土)

開催時間:14時~15時
(ゲスト:アートディレクター 三村漢氏
開催時間:15時~16時
(ゲスト:しあわせ動物写真家 福田幸広氏
定員:150 名(先着申込順、時間指定はなく、10月4日指定の申込)
詳細は以下参照


2025年10月11日(土)

開催時間:16~17時
ゲスト:写真家 野町和嘉氏
定員:なし(事前予約不要)


2025年10月18日(土)

開催時間:14~15時
ゲスト:元カヌーガイド 鈴木貴也氏
定員:150 名(先着申込順、参加費無料)
詳細は以下参照


2025年10月25日(土)

開催時間:16~17時
ゲスト:写真家 渡部さとる氏
定員:なし(事前予約不要)


2025年11月1日(土)

開催時間:16~17時
ゲスト:編集者 佐々木広人氏(元アサヒカメラ編集長)
定員:なし(事前予約不要)


2025年11月8日(土)

開催時間:16~17時
ゲスト:写真家 中村征夫氏
定員:なし(事前予約不要)

小澤太一さんの写真展への思い

コロナ禍をきっかけに、これまで海外を撮り続けていたぼくは被写体を見失った。時間だけはあったので、すべての都道府県を旅した末にひとつの魅力的な場所を見つけた。それは北海道の最果ての地だった。荒々しく何もない……そんな無垢な場所で、太陽より早く起き、星の軌跡を追う日々。

自然は二週間も空けると次の季節へと変化してしまう。すべてを見逃さないために、最果てに拠点を構え、ゆっくり自然と向き合う決意をした。海や森をあてもなく歩くと、たくさんの命が生まれ消えていく瞬間を何度も目の当たりにした。

二拠点生活をする中で、次第に最果ての文化や歴史にも視野が広がっていった。北海道は寒冷な気候だったため、稲作が始まる弥生時代が無い。その代わり縄文時代から一万年以上にわたって人々の食を支えていたのは、鮭をはじめとした自然からの恵みであり、それは今もしっかり継承されている。

またアイヌの人々が自分たちのことを指して使っていた「加伊」という言葉があり、「この地に生まれた者」という意味がある。それはやがて「北海道」という名前の一部へと受け継がれていく。本州からの和人たちが最果ての地へと移り住み、幾重もの歴史を重ねてきた軌跡の先に、今の風景がある。

ぼくはその裏に潜む無数の想いに思考を巡らせながら、シャッターを切る毎日……それは日本にも魅力的な被写体がまだ無数にあることを再発見する時間でもあった。

小澤太一さんのプロフィール

1975年名古屋生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真家・河野英喜氏のアシスタントを経て2000年独立。雑誌や広告を中心に、子どもからアーティストや女優まで、幅広く人物撮影が活動のメイン。写真雑誌での執筆や撮影会の講師・講演など、活動の範囲は多岐に渡る。ライフワークは「世界中の子どもたちの撮影」で、年に数回は海外まで撮影旅行に出かけ、写真展も多数開催している。キヤノンEOS学園東京校講師。公益社団法人 日本写真家協会会員。身長156cm 体重39kgの小さな写真家である。

小澤太一さんの関連情報(HP)はこちら