最新技術を結集し、さらなる高画質、小型・軽量化を実現したソニー FE70-200mm F4 Macro G OSS Ⅱ はどんなレンズなのか? プロカメラマン豊田慶記氏のインプレッションと実写画像とともに徹底解説します。
■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。
ソニー FE70-200mm F4 Macro G OSS Ⅱ を豊田慶記氏が解説
9年越しのリニューアルとなる70-200mm F4通しの望遠ズーム。名称に「Macro」とアピールされている通り、最大撮影倍率がズーム全域で0.5倍(従来型は最大0.13倍)へと接写性能が大幅に強化されている。にもかかわらず、全長を約3cm短縮し約50gの軽量化も実現という欲張りっぷりに、ソニーの開発力の高さを実感させられる。
本レンズの特徴はAFモーターにもあり、脅威のXDリニアモーター4基掛け。AFモーターだけでなく、光学設計にも関係していると推測されるが、諸々の工夫により従来比で最大約20%のAF高速化を実現しているという。さらに、ズーム全域でフォーカスブリージングを抑えた設計というからクレイジーだ。テレコンにも対応しており、2倍テレコン使用時には等倍マクロ撮影が可能となる。
手にとると、スペックから想像するよりもひと回り小型で軽量という印象。フードと三脚座別で約794g。どちらも装着すると900g弱なので、ベラボーに軽量なレンズというわけではない。だが、重量バランスが良いのだろう。α6700と組み合わせてもα7R Ⅳと組み合わせても疲労感が少なく感心した。操作感は良いが、官能的な心地良さを狙ったものではなく、淡々と仕事をするタイプの良さ。剛性感も手伝って安心感がある。
従来型はインナーズーム方式だったので、ズーム操作による全長変化がないことが魅力だったが、新型はズーム操作によって全長変化がある。この辺りは使い方によっては従来型の方が都合が良いシーンもありそうだ。
お見事な切れ味。強いて言えば周辺は「フツー」ってなることもあるので、絞れるなら絞った方が良いシーンがないことはない。小さく軽くなったのに写りが良くなるって不思議だけど、これが技術だね。
■200mm 絞りF5.0 1/400秒 プラス0.3露出補正 ISO100
■共通撮影データ/ソニー α7R Ⅳ 絞り優先AE ISO100 WB:オート
AFの速さについても「おっ!」と感じられる速さがある。速さにも色々なタイプがあり、本レンズは「最高速がスゴイ」ではなく「レスポンス“も”ヤバい」タイプの速さだ。計測して比較すると数字上では大差ないだろうが、体感での心地良さがワンランク上。レスポンスも、跳ねるように反応するという感じだ。
寄れることの喜びと、快適な撮影体験がとにかく印象的。このレンズを体験してしまうと他のレンズを使う気にならなくなるくらいその利便性にメロメロになる。至近端でも高いシャープネスがあり、逆光耐性も見事。高性能レンズのお手本として、あるいはこのクラスのベンチマークレンズとして君臨しそうだ。
ファーストショットがこちら。体力測定がてらに至近端のちょっと手前でパチリしたもの。ずいぶん写るなぁって感想でした。スゴく寄れるのに我慢してないというか、ちゃんとシャープなんだよね。
■141mm 絞りF4 1/160秒 マイナス0.3露出補正 ISO125
(Photo&Text:豊田慶記)
ソニー FE70-200mm F4 Macro G OSS Ⅱ のスペック
- 焦点距離:70-200mm
- F値: F4
- レンズ構成:13群19枚(高度非球面AAレンズ1枚、非球面レンズ1枚、スーパーEDガラス1枚、EDガラス3枚)
- 画角:34°-12°30'
- マウント:ソニーEマウント
- 最小絞り:F22
- 絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
- 最短撮影距離:0.26m(W)/0.42m(T)
- 最大撮影倍率:0.5倍
- フィルター径:72mm
- 大きさ:82.2×149.0mm
- 重さ:794g(三脚座除く)
- 発売日:2023年7月28日
- 価 格:24万9700円(税込)※価格は記事執筆当時
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本記事は「カメラマン リターンズ#11」の記事を転載したものです。興味のある方は、本誌もぜひチェックしてみてください!↓