この3月に発売された「SanDisk Extreme PRO ポータブルSSD USB4対応」は、撮影現場でのバックアップ等で強い味方となってくれるポータブルSSDです。中でも今回紹介する製品は、絶対的な信頼性を誇るサンディスク「Extreme PRO」シリーズの最高峰。時代に合わせた高速データ性能の規格を採用していることで動画/静止画を問わず、これまでになく快適に使うことができます。

「サンディスク エクストリーム プロ USB4対応」とは

やや大柄に感じる本製品ですが、2TB/4TBの大容量であることを考えれば十分に小型です。

「SanDisk Extreme PRO ポータブルSSD USB4対応」は、動画あるいは写真撮影の用途で発売されたポータブルSSDです。本製品の大きな特長は、高速なデータ転送が可能なUSB4規格に対応しているところ。2TBまたは4TBのストレージ容量が用意されているため、大容量データのバックアップや、動画編集などの重い作業もストレスなくできます。

また、「Extreme PRO」シリーズの製品らしく、シリコンシェルと鍛造アルミニウム製の筐体は非常に堅牢。実際IP65の防水・防滴性もしっかり確保されていることには、大きな安心感と信頼性を覚えることができます。

USB4規格を採用

USB4に対応したことで、本製品の読み出し速度は最大3800MB/秒、書き込み速度は3700MB/秒と従来のポータブルSSDに比べて大変高速になっています。感覚的には内蔵SSDとそれほど差を感じることはないのでしょうか。

まだ一般的ではない高価なUSB4ケーブルが付属します。ポータブルSSDとしての仕様に合わせて短いところも地味に良いかと。

ここで注意。当たり前のことですが、USB4対応のポータブルSSDのスピードを最大限活かそうとする場合は、PC側もUSB4の規格に対応している必要があります。具体的には「USB4」端子または「Thunderbolt 4」端子がPCにあることが必須。また、「USB4」端子または「Thunderbolt 4」端子は必ず形状がUSB Type-Cになります。

転送速度を最大限活かすためにはPC側も「USB4」または「Thunderbolt 4」に対応していることが必要。筆者のPCでは、左からUSB 3.2 gen 2、Thunderbolt 4端子となっています。どちらも形状はUSB Type-Cです。

現状ではそれなりに制約があるものの、本製品とPCの規格が合ったところで高速なデータ転送が可能となります。ここでは本製品と手持ちのPCを接続、「CrystalDiscMark」でベンチマークを計測してみたところ、読み出し速度の実測値は最大約3808MB/秒で、書き込み速度の実測値は約3200MB/秒でした。

実測値でも読み出し速度はほぼ公称通り。書き込み速度はわずかに遅くなりましたが、それでも驚異的に速いと言える立派な数値です。

PC側に「USB4」端子または「Thunderbolt 4」端子がなく、例えば「USB 3.2 gen 2」端子(すべて形状はUSB Type-C)に接続した場合は、理論上の最大転送速度である10Gbps(1250MB/秒)に準じることになります。本製品での読み出し速度の実測値は最大約1079MB/秒で、書き込み速度の実測値は約1059MB/秒でした。

本製品を「USB 3.2 gen 2」端子に接続した場合の実測値です。ほぼ「USB 3.2 gen 2」規格の上限ですが、「USB4」規格に比べるとかなり遅くなることがわかります。

USB端子の形状が同じ USB Type-C ですので紛らわしいのですが、転送速度の規格を合わせないと本製品の性能は最大限に発揮できないという話でした。本製品を活かすためには、PC側のUSB4」端子または「Thunderbolt 4」端子に接続するように注意しましょう。

動画編集で絶対的な高性能

本製品が特に威力を発揮するのは、動画撮影時の記録と編集だと思います。4K 60pやそれ以上で記録であっても、高速な転送速度を活かして停滞せず記録できますし、大容量なストレージ容量を活かせば、他のストレージにバックアップすることなく本製品内で編集まで完了させることができます。まさに時代に即したポータブルSSDと言えるでしょう。

本製品を動画で使えば、記録から編集まで本製品内で完結することができます。

もちろん、本製品の転送速度の速さと大容量であることは、静止画撮影でも大いに有効であることは間違いありません。近年ではデジタルカメラの高画素化と高性能化によって静止画であっても思いがけないほど大量の撮影をしてしまうことが多くなったと思いますが、そうした場合でも本製品の高速転送性能と大きなストレージ容量は強い味方となってくれます。

静止画で撮りすぎてしまったデータも本製品なら素早くバックアップしてくれます。その性能は軽んじられるものでなく、従来40分だったところが10分や5分で終わってしまうほど効果的なのです。

これからは容量のみならず、転送速度も重視すべきでは?

デジタルカメラの高画素化や連写速度の高速化は進む一方ですが、本製品なら撮り過ぎてしまってもストレスなくバックアップできます。なにしろ大容量ですので、予算が許すのであれば、本製品をメインのストレージとして使っても良いくらいに感じました。(撮影:曽根原昇)
■ソニー α7R Ⅴ FE 50-150mm F2 GM 絞り優先AE(F2 1/80秒) マイナス0.7露出補正 ISO100 WB:オート

本製品のようなUSB規格の高性能化に準拠した製品はなかなか理解されにくいのではないかと思います。なぜなら多くの人が、主にデータ容量のサイズだけを指標にして製品を選んでいる現状があるからではないでしょうか?

しかし大切なのは、規格の違いによる転送速度の大きな違いであったりします。動画撮影においてはもはや当たり前であり、必須と言ったところではないでしょうか。こうした規格の違いを踏まえて考えれば、あるいは過剰化とも思えた本製品の仕様が静止画においても妥当なものであるように見えてきます。

旅先でのデータバックアップはもちろんのことですが、静止画でも普段使いでの利用を考えるべき状態にあると思います。デジタル時代の今においては、容量だけでなく転送速度も、もはや重要なテーマとして定着していると言えるのではないでしょうか。